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【全文公開】ストレッチ1 物語には始まりと終わりがある "「私」物語化計画"

11月16日、オンラインサロン"「私」物語化計画"がスタートした。第1回目の講義タイトルは「ストレッチ1 物語には始まりと終わりがある」。ストレッチとは準備運動のことだ。開講記念として、Webサイト上に講義内容が全文公開されている。以下、前書きとなる動画とWebサイトのリンクを貼った。まずは、この2つをチェックしてほしい。

以下、この講義を読んでの、わたし個人の感想だ。

わたしの感想

頭に浮かんできたのは2つの小説だった。

ひとつは「あなたの人生の物語」。著者はテッド・チャン。1999年に登場したSF史上に残る傑作だ。この小説をもとにして、2017年に「メッセージ」というタイトルで映画化された。

「あなたの人生の物語」ではエイリアンとのコンタクト(接触)が描かれている。ただ、内容を一言で説明することができない。エイリアンのもっている言語が人間から見ればとても変わっているのだ。単純に言う。この言語では、すべての物語が始まっている時点で終わりをわかっている。そういう言語だ。

ストレッチ1 物語には始まりと終わりがある」ではさまざまな例を挙げながら、物語には始まりと終わりがあるという構造を説明している。とてもわかりやすい説明だ。ならば、テッド・チャンはこのような物語の構造に挑戦していることになるだろうか。以前、「あなたの人生の物語」を読んでいたときには、まったくそのような視点がなかったので、目からウロコな気分だった。

「あなたの人生の物語」の原題は「Story of Your Life」。"「私」物語化計画"にピッタリのタイトルだと感じたので、noteのIDを「storyofmylife」にした。「Story of My Life」…「わたしの人生の物語」だ。

もうひとつは「エドウィン・マルハウス」。著者はスティーヴン・ミルハウザー。岸本佐知子さんの翻訳がとても素敵な長編だ。11歳の天才少年の伝記を、友だちが書くという設定になっている。読み進めていくと、メインとなる少年と、伝記を書いているその友だち、どちらが天才なのかわからなくなってくる。

たとえば、インタビュー記事。インタビューされる側の話をインタビューする側が引き出すのだが、記事の内容はインタビューする側の「知」で決まってくる。あくまでも記事を書くのはインタビューする側なので、その「知」を超えた話を文章化できないというわけだ。

これは言葉を職業とする人だけに当てはまることではない。医者は患者の話を読み取らなければならないし、親は子どもに文章や会話で絆を深めていかなければならない。どんな人だって、そうだ。日本語を母国語としている人たち、みんなに共通することだ。

どのような人でも「私」を物語化していくのは人生の重要なテーマであって、作家希望の人だけではなく、"「私」物語化計画"はすべての人に有益なステップだという気がした。そして、結果や結論よりも計画、それに至る過程が大切になってくるのかもしれないと。

2つの小説を浮かべながら、こんなことを考えていた。


Text:Atsushi Yoshikawa

(注)感想はあくまでも、わたし個人の感想です。決して、"「私」物語化計画"の講義に対する正答や正解ではありません。

#オンラインサロン #私物語化計画 #山川健一 #小説 #作家 #物語には始まりと終わりがある

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