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[コラム]ドコモの話('20/10/16)

NTTがNTTドコモを4兆円の資金を投じて子会社化するとして、株式公開買い付け(TOB)を実施した。これにより、NTTドコモは非上場となる。

ドコモは元々NTTから分社化されて発足した会社だが、最近ではNTTよりも時価総額が大きくなっていた。このような親会社より大きくなるケースは、富士電機から生まれた富士通、さらには、富士通から生まれたファナックなどがある。それぞれが、得意な事業分野で親会社とは独立して大きく成長している。
今回のドコモの場合は時価総額でNTTを上回っていても、主要株主のNTTが7割近くを保有しているので、TOBの話も比較的短期間で意思決定されたのだろう。会社の所有者、重要な意思決定者は「株主」であるということだ。
第三者が登場していろいろ騒ぎになるケースが「敵対的買収」。これも買収したい会社がTOBで株式を集め経営権を握ろうとするわけだが、される方が望まない場合はこれに抵抗することになり、ちょっとモメる。最近ではコロワイド/大戸屋のケースなどがある。

今回のドコモのTOBは市場での競争、顧客の取り合いが激しくなっている中で、企業規模を大きくして生き残っていく作戦を取る施策の典型だ。最近の大企業による完全子会社化、TOBはまさにここに理由がある。レッドオーシャンで戦い続けるには、規模で立ち向かうしかない。

一方で、ブルーオーシャンを見つけた企業は小規模でも秀でた知恵やアイデア、怯まぬ勇気で市場を作り出していく。ドコモだってきっと最初は、巨人のNTTから抜けて新しいモバイル市場を作る先駆者の集団だったはずだ。ブルーオーシャンはそこが美しければ美しいほどすぐに外敵が侵入し、レッドに変わっていく。だからブルーオーシャンを早く泳ぎ切るスピードが大切。企業とは一つの海域にとどまることなく、その先へ舵取りしていくことができるかどうか。これからの時代は特に重要になる。

今回は、たまにはちょっと真面目なお話しでした。

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