変わっていい! 〜「デスゾーン」を読んで〜
この本を読んだ。
3年前に亡くなった冒険家・栗城史多氏。
私は大好きだった。
細かい事情は全く知らなかった。
もはや知らない人も多い気がする。
著者・河野氏のインタビュー記事がわかりやすいのかもしれない。
この本を昨夜一気読み。約5時間くらいずっと読んでしまった。
でも、長さを感じない不思議な時間だった。
読後の不快感にしばらく苛まれた。
その辺りのことを書いてみよう。
1 火星にある山に登りたい男
栗城史多氏は考えてみたら、本でしか知らなかった。
それなのに、今のサブスクリプションサービス(有料対談メルマガ?)にも入っていた。
印象的なのは、地球にない山にいずれ登りたいと言っていたことだ。
月にある2万m級の山に登りたいっていう変わったことを言う人という印象。
でも、なんか夢がある。
スッゲーかっこいい。
ただそのくらいの勢いだった。
2 死後
最後はあっけなかった。栗城氏はエベレスト登頂に失敗して亡くなったニュースをよく覚えている。
フェイスブック上でのコメントが埋まっていた。
その当時はあまり知らずに栗城氏のファンだったから、
山で死ねるのなら本望だったのでは?
なんて呑気に考えていた。
3年の月日が経つ今年2021年4月
冒険研究所・荻田泰永氏の冒険クロストークに野口健さんがゲスト出演された時に、栗城氏の話題が出て驚いた。
クローズの会なので、詳細は書かないが、野口健さんが栗城さんと親交があって、随分と亡くなった時のエベレスト登山についてのやりとりが興味深かった。
昨日になってこの動画を見た。
その後、考えた。
「死んでもいいから挑戦することこそ幸せ」
そんな思いを持っていたが、荻田氏は真逆のことを言う。
「生きて帰ってくるのが冒険」
死んでも挑戦し続けた栗城史多氏を尊敬していた。
でも、栗城氏のことを私は知らなすぎた。
そこで、栗城氏について書かれたこの本を読んでみたくなった。
3 SNSゆえの恐怖
栗城氏はクラウドファンディング、講演会など、集金力を持っていることは知っていた。
火星にある山に登りたい なんて言うくらいだから、キャッチコピーもうまい。発想力もある賢い人だ。
でも、そこにあるのは登山家とは名ばかりのビジネスマン・栗城史多。
なぜなら、登山のためのトレーニングもほとんどできていなかったようなのだ。むしろ、講演会やSNSなど、人に気に入られることに没頭していってしまったようだ。
不安だったのだろう。
占い師のところにも通っていたようだ。
占いでエベレスト登山のアタックのタイミングや結婚を止めることも決めていたなんて知らなかった。
まして、企業というより、一人一人からの支援をもらうやり方は、今のYouTuberが過激化していくように、過激な方向に行かざるを得ないのかもしれない。
SNSでの高評価を得ることが目的になる
私自身にも当てはまる話だった。
4 本当にしたいことなのか?
栗城史多氏は初めは登山が大好きだったと思う。
でも、途中から好きでなくなったと筆者は語る。
それで、おかしな方向に行ってしまったのだ。
一例を挙げれば、エベレスト登山時に食料やガスなどを雪の下に隠していたらしい。でも、戻ると無くなっていた。曰く、カラスに食われたと。
エベレストにカラスがいるのだろうか?
普通に考えたらいない。
でも、いたのかもしれない。ネット情報には確かにある。
それでも、それはお粗末すぎないか?
そのくらいの備えもせずに、人様から集めたお金をみすみす捨てるようなことをしてしまうのは恥ずかしいことだ。
そんな恥ずかしいことを言ってしまえること自体がおかしいと、今なら思うのだ。
この辺りからも、山が好きでない一端は垣間見られる。
私も炭焼きをやりたいと言って、仕事も辞めてしまった。
なんか、栗城氏のように見えてしまった。
私も奇を衒(てら)うところがあり、栗城氏と似ている。
俺は本当にやりたいのか?
人に認められたくてやっているのではないか?
ものすごく不快感が残り、昨夜はよく眠れなかった。
ともあれ、自分が本当にしたいなら、命を顧みずにやったらいい。
でも、栗城氏のように、
「今更山登りしたくなくなったとは言えない」
なんてなってはいけない。
(おそらくそういうことだったのだろうと著者は推察する。しかしながら、真実は闇の中であるのは今後も変わらない)
「今までは山が好きだったけど、もう嫌いになっちゃったから辞めまーす」
なんて言えるようでありたい。
私も炭焼きをいつでも辞めていいと、心のどこかには持っていたい。
ブレた!
嘘つき!
もう信じられない!
なんて言われたっていいんだからね。批判されるのは怖いけど。
ありがとうございました!
【備忘】
10/28若干修正
・月にある山でなく火星の山だったので修正しました。
・表現の気になるところを修正しました。
ご縁に感謝です。サポート頂いたら、今後の学習投資に使わせて頂きます。