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扉の向こう側で

「本日は60分コースで
         よろしかったですか?」

「はい、大丈夫です。」
そのように答えて
金額の説明を受けたあと
財布から取り出したお金を渡し

代金を受け取った彼女は
一旦、別の部屋へ行く。

多分、金庫に代金をしまって
オーナーに、施術時間の
伝達をしてきたのだろう。
数分が経ち
彼女は、戻ってきた。

そして、オレに
透明のビニール袋に
入った紙パンツを渡し

「コチラに、
      着替えていただいて、
          ベッドで
             うつ伏せになって、
                    お待ちいただけますか?」

「分かりました」
と言いたかったが
オレが答える前に
彼女は、部屋をあとにした。

この話は、
    「扉を開けて・・・。」から

続いている物語である。

部屋の中は
薄暗く、
アロマの香りで
充満していた

カーテンも薄い茶褐色
天井からは、
茶褐色の布地で
飾り物がしてあり
全体的に見て
センスの良さを
感じさせる室内空間である。

オレは、ぜん◯になり
紙パンツを履き
ベッドの上で
うつ伏せになって
待っていた。

そして、
部屋の外から

コンコン!

ドアを叩く音がして

「ご用意は出来ましたか?」
透き通った声がコダマする

オレは、すかさず
「大丈夫ですよ。」
と答えた。

彼女は部屋の中に入ってきたが
オレはうつ伏せになっているので
彼女の顔は見えない。

ベッドに数センチ大の
穴が開いていて
その穴に、オレの顔を
埋めているので

そこの穴から
オレの横を通り過ぎてゆく
彼女の足だけが見えた。

彼女はベッドのうしろの方、
いや、オレの足元あたりで
何やら、用意をしている。



(多分、オイルの用意を
       しているのだろう、)
そんなことを考えていると

「担当させていただきます彩乃です。」
「よろしくお願いいたします。」
透き通った声が響き渡る。

(心地よい声だ。)
お世辞抜きに、
そう思った。

「まずは、指圧から始めますね。」
彼女は、オレの体全体に
大きめのタオルを被せてから

足の裏から
念入りに指圧を始めた。

(少し痛いかな?)
(だけど、気持ちが良い。)
(これが「イタ気持ち良い」
                      という感覚だな。)

足の裏が終わったあと
ふくらはぎを
左右交互に施工して

太ももも、ふくらはぎ同様
左右交互に施工して

さらに
お尻へと続いた。

彼女の柔らかい指先が
オレの体をほぐしてくれる。
タオルの上からの
指圧なので
直接、オレの肌に
触れる訳ではないのだが
それでも、心地よい。

そして、
背中をマッサージしたあと
最後に、
肩周りの筋肉を
軽くほぐしてくれた

気が付けば
BGMで、
インストルーメンタルの
「天空の城ラピュタ」のテーマが
流れていた。

(正式名は「君をのせて」だっけ?)

そんなことを思いながら
早々と、気持ちの良い気分に
浸っていた。

そして、いよいよ
オイルマッサージへと続く・・・。

続く

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