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UX思考で始めるポートフォリオ作成

こんにちは。ファインディ株式会社でデザイナーをしている鈴木です。

少し前ですが、GW前にVIVIVITさんでオンライン登壇をしたので、その時の資料をこちらにあげようと思います。

こんなに立派なサムネまで作成していただきました。ありがたい。


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前提

そもそも、なぜUX思考のポートフォリオを作ろうという話をしようと思ったのかというと、私の周りのデザイナーで
「UXデザイナーを目指したい。だけど今の職場じゃジョブチェンジは無理。UXデザインの経験もないから転職時にUXデザイナーとして採用してもらうのも難しい」
というUXデザイナー希望のジュニアデザイナーが増えているからなんです。

UXデザインってイラストレーションやグラフィックデザインと違って、自分だけでやってみようと思ってもなかなかリアルな物ができないんですよね。だったら、自分のポートフォリオをUXデザインプロセスに沿って作ってみたらどうだろう。というところが発端となりました。

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まずは私のご紹介から。

2019年秋よりファンディ株式会社にデザイナーとして勤務しています。
インハウスのデザイナーとしては一人目になるため、アートディレクションやデザインリードから手を動かすところまでデザインに関わる全てに関わっています。

Contents

テーマですが大きくこの3つについてお話していきます。

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1. すべての経験を重要視する
2. ポートフォリオは一つである必要はない
3. ポートフォリオ作成でUXデザインの経験を作ろう

最初の2つはポートフォリオを作る上でのそもそもの前提ですね。
どういう考え方でポートフォリオを作って行くといいのだろうという事を話していきます。

私が今まで見たポートフォリオで、
このポートフォリオは何を伝えたいのだろうということがよくわからない
というものがたまにあります。

私が若い頃も、どんな会社に何を見せればいいのか全く想像つかずに、
とにかく今までの仕事をきれいにたくさん並べればいいんじゃないか?
というポートフォリオを作ったりもしました。

そんな、若かりし頃の私のように、
どんなポートフォリオを作ればいいのかわからないという方に向けて、
なにか道標となるようなお話ができればと思います。

ポートフォリオに入れられるキャリアがない

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まず、そもそもとして、
ポートフォリオに入れられるような立派なキャリアがない
こんなことでお悩みじゃないですか?
私の周りの20代くらいのデザイナーには今の自分のキャリアに自信がない方多い気がします。


「全然立派なことが出来てなくてポートフォリオに入れるデザインができてない」

「同じような作業ばっかりでポートフォリオには入れられない」

というようなお話もよく聞きます。
でも、この考え方ってすごくもったいないと思います。

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実は華々しいキャリアなんて対して必要がなかったりします。
前職で一番見られた職歴はこれです。
今はもう名前がない、数十名の小さな会社についてでした。

~~ 登壇限定のお話のため途中割愛 ~~

皆さんもポートフォリオを作るときに、自分はどんな職場でどんな経験をしたのか、
それぞれの会社で何を求められてそのために何をしてきたのか、
ポートフォリオを作るときは入社時からさかのぼって経験の棚卸しをしてみて、行きたい会社にマッチしたスキルを提供できるというアプローチをするといいと思います。

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企業や選考で出てくる人によって求められることは結構変わってきます。
今まで自分がどんなアウトプットをしてきたのか、制作物をすべて振り返ってみましょう。
デザイナーの成果物は、Webサイトなどは時間によってなくなってしまうこともあるので作成したら早めにキャプチャしておきましょうね。

では、みなさんが、どんなポートフォリオを作れば良いのか次から見ていきましょう。

誰のためのポートフォリオ

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ちょっと考えてみてください。
アタナが今までに作ったポートフォリオは誰のために作ったものですか?

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どんな企業のどんな人を想定して作ったものか詳細に今言えますか?

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会社や専攻の段階によって様々な職種や役職の人がポートフォリオを見ます。
それぞれの立場に合わせてポートフォリオを作っていますか?
よくある面接で、現場の人はポートフォリオをじっくり見てくれたのに、社長面接では全然まともに見てくれないなんてことないですか?

それはポートフォリオがその人に対してミスマッチだったのかもしれません。

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例えば、人事の人は技術ではなくその人が会社にマッチしているのかを見ている人が多いですが、あなたのポートフォリオをみてそれがわかりますか?

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現場の人も需要は様々です。
即戦力になる技術を持っているか、今の会社のデザインにマッチしたアウトプットが可能か?
新規事業で全く違うデザインが必要になるときに対応できるか?
自分でなにかデザインの勉強をしているのか?
それが明確になっていますか?

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経営者に対して、自分のデザインをロジカルに説明できますか?
自分を採用することで会社にどんなメリットがあるのか、自分はどんな成長性があるのかをポートフォリオで表現できていますか?


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では、それぞれの立場に合わせた、
そんなポートフォリオはどうやって作ればいいのでしょうか?

UX思考で行うポートフォリオ作成

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UXデザインの制作プロセスに合わせてポートフォリオを作ってみましょう。
という提案をしていこうと思います。
ポートフォリオを作ることでUXデザインにぜひ挑戦してみましょう。


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プロセスの流れとしてはこんな感じで考えています。
すごくスタンダードなプロセスなのですが、
人によってネットでこんなUXプロセスにチャレンジしてみたいなどあれば、
ぜひこのベースのプロセスに追加してみてください。

リサーチ

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まずはリサーチですね。
自分の今のポートフォリオを見せて、意見をもらいましょう。
昔と違って今は他の人にアンケートを取ったり、意見をもらったりするのはとても簡単になっています。
是非試してみましょう。
デザイナーの友人などでも良いですが、
できれば自分よりスキルが高い上司やハイスキルなデザイナーに意見をもらえるようにしてみましょう。
twitterのアンケートやGoogleフォームなどを使ってみんなに意見をもらったりBehanceなどでいろいろな人に意見をもらいましょう。

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コンセプトの定義

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次に、リサーチの結果をもとに、ポートフォリオのコンセプトを決めていきましょう。
そのときにこの3点を注意しながら作っていきましょう。

ポートフォリオに求められることは何なのか?
あなたはどんなポジションを確立したいのか?
ポートフォリオで何を伝えたいのか?

このポートフォリオはなんのために作るのかということをきちんと考えてコンセプトを定義していきましょう。

ペルソナの設定

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次はペルソナの設定です。
ペルソナの作成はやったことがある方も居ると思います。

ペルソナを作るためには、実在するデータから作りましょう。
想像や推測は避けるようにしましょう。
ペルソナは架空の人物像ですが、事実に基づいたデータから作らなくては仮説の意味がありません。

最初は自分の身近な人から取得するのもいいと思います。
例えば自分の会社の上司や同僚たちをモデルにして、その人達がどういうロジックで動いているのか聞いてみるといいでしょう。

また、実際に面接を行って、自分の作成したペルソナと隔離していると思ったら修正して行きましょう。
UXの基本はリサーチなので、こちらはたくさんの人をリサーチしていき、具体的なペルソナを作っていく訓練をしましょう。

ニーズを抽出

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次はニーズの抽出です。
ペルソナから、面接で出てくる対象者がどういう能力がある人を求めているのか、仮設を立ててニーズを抽出します。
過去の面接での質問やコミュニケーションを思いだして、「あの人はなんでこんなことを聞いたんだろう」というのを考えてみましょう。

設計要件を考える

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次は設計要件を考えるですね。
ニーズをもとにどのような構成でポートフォリオを組み立てるといいか考えましょう。

例えば、
ペルソナで設定した現場デザイナーのAさんの場合
即戦力・チームワーク・作成したデザインの具体的な説明が必要なので、
作品を具体的に説明できるようページ数を多くして
自分が日々行っているアウトプットや勉強の成果なども入れてみよう。

ジャーニーマップ作成

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それが出来たら次はジャーニーマップですね。
なかなかジャーニーマップを使いこなすことが難しいという方も多いと思うのですが、そういう方はおそらく設計やレイアウトに活用できていないのではないかと思うのです。
デザインの設計やレイアウトを作る上で重要なのでぜひやってみましょう。

構成ができたらそれをもとにジャーにマップで確認しましょう。
これで仮説出でたニーズがクリアできているか
思考・感情にマイナスポイントがないか確認し、
そこがうまく表現出来ていなければ、構成をもう一度考えましょう。

ジャーにマップの作り方はネットにもたくさんのっているのでまずはそれを参考に自分で作ってみましょう。

レイアウト

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そしてやっとレイアウトですね。

ターゲットごとにレイアウトを変えてもいいし、
すべてのターゲットに合うようなレイアウトを作ってもいい
実際に作ってカスタマージャーニーマップに落とし込んで…というプロセスを繰り返して精度の高いデザインを作っていきましょう。

リサーチの結果を振り返り、問題がクリアになっているか確認しましょう。
「デザインがワンパターン」「読みにくい」などあれば可読性に気をつけたレイアウトをしてきましょう。
新しく作ったものを意見をもらった人にもう一度見せてみても良いと思います。

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ここまでできれば立派なUXデザインですね。
もちろん、ここまでにまとめた資料もUXデザインの1プロダクトとしてポートフォリオに掲載していきましょう。

これで、UXデザイナーを目指している方は

「私はこのポートフォリオはUXのプロセスに沿ってデザインしたものです、その具体的なフローはこちらにまとめました。」

のように言えば「おお、UXの基本をきちんとやってきたんだな」と思ってもらえると思います。
少なくとも私の面接でそれを見せてきたら「おお〜」と思いますね。

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最後に、お約束ですが貼っておきます。
Findyではデザイナーをはじめ、エンジニアやエンジニアマネジメントなど様々な業務を募集しております。

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