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言えなかった。

言えなかった。言った方がよかったのか。いや、言えなかった。

某くら寿司で、アジア系のきれいな外国人女性がひとりで食事をしていた。
Tシャツとミニスカート、ミニバッグというイージーなスタイルで、ひとり旅を満喫しているようである。

ハアァ…円安天国で日本のメシは安くて美味しくて、実に楽しいだろう。自分も外国人として日本を旅行してみたいぜ…と羨望の眼差しを向けていると、衝撃的な光景が目に飛び込んできた。

食事を終えて席を立つ彼女の真っ白なミニスカートが、真っ赤に染まっていたのである。

脳みそと心臓がぐるんぐるんうごめく。
どうしよう、どうするのが正解なのだ、変な汗が出てきた。

今、それを告げたところで彼女に何ができるのか、ホテルに帰って初めて気が付く方が本人としても幸せなのではなかろうか。どうする、ロボよ、どうする。

ねっちょりした汗をたらたら流しながら、脳みそをフル回転させている間に、彼女は颯爽とお店を出て行ってしまった。

言えなかった、間に合わなかった。

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