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ソフトバンクグループの22年3月期第3四半期業績は苦戦しているが、過剰な心配は不要な訳 そもそもベンチャーキャピタルってそんなもんでしょ

ソフトバンクグループの22年3月期第3四半期の業績が不調であり、
メディアやSNSでは批判的な意見が多いのが昨今の状態です。
一方、個人的には、ソフトバンクグループの投資対象としての魅力は衰えていないと考えます。

その理由を以下に記載します。


■結論 ソフトバンクグループの22年3月期第3四半期業績は苦戦しているが、過剰な心配は不要

上記結論の理由は以下となります。

  1. そもそもベンチャーキャピタルは業績変動性が高いので、現在のソフトバンクグループの業績下振れは通常の事象。沢山失敗するが少数の成功が全体の8割のリターンをもたらすイメージ

  2. そしてソフトバンクグループのファンド事業は22年3月期第3四半期時点で441社に投資中

  3. GAFAは一日にして成らず

※以下に理由を詳述して行きますが、Coral CapitalさんのYou Tube動画で参考になるスライドがありましたので、参考資料として使用させて頂きます。


■理由1 そもそもベンチャーキャピタルは業績変動性が高いので、現在のソフトバンクグループの業績下振れは通常の事象。沢山失敗するが少数の成功が全体の8割のリターンをもたらすイメージ

資産タイプ別の期待リターン

こちらの画像は、資産タイプ別の期待リターンを示しています。
ベンチャーキャピタルは一番右側に位置し、稼げる時はトコトン稼げるし、損する時はトコトン損する性質があることが分かります。

そしてソフトバンクグループは世界最大のベンチャーキャピタルであり、このリスク・リターンの例が当てはまります。
現在のソフトバンクグループはこのグラフの下側のトコトン損するステージにあるだけです。

2009年1月1日~2014年2月24日におけるベンチャーキャピタル投資先の企業別リターン

また、こちらは、2009年1月1日~2014年2月24日におけるベンチャーキャピタル投資先の企業別リターンを示しています。

一番左側がフェイスブックです。
グラフを見れば明確ですが、全体のリターンの殆どは、トップ20%くらいの企業によりもたらされています。

このことから、ベンチャーキャピタルでは、
殆どの投資先は凡庸なリターンに終わるが、
一部の銘柄が莫大なリターンをもたらすことがわかります。
この様な性質があるので、ベンチャーキャピタルは損する時はトコトン損するし、儲かる時はトコトン儲かります。


■理由2 そしてソフトバンクグループのファンド事業は22年3月期第3四半期時点で441社に投資中

ソフトバンクグループの現在を見ても明らかですが、
・アリババという一部の成功例が莫大なリターンをもたらし、
・WeWorkやDidiでは躓いてしまっています。

しかしながら、ソフトバンクグループの投資先は沢山あり、
22年3月期第3四半期時点ではファンド事業だけでも441社です。

ソフトバンクグループ 2022年3月期第3四半期 決算説明会より。ファンド事業だけでも投資先は441社

先程のグラフでも見た通り、ベンチャーキャピタルでは、殆どが凡庸なリターンに終わりますが、
全体の2割り程度の一部の企業が、圧倒的なリターンを生み出します。

ソフトバンクグループが投資する400社を超えるベンチャー企業の中から、1社程度は次のアリババ以上の企業が出てくる事が期待できます。


■理由3 GAFAは一日にして成らず

GAFAの2012年からの株価推移。単年だとせいぜい数倍だが、10年持つと10倍を目指せる

そして、企業の成長は2,3年で成し遂げられるものではありません。
素晴らしい企業は、10年単位の複利で成長して行くものです。
どうしても目先の出来事に注目し、「今起こっている損益」が重視されやすいのは人間の定めです。
ソフトバンクグループのベンチャー投資の殆どが凡庸な結果で終わるのは、確率的に当然のことです。
その為、殆どの期間は世間的には「失敗した会社」として認知されるでしょう。
しかしながら、一部の素晴らしい投資先が10年後には時価総額で1兆ドルも射程距離なレベルに成長するはずです。
これも確率的に当然のことです。



以上が、ソフトバンクグループの22年3月期第3四半期業績は苦戦しているが、過剰な心配は不要な理由となります。

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