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罰ゲーム【2️⃣0️⃣〜2️⃣3️⃣】

2️⃣0️⃣(鏡と有咲と悟がいる4階)


有咲「…鏡ちゃんが鬼って…。」

鏡「さっきも言ったけど、もう1人の鬼は悠真だ…。」

悟「それで僕達に協力を求めたって訳か…。」

鏡「おう。有咲と悟は仲良さげだし、二人でいるところを割って入る様なKY野郎はせいぜい朋也くらいだろ…。それに、さっき悠真が胡桃を誘ってどっかに行ったのも見ただろ…?」

有咲「うん。」

鏡「多分だけど、協力を求めに行ったんだろ…。」

悟「なるほど…。まぁ、協力しないと勝てやしないからね…。」

有咲「これ、結局みんなで殺し合うってことじゃ…。」

鏡「そういうことだろ。協力がバレたら協力者は殺されるかもしれない。鬼同士は必ず殺し合わなければならない。それに、勝った方が出られるなんていう保証もない。」

悟「そんなことは一言も言ってなかったからね…。」

鏡「2人に協力を求める…。その代わり、2人が殺されそうになったら必ず守る。…死んだってかまわない…。」

悟「協力を求める代わりにってことか…。」

鏡「囚人には金なんかねぇからな…。」

有咲「…わかった…!協力する。だけど鏡ちゃん、自分の命は自分で守る…。だから鏡ちゃんは自分の命を優先に行動してね…。」

鏡「有咲…。」

悟「そうだね。僕もそういう取引は嫌いだから…。」

鏡「悟…。…ありがとう。」

悟「僕らは何をすればいい?」

鏡「まずは武器を探さないと…。2人が動くのは相手にバレて殺される可能性が高い。だから武器はこっちで探す。2人は相手の様子を見てて欲しい。怪しい行動はすぐ教えてくれ。」

悟「わかった。」

有咲「うん、わかったよ。」

悟「有咲ちゃん、ここからは必ず僕と2人で行動すること。いいね?」

有咲「わかりました!」


(壁の方からもの音が聞こえる。)


鏡「…誰かいる。」

有咲「えっ…」

悟「…そこにいるのは誰だ…?」


(ルカがルナの手を繋ぎ出てくる。)


悟「っ!あの時の子供…。」

鏡「…おいそこのガキ。こんなことに巻き込んで、タダで済むと思うな…!」

ルカ「…!ごめんなさい…」

有咲「まって、鏡ちゃん!…後ろの子、様子がおかしい…。」

ルカ「…ぁ…ルナ、平気…?」

ルナ「…ん…。」

ルカ「…お姉ちゃん、そこのベッド、使ってもいい…?」(ソファーを指さし)

有咲「うん、いいよ。」

ルカ「ありがとう…。ルナ、ちょっとだけ座ってて。お水とお薬持ってくるから…。」

ルナ「やだやだやだ…ルカくんも一緒にいてよ…。」

ルカ「それじゃあお薬とお水持って来れないよ…。」

鏡「……水が必要なのか。持ってきてやるよ。まってな。」

悟「薬はこの部屋にあるのかな…?」

ルカ「うん、お水もお薬もこの部屋にあるよ…。ここは薬品管理倉庫ってパパが言ってた…。」

有咲「パパ…?」

ルカ「うん、パパ。でもお姉ちゃんたちがあったのはママだよ。」

有咲「…いつのまに子供なんて…。」

悟「この部屋にあるなら取ってあげるから、君は彼女についててあげて。」

ルカ「…お兄ちゃんありがとう…。」

鏡「ほら、水。ぬるいけどいいのか?」

ルカ「うん。いいよ。…お姉ちゃんもありがとう…。」

有咲「…風邪かな…?お熱あるみたいだし…。」(ルナのおでこに手を当て)

ルナ「っ!」(怖くてびっくりしちゃう)

有咲「ご、ごめんね、びっくりさせちゃったかな…。」

ルカ「…ルナ、お姉ちゃんたちは大丈夫だよ。」

ルナ「……ほんと…?」

ルカ「うん、ほんと。」

有咲「大丈夫、なにもしないよ。びっくりさせちゃってごめんね?」

ルナ「……ビックリしちゃって、ごめんなさい…」

有咲「ううん。2人は双子?」

ルナ「うん…ルカくんが、お兄ちゃん…。」

有咲「そっか!あ、ごめんね、身体辛いのにおしゃべりいっぱいしちゃって…。お兄ちゃんも横にいるから、安心してもたれてていいからね…!」

ルナ「うん…。」

鏡「…ちょっと飲んでおけよ。ぬるいけど、無いよりマシだろ…。」

ルカ「ルナ、お姉ちゃんがお水くれたよ…。お水飲める?」

ルナ「…ん…。」

鏡「…見てて可哀想に思えてくるな…。親はきっと放ったらかしってところだろうし…。」

有咲「……っ…。」

悟「薬はこれかな…。症状にもよるけど…。」

鏡「…なぁ、ルカって言ってたな。妹の症状は言えるか?」

ルカ「お熱だけ…。」

悟「じゃあこっちで大丈夫かな…。」

ルカ「お兄ちゃんありがとう…。ルナ、これ飲める…?」

ルナ「…これ大きいの…いやだ…。」

ルカ「…どうしよう…。」

悟「じゃあ、こうしよっか。」


(錠剤を2つに割る。)


悟「少し小さくしたから、飲みやすくなったと思うけど、どうかな?」

ルカ「お口に入れて、お水で飲み込むだけだよ、ルナ、頑張って…。」

ルナ「…ん…。」(ひとつを飲み込む)

悟「よし、ひとつ飲めたね。後もうひとつ…。」

ルナ「…もうやだ、のみたくない…。」

ルカ「…ルナ、1個飲めたのえらいね…。いい子いい子…。もう1つ、頑張ろうよ、ね…?」(なでなでして)

ルナ「……ぅん…。」

鏡「扱いが上手いな。」

悟「慣れっこって感じだね。」

ルナ「……ん…」(飲み込む)

有咲「…よかった、ちゃんと飲めたみたいだね…。」

ルカ「…お兄ちゃん、お姉ちゃん、手伝ってくれてありがとう…。」

悟「いいよ。早く部屋に戻って休ませてあげて。」

ルカ「うん。」

有咲「明日には良くなってるといいね…。」

ルカ「…お姉ちゃんたちに教えてあげる。ここだけの秘密…。」

鏡「秘密…?」

ルカ「うん…。誰にも言っちゃダメだよ…?」

有咲「うん…。」

ルカ「…もう1人の鬼さんは胡桃っていうお姉ちゃんを味方に付けて行動するみたい。」

鏡「っ!やっぱり…。」

ルカ「…それと、悠真っていうお兄ちゃんはこの機械の、電源を切れば警告音がならないことに気がついて、胡桃お姉ちゃんの機械の電源を切ってる…。でもこれはバレたらママが殺しにくるから、お兄ちゃんやお姉ちゃたちはやっちゃダメだよ…。あの2人は三階の研究室で鬼のお姉ちゃんを殺すつもりだよ…。殺される前にこっちから仕掛けないと、負けちゃうよ…。」

鏡「…なるほどな。教えてくれてありがとな。」

ルカ「ルナを助けてくれたお礼…。またね、お兄ちゃん、お姉ちゃんたち…。ルナ、お部屋に戻らないと、ママに叱られちゃう…。」

ルナ「…うん…。お兄さん、お姉さんたち、ありがとう…。」

悟「うん、早く良くなるといいね。」

有咲「またね、2人とも…。」

ルナ「バイバイ…。」


(ルカとルナは戻っていく。)


鏡「…色々教えて貰えたな…。」

悟「どうする?」

有咲「三階の研究室って言ってたよね…。そこに向かう?」

悟「いや、それよりも、殺されるのを待つ方が…。」

鏡「…待ってる間に殺される可能性も無くはないんだろ…。じゃああの子たちが言ってた通り、こっちから仕掛ける方がいいだろ…。」

有咲「でもどうやって…?」

鏡「…そうだな…。こういうのはどうだ…?」


(鏡が2人の耳元で話す。)




2️⃣1⃣(翌日の6人のシーン)


胡桃「おはよう、みんなよく眠れた?」

鏡「眠れるわけなくね?いつ死ぬかわからねぇのに。」

胡桃「それもそうね…。ごめんなさい。」

朋也「まぁまぁ…。この朝食は胡桃さんが?」

胡桃「えぇ。食材は自由に使ってもいいって冷蔵庫に書いてあったからね。使わせてもらったわ。」

朋也「美味しそうだね。」

胡桃「ありがとう、朋也さん。」

鏡「あ、有咲と悟は後で食うって。」

胡桃「あら、どうして?」

鏡「悟は朝弱いんだって。起こしに行ったらまだ寝ぼけてた。有咲は頭痛いんだって。」

胡桃「あら、それは大変ね。おかゆでも作って持っていこうか…?」

鏡「聞いてみるか?」

胡桃「えぇ。」

鏡「…(くそ、誤魔化すのは難しいか…。)」

胡桃「…(もしかしたら悟さんも有咲ちゃんも協力者の可能性があるわね…。)」


(ルームに有咲が来る。下を向いてて顔色は分からない。)


有咲「…っ、胡桃さん、おはよう…。」

胡桃「有咲ちゃん、大丈夫?」(近づく)

有咲「っ、ご、ごめん…ちょっと御手洗に…。」


(近づかれる前に逃げる有咲。)


胡桃「…大丈夫かしら…。」

鏡「…(誰も有咲の顔色を見たわけじゃねぇし、あれが演技かどうかなんてわかんねぇだろ…。ナイス、有咲。)」

朋也「下向いててあまり良く見えなかったけど、だいぶ辛そうだったね…。」

胡桃「そうね…。」

鏡「…(ナイス、朋也!)」

胡桃「…(確かに辛そうだったけど…。…まだ油断は出来ないわね…。)」

鏡「悟もう1回起こしてくる。多分寝ぼけてんだと思う。」

胡桃「私行こうか?」

鏡「いいよ、胡桃先にご飯食ってな。冷めるし。」

胡桃「それは鏡ちゃんも悟くんも皆同じよ?」

鏡「作った本人が冷めたの食うのは申し訳ねぇ。ちょっと行ってくる。」

胡桃「…(逃げたわね…。)」

朋也「まぁ、とりあえず食べようか…。」

胡桃「…そうね…。」

朋也「あ、悠真くんは?」

胡桃「悠真くんならもうすぐ来るわよ。」

朋也「そっか。じゃあ、いただきます。」


(朋也と胡桃がご飯を食べる)




2️⃣2️⃣(有咲と悟が三階研究室にいるシーン)


有咲「…はぁ…疲れたぁ…。」

悟「お疲れ様。演技見たかったなぁ。」

有咲「我ながら上手くいったんじゃないかなって思いますよ!」

悟「演劇部だったり?」

有咲「いえ!部活は入ってないです!演劇部の舞台は何度か見てますが…。」

悟「そうなんだね。でも、有咲ちゃんと鏡ちゃんの時間稼ぎのおかげで、上手く準備できたよ。」

有咲「ほんとですか!良かったぁ〜!」

鏡「悟、有咲。」

有咲「あ、鏡ちゃん!」

鏡「お疲れ、有咲。有咲の演技、激うますぎたわ。みんな疑ってないんじゃね?少なくても、朋也は騙せたし。」

有咲「我ながら上手くいったと思う!」

悟「こっちもできたよ。」

鏡「さんきゅ。」


(棚の後ろのダクトからルナが出てくる。)


ルナ「おはよう、お兄さん、お姉さんたち。」

悟「!ルナちゃん、だっけ…?」

ルナ「うん、ルナだよ。」

鏡「体は平気か?」

ルナ「うん、もう平気。ありがとう。」

有咲「良かった…。」

ルナ「ここで鬼さんを倒しちゃうの?」

鏡「あぁ…。」

ルナ「じゃあ、このお手紙いらなかったかな…。」(少し残念そうに)

有咲「それは…?」

ルナ「ナイフとか、ハサミとか、鬼さんやっつける物が置いてある場所のメモだよ。」

悟「…良かったら、それ貰ってもいい?」

ルナ「え?」

悟「いつか必要になるかもしれないからね…。」

ルナ「うん!どーぞっ!」

鏡「ちょっと明るくなったな。」

ルナ「?」

有咲「確かに!こんな風にお喋り出来る子だったんだね。」

ルナ「…ルカくんが、お姉ちゃんたちは平気だって言ってたから…!ルナは信じるよ。」

有咲「…信じてくれてありがとう、ルナちゃん。」

ルナ「…なでなではしてくれないの…?」

有咲「え…?」

ルナ「昨日はしてくれた…。」

有咲「…!…ありがとう、ルナちゃん。」


(有咲がルナの頭を撫でて)


ルナ「えへへ…。」

鏡「…ルナ、あんたはここにいたら危ないから早く戻ってな。手紙、ありがとうな。」

ルナ「…うん!またね。」


(ルナは戻っていく。)


鏡「…悠真は今何してんだろうな…。」

悟「そうだね…。」


(3人は話しながらも殺害準備をする。)




2️⃣3️⃣(悠真は地下1階コンピュータールームで監視カメラを見ている。)


悠真「…なるほどな…。やっぱり刀斎は望月と悟さんを協力者にしたのか…。でも、俺らはそこでお前を殺すんだよ、刀斎…。…でも、殺したら…俺はまた罪を犯す…。いや、あれは正当防衛だ…。罪じゃない…。」


(ルカがダクトから出てくる。物音に気づく悠真。)


悠真「っ!誰かいるのか!」

ルカ「音を立ててごめんなさい…」

悠真「…!お前、あの時の子供…。」

ルカ「…お兄ちゃんの隠し事、それは、人を殺した…。あのお姉ちゃんと同じ…。だけど、お兄ちゃんは1人、お姉ちゃんはたくさんの人…。」

悠真「…あぁ、そうだよ。俺は人を殺した…。だけどあれは正当防衛だ…。」

ルカ「その後悲しんでいた人がいても、悪くないって思える?」

悠真「…何が言いたい…。」

ルカ「僕は知ってるよ。お兄ちゃん、人殺せないんでしょ?」

悠真「っ…。」

ルカ「優しい人なんだよ。僕は知ってる…。でも、今はそんなこと言ってられないよ…?」

悠真「…そんなこと、知ってる…。」

ルカ「結末は変わらない…。それなら、お兄ちゃんは生きてここを出て隠さないで、ごめんなさいってしないといけない…。」

悠真「…出来るわけ…。」

ルカ「しなくちゃいけないんだよ。」


(ルカが悠真に手紙を渡す。)


悠真「また手紙…」

ルカ「これを使うか使わないかは、お兄ちゃん次第だよ…。」


(そう言ってまたダクトから帰っていく。)


悠真「…どういう方法で向こうが仕掛けてくるのか…わからないけど…。俺は、やらないと…。あいつに、謝らないと…。許しては貰えないだろうけど…。」


(武器を取りに書いてある場所を目指して歩く。)

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