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【短編小説・シリーズ】セラセラハウス

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ある都市、ある街のありふれたマンション「セラセラハウス」。そこに住んでいる住民24人の話をお届けします。シリーズですが、一話ずつ完結なので、どこから読んでも大丈夫です!
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2021年1月の記事一覧

【短編小説シリーズ】セラセラハウス 102号室:三つ子の料理教室

102号室 三つ子の料理教室 どうもー みっちゃんです!三つ子の末っ子だからみっちゃん、そろそろ覚えた?(部屋の奥でカメラを回しているいっちゃんにスマホを向けて)長女のいっちゃん!(自称監督を勤めている目の前のふうちゃんにスマホを向けて)次女のふうちゃん!(撮らないでと言わんばかりに手袋が飛んでくる)、はいはい(自分にスマホを向けて決め顔)三女のみっちゃん! というわけで、今日は特別企画として、三つ子の姉妹が集まってお届けしてまーす!今日の料理教室のテーマは「おうちの変わ

【短編小説シリーズ】セラセラハウス 101号室:名前のない猫

101号室 名前のない猫ねーねー 彼女の声が聞こえて目を覚ました。昨夜飲みすぎたせいか頭が回らない。ここはどこだっけ。カーテンは見慣れた淡い青。ああ、お家だ。よかった。ちゃんと帰ってきたんだ。慌ててベッドの隣を確認した。見知らぬ女の子も連れてきていない。よかった。 ねー また僕を呼ぶ声。1週間ぶりかな。先週は飲み屋を転々しているうちにどこかで出会った見知らぬ女の子を連れてきたのを彼女にばれてしまった。それから彼女は来てくれなかったのだ。ごめんね。 ねー 「はーい、いるよー

【短編小説シリーズ】セラセラハウス プロローグ:引っ越し

プロローグ 引っ越し駅からまっすぐ4分ほど歩いて、右に曲がって4分ほど歩くと、承和色(そがいろ)の3階建てのマンションが現れる。路地から見える3階の角部屋の窓は、今日もオレンジ色の光を発している。この暗い地球の街角に光る四角のお月様のように。18時32分。帰宅時間が早いのか、在宅勤務が続いているのか、毎日この時間その窓はオレンジ色に染まっている。301号室。当然のことながら誰が住んでいるかは分からないけど、遠くから見えるその光に、「あ、うちに着いた」と思う住民も結構いるらしい