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霧はフォトジェニック

晩秋から初冬にかけて、霧を好んで撮影しています。紅葉の時期が終盤に差し掛かると朝晩の気温が一桁台まで下がり、霧の発生が多くなります。霧は見慣れた風景を一変させて、余計なものを隠してくれる、写真撮影の強い味方になります。

放射冷却による放射霧

霧と靄(もや)の違いは視程範囲の広さで、現象としては同じ空気中の水蒸気が飽和状態になって漂っているものです。地上に居ながらにして手が届く雲と考えていいと思います。夜間の冷え込み(放射冷却)、適度な湿気、無風または微風、この3つが重なると発生の可能性が高くなります。アスファルトに囲まれた街中では出ていなくても、郊外に行くと真っ白などということも珍しくありません。窪地や盆地では風の影響を受けにくく、霧が閉じ込められて長持ちする傾向があります。

低い位置に現れた霧

霧にもいくつかの分類がありますが、よく見られるのは放射霧と蒸気霧でしょう。放射霧は放射冷却により冷やされた地面が、地面と接している空気中の水蒸気を冷やすことで発生します。人の目線よりも低いところに現れる霧は地霧と呼びます。蒸気霧は川や湖沼など水辺で発生する霧で、暖かい水が冷たい空気で冷やされて蒸発、その水蒸気が冷たい空気で冷やされて発生します。鍋で湯を沸かすときの湯気と同じです。

中禅寺湖の蒸気霧

撮影に関しては、近くの霧ほど薄く見え、遠くの霧ほど濃く見えます。望遠レンズで圧縮するほど濃く見えますので、レンズ選択と距離感が大切になります。また、霧に光が当たると水蒸気で光が拡散して、より白く濃く見えます。夜間、霧の中で車を運転する時に、ハイビームにすると前方が真っ白になって見辛くなることと同じです。逆にそれを撮影に活かすこともできます。夜間、街灯の灯りが光の筋のように見えたり、太陽が出ると霧が輝いて不思議な浮遊感を味わえます。

朝日に輝く霧

他にも、高低差を活かすと撮影の選択肢が広がります。霧の頂点はそれほど高くないので、低山の展望台など100~200mほどの場所に行けば雲海が見られます。低い霧になると頂点が10数mのこともあり、陸橋の上などからも雲海が見えることがあります。

ビーナスベルトと低い霧
日の出前の雲海と満月

霧を撮影する場合、特に遠景ではピントが外れることが多く、マニュアルで合わせたほうが確実な場合が多々あります。そのあたりは撮影現場で判断して、AFが迷うようであればMFに切り替えます。そして、ピント同様に気を付けたいのが白飛びです。霧の中で光が差し込むと極端に白飛びしやすくなります。予め、設定でコントラストをマイナス側に、ダイナミックレンジを拡張しておくといいでしょう。ISO感度も高くなるほどダイナミックレンジが狭くなりますので、ISO400~800程度を上限にするといいですね。

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