そんなバカな!?
先日、知り合いからちょっとした相談を受けました。遠足に行った孫の写真を見たら腕が写っていない、これって心霊写真なのか?というもの。とりあえず写真を見せてもらうと、ひと目見て原因がわかりました。両側が木で覆われて完全な日陰、全体的に動態ブレが見られたため、単純にシャッター速度が遅くて動きの大きい部分が残像になってしまったというもの。技法として作品作りに活かすこともありますが、写真に詳しくない人から見ると驚愕してしまうのかもしれません。
昭和の時代には心霊写真の特番が度々放送されていましたが、私は実家が写真屋だったため映り込みの原因がわかってしまう環境にありました。特に多かったのが当時の光学性能の問題です(今ほどコーティング技術が良くなかった)。ゴーストやハレーションは定番中の定番、他に古いレンズやカメラなど、遮光処理が完全でないと光線漏れや内面反射による映り込みも生じます。他にも近くに強い光源や反射があると、一部分だけが消えたように写ることもあります。当時はフィルムの時代ですから、現像・プリントの過程でゴミの混入など、何らかの不具合が生じた可能性もあります。いずれにしても簡単に説明が付くような原因でした。
また、背後に人の顔が写っているというものは、単に背景の重なり具合で偶然できた模様に過ぎません。これをもっともらしく説明するため、当時の子供はそれを信じて怖がっていたんですね(制作側の思うツボ)。今考えると実に滑稽で低予算な番組作りをしていたのだろうと苦笑いしてしまいます。ゲストに怪しい心霊現象の専門家はいても、写真に詳しい人は出ていなかったですからね。
このような根も葉もない噂は令和の世の中になっても残っていて、その代表が地震雲だと思います。現代の科学では「ある」とも「ない」とも証明されていませんが、仮にあったとして、いつ何処にどのような形で現れるのか、説明できる人は私の知る限り存在していません。大きな地震があるたびに何処からともなく湧いてくる地震雲の話題、昭和の心霊写真と同じレベルの噂話として、数十年後に笑い話になるかもしれませんね。