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Story 8 ハリボンのお手伝い

ハリネズミのハリソンパパ、ハリエッタママそして息子のハリボンはクレイドル村で楽しく暮らしていました。ハリボンは優しい村のみんなが大好き。そんなハリボンにママはいつも「クレイドル村のみんなが困っていたら助けてあげるのよ。」と話していたので、ハリボンは大好きな村のみんなの役に立ちたいと張り切っていました。

「みんなのお手伝いに行ってくるよ!」そう言ってハリボンは今日も元気よく家を飛び出していきました。

ハリボンが駆けていくと向こう方でダチョウのダッチ・コストリッチさんがうんうんと唸っていました。

「ダッチさん、どうしたの?」とハリボンが聞くと、ダッチさんは真っ黒なお鍋をハリボンに見せて「鍋を焦がしてしまってね。このコゲがとれなくて困ってるんだよ。そうだ、ハリボン!タワシになって助けておくれよ。」と言いました。

「ええっ!?タワシ!?」とハリボンが言うと、ダッチさんは「そうそう。タワシ。きみの背中の針なら、きっとこのコゲが取れると思うんだ。」と言いました。

ハリボンはえぇ~!と思いましたが、ママから困っている人がいたら助けてあげるように言われていたので、「わかったよ。でもあんまり強くゴシゴシしないでよ。」と言いました。

ダッチさんは「ありがとう。」と言って、早速ハリボンでお鍋をゴシゴシ。ハリボンは左右にゴシゴシされて目が回りそう。そんなハリボンにお構いなしでダッチさんはゴシゴシ、ゴシゴシ鍋を洗い続けました。しばらくすると、鍋はピッカピカ。

「ハリボン、どうもありがとう!おかげで鍋が元通りだよ。」とダッチさんはお礼を言いました。ハリボンはフラフラになりながらも「そう、それなら良かった。お役に立てて何よりだよ。」と言いました。

でもハリボンは、今度から洋服に、”ワタシ、タワシじゃありません。”って書いおかなくちゃと思いました。

ハリボンがさらに歩いて行くと向こう方で象のエレ・ピントさんがうんうんと唸っていました。

「ピントさん、どうしたの?」とハリボンが聞くと、ピントさんは大きな紙を押さえながら言いました。「このポスターを貼りたいんだけどテープが一枚足りなくてさ。向こうに取りに行っている間にポスターが剝がれちゃいそうだから動くに動けないんだよ。そうだ、ハリボン!押しピンになって助けておくれよ。」と言いました。

「ええっ!?押しピン!?」とハリボンが言うと、ピントさんは「そうそう。押しピン。僕がテープを取りに行っている間この紙が剥がれないようにピンでとめておきたいんだ。」と言いました。

ハリボンはえぇ~!と思いましたが、ママから困っている人がいたら助けてあげるように言われていたので、「わかったよ。押しピンになってみるよ。でも早く帰ってきてよ。」と言いました。

ピントさんは「ありがとう。」と言って、早速ハリボンでポスターを貼りました。ハリボンは思っていたより地面から高いところに貼られてしまって怖くてブルブルし始めました。そんなハリボンにお構いなしでピントさんはテープを取りに行ってしまいました。しばらくするとピントさんが大きなテープと一緒に帰ってきました。

「ハリボン、どうもありがとう!おかげでポスターを貼り終えることができたよ。」とピントさんはお礼を言いました。ハリボンはフラフラになりながらも「そう、それなら良かった。お役に立てて何よりだよ。」と言いました。でもハリボンは、今度から洋服に、”ワタシ、押しピンじゃありません。”って書いおかなくちゃと思いました。

ハリボンはすっかりくたくたになって、おうちに帰りました。

家に入ると、とてもいい匂いが漂っていました。「ママ、このご馳走どうしたの?」と聞くと、「さっき、ダッチさんとピントさんが来たのよ。ハリボンにとっても世話になったお礼にってこのご馳走を持ってきてくれたの。」とママは言いました。

「どんなお手伝いをしたんだい?」とパパが聞くと、ハリボンは「タワシと押しピン!」と答えました。パパもママも何のことかよくわかりませんでしたが、ハリボンがみんなのために頑張ったことがわかって嬉しくなりました。

ハリボンは、タワシと押しピンはもうごめんだけど、お手伝いをするといいことがあるな~と思いながら口いっぱいご馳走をほうばりました。

おしまい

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※毎晩息子に読み聞かせならぬ語り聞かせをしています。内容をどんどん忘れていくので書き留めていくことにしました。

「ハリボンのお手伝い」はClubhouseというSNS内のお部屋「ゆりかごの歌クラブ」の中でサムネの写真が何を言っているか?というお題からできたお話です。

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