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この世界で君と出会う【1⃣〜8️⃣】

1⃣
(椿と椿の母が会話しているシーン)


母「椿、学校遅刻するわよ!」

椿「わかってる。行ってくる。」

母「気をつけて。」


(椿が自転車に乗って登校している)
(十字路で椿の右側からトラックが向かってくる)
(トラックと椿が勢いよくぶつかる)


女子高生「きゃぁぁぁっ!!」

おばさん「き、救急車…!」

運転手「う、うそだろ…俺っ…」

椿の心の声『あぁ…朝からうるせぇなぁ…なんだよ、なんなんだよ…。救急車…?なんでみんな集まってんだよ…。あ…?なんか、眠くなって……』

母「椿…!ねぇ、しっかりしてっ…!」
おばさん「揺さぶっちゃダメよ…!」

椿の心の声『かあ、さん…??なんで、泣いて………』


(椿目を覚ます)


椿「んっ…ここは…?」

天の声「ありゃ…?君まだ死んでないじゃないかぁ〜」

椿「…は?」

天の声「え?」

椿「なんか、声が聞こえて…」

天の声「あっ、そうだったぁ、僕は君に見えないんだったねぇ〜」

椿「どこにいるんだよ、お前誰なんだよ…」

天の声「姿見たい?」

椿「早くしろ。」

天の声「せっかちだなぁ〜もう〜。じゃあいくよ〜?ちちんぷいぷい〜!!!」

椿「なんだそれ。」

天の声「んーーーーっ!じゃーん!!!」


(天の声の姿が見える。)


椿「うわっ。…ガキか…?」

クロノ「ガキじゃないよっ!!!」

椿「ふーん…」

クロノ「僕はクロノ。この世界の案内人だよ。」

椿「案内人…?」

クロノ「君は死んだ人間が連れて来られる世界に来ちゃったんだ。」

椿「死んだ…?俺が?」

クロノ「そう。でも正確にはまだ死んでないよ。君は間違えて連れてこられちゃったんだ。君はまだ生きてる。」

椿「どういうことだよ。」

クロノ「これを見れば、君に何があったのか分かるよ。」


(そう言ってクロノが手で星マークを描く。)
(地面には病院のベッドで眠っている椿と傍で泣いている母がいる。)


椿「母さん…?それと、俺…?」

画面の母「椿っ、ねぇ起きて…!事故なんて嘘よ…!だって、さっきまで生きてたのに…!」

椿「事故…?……ぁっ…」

クロノ「思い出した?」(画面を消す)

椿「そうだ…俺、トラックとぶつかって…」

クロノ「君は今意識不明なんだよ。」

椿「死んでは、ないんだよな…?」

クロノ「うん。でもこの人工呼吸機を外してしまえば、君は死んじゃうよ。」

椿「母さん…」

クロノ「ん〜でもなんでここに連れてこられちゃったんだぁ…?あっ、さては管理人のミスだなぁ〜?全くあの人は〜…。」

椿「なぁ、クロノ、だっけ…?」

クロノ「うん、クロノだよ。なに?」

椿「俺は元の世界に戻れるのか?」

クロノ「うん。恐らく管理人がサボってたからここに連れてこられたんだと思うから、現実世界の君が目を覚ますようなことがあればきっと戻れるよ!」

椿「それまで俺はここにいるのか…?」

クロノ「そうだねぇ、申し訳ないけど…そうなるね〜…。」

椿「……。」

クロノ「うーん…あっ、そうだ!!」

椿「なんだよ。」

クロノ「優しい人を知ってるんだ!君をその人に合わせてあげるよ!きっと元の世界に戻れるまでは何とかしてくれるよ!」

椿「優しい人…?」

クロノ「うん!着いてきて!」



2⃣
(屋敷の裏から忍び込むクロノと椿)


椿「おい、これ犯罪だろ…。」

クロノ「いいんだよぉ〜。バレなかったら!」

椿「……。」

クロノ「あっ、いたいた!ローズ様!」

ローズ「…!びっくりした、クロノ…。何しに来たのよ…。」

クロノ「遊びに来ました!」

ローズ「それどころじゃないのよ。」

クロノ「あと、人を連れてきました!」

ローズ「…は?」

クロノ「はい、自己紹介!!」

椿「はぁ?いや、いきなりだろ。まずは状況を説明しろチビ。」

クロノ「チビじゃないってば!クロノだよ!」

ローズ「…この口の悪い男は誰?」

椿「はぁ?お前こそ誰だよ。」

ローズ「は?私はこの世界の女王だ。生意気言える立場でもない人間が偉そうに…。」

椿「あ…?女王だかなんだか知んねぇけど、名前も名乗れねぇのかよ。礼儀がなってないんじゃねぇの?」

ローズ「…クロノ。」

クロノ「はい!」

ローズ「こいつはなんだ。」

クロノ「死んでないけど、連れてこられちゃった可哀想な日本人男子です!」

ローズ「…はぁ?死んでない…?なのにここに来たの…?」

クロノ「恐らく管理人がサボってたせいです!」

ローズ「クロノの上司はテキトーなのね。」

椿「おい、勝手に話進めんな。てか何の話だよ。」

ローズ「…あなた名前は?」

椿「いや、だからお前から…」

ローズ「ローズ。ローズ・アグレシアよ。」
(椿のセリフを遮って)

椿「…椿。高嶺椿だ。」

ローズ「…クロノ、椿は元の世界に戻れるの?」

クロノ「もちろんです!でも、元に戻るには現実世界の彼が目を覚ます必要があるんです。」

ローズ「なるほどね。それで、元に戻れるようになるまでこの屋敷で何とかしろってこと?」

クロノ「ぴーんぽーん!大正解です!!さすがローズ様!!…で、答えは…?」

ローズ「…ここにいるってことは、しばらく執事よ。それでもいいの?」

椿「は、え、執事?そんなことやったことねぇ…」

クロノ「大丈夫ですよ!!執事似合いますよきっと!」(椿のセリフ遮って)

椿「おい…!」

ローズ「なら、戻るまでなら構わないわ。」

クロノ「ありがとうございます!ローズ様!!」

椿「…不安でしかねぇ…。」

ローズ「…まずはその服ね。制服姿だと目立って、市民を屋敷に連れ込んだってバレちゃうわ。」

椿「あながち間違ってねぇけど。」

ローズ「…そうね、ソアなら何とかしてくれるかしら…。」

椿「ソア…?」

ローズ「ええ。着いてきて。」



3️⃣
(ソアの部屋)
(ローズが部屋をノックする。)


ローズ「ソア、いる?」

ソア「?ローズ様?あいてますよー。」


(扉開ける。)


ローズ「ソア、今いいかしら?」

ソア「はぁい、大丈夫ですよぉ。って、その男誰ですかぁ?」

ローズ「クロノが連れてきたの。まだ生きてる人の子で、管理人のサボりのせいで間違えて連れてこられたそうよ。」

ソア「なるほどぉ〜。上司クソですねぇ〜。」

クロノ「そーなんですよぉー!!!」

ローズ「で、この服じゃあまり良くないから何とかしないといけないんだけど…ソア、服の余りってない?」

ソア「ありますよぉ。サイズ合うか分からないからこれ、1度着て貰えますかぁ?」

椿「…はぁ…。」

ソア「ほら、クロノちゃんとローズ様はお部屋から出ていただけますかぁ?プライバシーですよぉ?」

ローズ「何がプライバシーよ。…まぁ、いいけど。ほら、クロノも行くわよ。」

クロノ「わかりました〜!」


(数分後)


ソア「ローズ様、クロノちゃん、もう入ってきて大丈夫ですよぉ。」

ローズ「遅い。着替えだけなのにどれだけ待たせるつもりよ。」

クロノ「待ってる間にお腹すいちゃいましたよー!」

椿「…なんか違和感…。」

ローズ「……ふーん…。」

クロノ「おぉ〜!!!様になってるじゃないですか〜!ね?ローズ様!」

ローズ「…まぁ、いいんじゃない?」

ソア「とてもお似合いですよぉ。」

椿「…ていうか、ほんとに執事として働くのかよ…。」

ソア「形だけでいいんですよぉ、こぉーいうのぉー。」

ローズ「ソアしか許されないわよ、そーいうの。」

ソア「人と同じことってつまらないじゃないですかぁ。」

椿「メイドらしくないっすよね…」

ソア「私は私らしくメイドやってますぅ。」

椿「…執事って、なにするんだよ…。」

ローズ「知らないわよ。」

椿「は?」

ソア「私も執事の仕事までは把握してないんですよねぇ〜。」

クロノ「メイドさんと同じだと思ってました!!」

ソア「まぁ、似たり寄ったりじゃないですかぁ?」

ローズ「あっ、イリヤに教えてもらえば?」

椿「イリヤ…?」

ソア「あ〜いいですねぇ。イリヤさんなら丁寧に教えてくれますよぉ。今恐らく庭にいるとおもうけど…」

クロノ「じゃあ行きましょー!」

ローズ「そうね。」



4️⃣
(庭に向かう4人のシーン)


クロノ「いつ見ても綺麗なバラですよね〜!!」

ローズ「イリヤが手入れしているんだもの。」

ソア「イリヤさんは何事にも手を抜かない完璧な人ですからねぇ。」

椿「へぇ…。」


(茂みに隠れていた街人がローズに向かって石を投げる。)


市民「この人喰い魔女め…!!」

ローズ「っ…!」


(ローズの腕に当たる。)


クロノ「ローズ様!」

ソア「大丈夫ですか?」

椿「っ、おいお前っ…!」(市民を追いかけようとする)

ローズ「椿、やめて。いいの、放っておきなさい。」

椿「でもお前…!」

イリヤ「もう捕まえたよ。」


(市民を捕まえて4人の前にイリヤ現る。)


クロノ「ナイスです!イリヤさん!!」

ソア「ありがとうございます。」

市民「くそっ!離せっ!!」

イリヤ「悪いがそういう訳にも行かなくてね。クロノちゃん、飛龍を呼んできてくれるかい?さっきまで一緒に話してたから近くにいるはずなんだ。」

クロノ「わかりました!!!」

イリヤ「さて、君はしばらくここで大人しくしててね。」


(イリヤが魔法で檻を作りその中に市民を閉じ込める。)


市民「なんだよ、これ!」

イリヤ「大丈夫、触れると電流が流れるだけさ。」

市民「何が大丈夫なんだよ!!?」

イリヤ「さて…ローズ様、あの石確か肩に当たりましたよね…。お怪我がないか確認させて頂けますでしょうか?」

ローズ「大丈夫よ。」

ソア「傷跡が残ってしまったら大変です。」

ローズ「……。」

イリヤ「ソア、ローズ様をお部屋へ。」

ソア「分かりました。ローズ様、行きましょ。」

ローズ「…分かったわ…。」


(ローズとソアは部屋へ戻る。)


クロノ「イリヤさんー!!!飛龍さん連れてきました!!」

イリヤ「クロノちゃん、ありがとうね。」

飛龍「なんですか?」

イリヤ「あぁ、ごめんね、急に呼んで。この無礼者の処罰をお願いしようと思ってね。」

市民「何が無礼者だ!俺はあの魔女に…彼女を殺されたんだ!」

飛龍「…ローズ様が何をなさったというのでしょうか?証拠があるのですか?」

市民「そ、それは…。フレア様が…。」

イリヤ「またフレア様ですか?飛龍、君の担当だろう?どういう教育を?」

飛龍「申し訳ございません。とりあえずこの無礼者は丸焼きの刑に処しますね。」


(飛龍が手錠をかけて連れていく。)


イリヤ「全く…。」

椿「…凄すぎて声が出ねぇ。」

イリヤ「すまないね、君名前は?」

椿「高嶺椿。」

イリヤ「椿…。日本人だね?」

椿「…?あぁ、そうだけど…。」

イリヤ「僕はイリヤ。日本人が好きなんだ。仲良くしてくれると嬉しいな。」

椿「…あぁ。」

クロノ「あっ!そうだイリヤさん!!」

イリヤ「ん?なんだい、クロノちゃん。」

クロノ「実は彼、ここに来たばかりで、しばらくの間執事としてこの屋敷に住むことになったんです!だから、執事の仕事を教えて欲しくて…!」

イリヤ「あぁ、なるほど…。構わないよ。」

クロノ「わぁ!ありがとうございます!!」

椿「…よろしくお願いします…。」

イリヤ「うん、よろしくね。他の執事やメイドとはもう会ったかい?」

椿「いや、ソアとイリヤさんだけ。あと、話してはないけどさっきの飛龍さん…?って人…。」

イリヤ「そうか。ならまずはみんなに挨拶しに行こうか。案内するから着いてきて。」



5️⃣
(エヴァの部屋の前)
(イリヤがノックする。)


イリヤ「エヴァ、いるかい?」

エヴァ「…あぁ。」

イリヤ「失礼するよ。」

エヴァ「なんだ。」

イリヤ「新しい執事を紹介したくてね。」

エヴァ「新しい薬を作っている。暇じゃないから手短に。」

イリヤ「相変わらず熱心だね。紹介するよ、高嶺椿くんだよ。」

椿「…初めまして…。」

エヴァ「…エヴァだ。」

イリヤ「椿くん、大丈夫。彼はあぁ見えて優しい人だからね。」

椿「はぁ…。」

エヴァ「忙しいんだ、戻れ。」

イリヤ「わかったよ。椿くん、次へ行こうか。」

椿「はい。」


(部屋を出る。)
(廊下で女の子とぶつかる。)


ミア「きゃっ!!」

椿「わっ…」

ミア「ご、ごめんなさい!!お怪我はありませんか…!?」

椿「…大丈夫…。」

イリヤ「ミア、廊下は走らないって伝えただろう?」

ミア「はわわっ、ごめんなさい、イリヤさん!」

イリヤ「あ、そうだ椿くん。ミアも挨拶まだだよね?」

椿「え、あ…はい。」

イリヤ「ミア、今少しだけいいかい?」

ミア「え?はい!大丈夫です!」

イリヤ「紹介するよ、新しい執事の椿くん。」

ミア「わぁ!新しい執事さんだったんですね!私はミアです!よろしくお願いします!」

椿「…高嶺椿。よろしく。」

ミア「はい!」

イリヤ「ごめんね、急いでるところ止めてしまって…。」

ミア「…あ!そうでした!エヴァさんに薬草を頼まれてて…!ごめんなさい、私もう行きますね!!」


(ミアがぺこりとお辞儀して走っていく。)


イリヤ「全く…走るなって言ってるのに…。」

椿「忙しいメイドっすね…。」

イリヤ「彼女はエヴァの助手だよ。いい子だから仲良くしてあげてね。」

椿「まぁ、ほどほどに…。」

イリヤ「君も馴れ合うのは苦手なタイプなのかな?ふふっ、まぁいいんだけどね。じゃあ次の部屋に行こうか。」



6️⃣
(薄暗い地下にある罪人用牢獄にて)


椿「寒いっすね…。」

イリヤ「ここは地下だからね。」


(屍が転がっている。)


椿「これ…って…」

飛龍「罪人の成れの果てですよ。」

イリヤ「やぁ、飛龍。さっきの罪人は?」

飛龍「あれです。とりあえず喋れなくしておきましたが、この後はどうなさいますか?」

イリヤ「君に任せるよ。」

飛龍「わかりました。」

イリヤ「少し今いいかい?」

飛龍「はい。」

イリヤ「彼のことをちゃんと紹介出来ていなかったなと思ってね。」

飛龍「あぁ、先程の。」

椿「高嶺椿です。」

飛龍「飛龍といいます。よろしくお願いします、椿さん。」

イリヤ「しばらく執事としてここにいるから、優しくしてやってくれよ。」

飛龍「はい。」

椿「…あれ、クロノは…?」

イリヤ「あぁ、あの子なら入口のところ。ここには怖くて入れないんだって。いつも入口で待ってるんだよ。」

椿「へぇ…。クロノはよくここに来るんですか?」

イリヤ「頻繁って訳では無いよ。あの子にも仕事はあるからね。」

椿「なるほど…。」

イリヤ「じゃあ僕達はそろそろ行くよ。ありがとう、飛龍。」

飛龍「わかりました。」

イリヤ「椿くん、行こうか。」

椿「はい。」



7️⃣
(桜が掃除をしている。)


イリヤ「桜。」

クロノ「桜さーん!」

桜「イリヤ、クロノちゃん、お疲れ様。あら?その子は?」

イリヤ「彼は椿くん。しばらく執事としてここに住むことになった日本の子だよ。」

桜「はじめまして、私は桜。あなたと同じ日本人よ。よろしくね。」

椿「高嶺椿です…。」

桜「緊張してる?」

椿「えっ、あぁ…いや、俺以外にも日本人がいるんだなぁって…」

桜「日本人は珍しくないわよ。この屋敷では珍しいかもだけど、街に行けばたくさんの日本人がいるわ。」

椿「そうなんっすね…。」

フレア「あら?お客様?」

椿「え?」

クロノ「あ、フレア様。」

桜「フレアお嬢様、本日のお勉強はもうおしまいで?」

フレア「えぇ。それより彼は…?」

桜「この方は新しい執事です。」

椿「高嶺椿…。あんたは…?」

フレア「…私はフレアよ。執事なのに敬語を使わないなんて、面白い方ね?」

椿「あっ…。」

イリヤ「まだ慣れていないんですよ。これから私がいろいろお教え致しますので、今日の所はお許しください、フレア様。」

フレア「私は別に怒っていないわよ?むしろ興味があるの。ねぇ、あなたのこと…もっと教えてちょうだい?」

椿「えっ…と…」

ソア「椿さんー。」

椿「ソア。」

ソア「…ぁ?なんでこの方いるんですか?」

フレア「あら、居ちゃいけないのかしら?」

ソア「…別にぃ?それより、イリヤさん。椿さん借りていいですか?ローズ様が呼んでこいと。」

イリヤ「構わないよ。全員紹介出来たからね。椿くんも、今日はローズ様やソアたちといてくれて構わないよ。明日からいろいろ教えるからね。」

椿「はい。失礼します…。」

ソア「じゃ、借りていきまぁーす。」

クロノ「あっ!僕も行きます!!」


(ソアと椿とクロノはローズの元へ。)


フレア「…面白くない…。」

イリヤ「フレア様?」

フレア「…いえ、なんでもないわ。それよりわ飛龍は見なかった?」

イリヤ「飛龍でしたら、恐らく地下牢でいるかと思います。」

フレア「そう。ありがとう、イリヤ。」


(フレアは地下牢へ向かう。)


イリヤ「さて、僕も仕事に戻るよ。桜、また後で…。」

桜「えぇ。また…。」


(二人微笑み仕事に向かう。)



8️⃣
(地下牢にて)


飛龍「さて、この後どうしましょうかね…。」

市民「や、やめて、くれ…こ、ころさないで…」

飛龍「殺すな、ですか。私の判断では出来かねます。まぁ、どういう刑に処すかは選ばせてあげますよ。」

フレア「飛龍。」

飛龍「おや、フレア様。」

フレア「…こいつは何?」

飛龍「あぁ、この薄汚いドブネズミですか?こいつはローズ様を怪我させた不届き者ですよ。フレア様、こいつに何か吹き込んだのですか?」

フレア「は?」

飛龍「このネズミさん、ローズ様に手を出した理由を問いただした際に、フレア様が。とと仰っていましたので。」

フレア「知らないわよ。」

市民「そ、んな…。フレア、様が…彼女を、ころしたって…」

フレア「あぁ、あの時の。嘘に決まってるじゃない。お姉様が殺したのではなくて、私が殺してあげたの。あの女、抵抗している姿も滑稽だったわぁ!」(笑いながら)

市民「そ、そんな…」

飛龍「フレア様、こいつはどう致しますか?殺さないでと申しておりますが。」

フレア「そうね、こいつ生きてたらいつどこで私が悪者にしたてあげられるかも分からないもの。殺してさしあげて。愛おしいあの女と同じ場所に行けるといいわね?」

飛龍「や、やめっ…」

飛龍「かしこまりました、フレア様。…さて、どのようなやり方がお好みですか?丸焼き、ギロチン、首吊り…。それとも…」

フレア「そうねぇ、私今とってもお腹がすいてるの。」

飛龍「では、丸焼きに致しますね。」

市民「ひっ…」

フレア「飛龍に任せるわ。それと…。」

飛龍「なんでしょうか、フレア様。」

フレア「…話があるの。そのネズミの処分が終わったら声をかけてちょうだい?」

飛龍「かしこまりました。では準備させていただきます。」

市民「いやだ…しにたく、ない…」


(手足を縛られ火炙りにされる市民、叫ぶも直ぐに息絶える。)


フレア「…不味そうだからあとでちゃんとバレずに処分しておきなさいよ。」

飛龍「はい、かしこまりました。」


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