ビーよん

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ハートフルで本格なミステリ(櫻田智也『六色の蛹』ネタバレなし感想)

 すごいミステリを読んでしまった。  ……などと書くと普通は、ジャンル分け不可能なカオス、キワモノ、グロテスクやイヤミスを読んだと思われるかもしれない。巧妙に組み立てられたコンゲーム物を想像する方もいるだろう。  もちろんそれらも大好物なのだけれど、こと今回においては違う。  どちらかというとハートフルだし、ケレン味たっぷりな本格ミステリとは一線を画した、エッセイ味すら漂う推理短編集。櫻田智也『六色の蛹』だ。  偉そうに書いているが、私は今作含め<魞沢シリーズ>の大ファンな

    • 私たちは本当に習近平を笑えるか?という話

       圧倒的な(感じに見える)抗議のためか、中国ではゼロコロナ政策は一気に緩和に傾き、いまも大混乱している模様です。わたしは当初、各社マスコミ同様この現状について「やっぱり中国だしなあ」なんて単純な見方をしていました。行き過ぎた情報統制を見るたびに、笑みがこぼれるくらいでした。  覇権主義、民衆の締め付け、毎日数時間ごとのPCR検査、徹底的な隔離と半ロックダウン。どれも中国政府が主導して行い、爆発的な人口の割には感染が抑えられていて、良くも悪くも中国らしい対応だった。けれど民衆も

      • 「生産性」の重要性について

         職場のわたしの部署には十五人の社員がいて、未婚はたったの三人。  私もその一人なのだけれど、ここ2、3年、やけに結婚の波が来ています。おかげで、最高50歳、最低25歳という割と若めの職場にもかかわらず、です。(しかも出産も多い。だったら男でも産休・育休取れやと思うのですが……)  同期の社員も、遠い地で営業しながら結婚が決まったと聞いて、「このコロナ禍に何の営業してんだコラァ?」と思わず脳内で悪態ついたものの……  なんか最近、こういう他人の幸せが妙に嬉しい。  例

        • ワクチンが教えてくれたこと

          先日、新型コロナウイルスのワクチン接種(自衛隊の大規模接種です。要望があればそっちのレポートも書きます)2回目が完了しました。 そこでどうしても書きたいことがあったんですが、発表の場がないのでnoteに登録しました。 ってこう書くとワクチンについての記事か?ってなるかもしれませんが、違います。(タイトルと矛盾するけど) バリアフリーについてです。 もともとバリアフリーって、障碍者や高齢者に対して社会で生活する上で差し障る物理的・精神的障壁を取り除くことを言うそうです。

        ハートフルで本格なミステリ(櫻田智也『六色の蛹』ネタバレなし感想)