中華王朝の正史とは何ぞや?

一部で流行りのPerplexityに検索させてみました。この検索エンジンは参考にした出典も出してくれるところがちょっと便利なところです。

「正史とは、中国の王朝が公式に編纂した歴史書のことであり、その国の政府が正統と認め、対外的にも公式の歴史として扱われます。中国の二十四史が代表的なものであり、各王朝が成立すると前王朝の歴史を編纂するのが通例となっています。正史は、王朝の正当性を示すために編纂されたものであり、そのために、王朝の歴史を美化したり、都合の悪い事実を隠したりすることがあったとされています。」

Perplexity

さて、中華王朝の「正史」というのは「歴史的な目線で見て正しい」わけでもなく「客観的事実として正しい」わけでもなく、「歴史書を書いた人たちが正しいと主張している情報」であるというのが大事なところです。

宗教の教義や戒律は信者にとっては正当性を持ちますが、信者以外の人間にとっては正当性も影響力も持たないというのと似たようなものであるといえば分かりやすいかもしれません。

正史があくまで王朝正当化のための編集をしているであろうことを推測できる分かりやすい例としては、王朝の最後の人間はたいてい「暗愚」もしくは「非道」に描かれるという点があります。

殷王朝の最後の人である紂王や妲己はこの上なくひどい人としてよく描かれますが、これは王朝の最後の部分はその王朝を倒した次の王朝の人が書くので「倒されて当然のひどい奴ら」として記述されるからです。

三国志のような歴史小説が「面白さ」という正義に縛られるのと同様で、王朝の国家プロジェクトとしての歴史書は「王朝の正当性の主張」という正義に縛られます。これ自体は善でも悪でもなく、そういう性質なのだと思っておいたほうがよいでしょう。

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