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【企業分析】テスラ、企業価値6000億ドル突破の秘密

株価177.480(6/7 16:00)


①損益計算書分析



引用:マネックス証券「銘柄スカウター」

分析と評価

売上高の成長

  • 2007-2015年: 売上高は一貫して増加しており、特に2013年から2014年にかけて大幅な成長が見られます。2015年時点で売上高は4,046百万ドルに達し、過去数年間の成長率は高いです。

  • 2016-2023年: この期間も成長を続け、特に2021年から2022年にかけての急成長が際立っています。2022年には売上高が81,462百万ドルに達し、2023年にはさらに増加して96,773百万ドルとなっています。

営業利益の推移

  • 2007-2018年: 営業利益は一貫して赤字であり、大幅なマイナスが続いています。特に2017年の赤字額は1,632百万ドルに達しました。

  • 2019-2023年: 2019年からは営業利益が黒字に転じ、2020年には1,994百万ドル、2021年には6,496百万ドルに増加しました。しかし、2023年には営業利益が減少して8,891百万ドルとなり、前期比で-35.7%の減少を示しています。

税引前利益の推移

  • 2007-2019年: 税引前利益も営業利益と同様に赤字が続いていますが、2019年に黒字転換し、80百万ドルとなりました。

  • 2020-2023年: 2020年から急速に増加し、2021年には6,343百万ドル、2022年には13,719百万ドル、2023年には9,973百万ドルとなっています。

当期利益の推移

  • 2007-2018年: 当期利益は赤字が続きましたが、2019年以降、黒字に転じました。

  • 2019-2023年: 2020年には690百万ドルの黒字となり、2021年には5,519百万ドル、2022年には12,583百万ドルに急増しました。2023年には14,999百万ドルに達し、前年よりも19.2%の増加です。

EPSの推移

  • 2007-2019年: EPSはマイナスが続いていましたが、2019年からプラスに転じました。

  • 2020-2023年: EPSは2020年に0.21ドル、2021年には1.63ドル、2022年には3.62ドル、2023年には4.30ドルに増加しています。

評価

テスラの財務データから見て、2007年から2019年までの期間は売上高の急成長にもかかわらず、赤字が続く厳しい時期でした。しかし、2019年からは黒字に転じ、2020年以降の急速な成長により、売上高と利益の双方が大幅に改善しました。

  • 成長力: 売上高は継続的に成長し、特に2020年以降の成長率は顕著です。

  • 利益: 営業利益、税引前利益、当期利益ともに2020年以降大幅に改善し、2023年には最高値を記録しています。

  • EPS: EPSも2020年以降急速に改善し、投資家に対して利益を還元する姿勢が見られます。

投資判断

テスラは過去数年間の急成長と利益の改善により、非常に有望な投資先と考えられます。ただし、2023年の営業利益の減少には注意が必要であり、今後の収益性の動向も注視する必要があります。また、電気自動車市場の競争が激化する中で、テスラが引き続き市場リーダーとしての地位を維持できるかどうかも重要なポイントです。


引用:マネックス証券「銘柄スカウター」


分析と評価

減価償却費

  • 2014-2017年: 減価償却費は2014年の231百万ドルから2017年の1,636百万ドルまで増加しました。対売上高比率は7.3%から13.9%に上昇しており、固定資産の増加と共に減価償却費も増加していることを示しています。

  • 2018-2023年: 2018年以降、減価償却費は引き続き増加し、2023年には4,667百万ドルに達しました。対売上高比率は一時期8.9%から4.8%に減少しましたが、これは売上高の増加に対して減価償却費の伸びが抑えられているためです。

設備投資

  • 2014-2017年: 設備投資は2014年の969百万ドルから2017年には4,081百万ドルに急増しました。対売上高比率は30.3%から34.7%と高水準で推移しており、生産能力の拡張や新工場建設への積極的な投資が反映されています。

  • 2018-2023年: 設備投資は一時的に減少しましたが、2021年には8,014百万ドルと再び大幅に増加し、2023年には8,899百万ドルに達しました。対売上高比率は8.8%から9.2%で推移し、売上の拡大に伴い安定した投資が行われています。

研究開発費

  • 2014-2017年: 研究開発費は2014年の464百万ドルから2017年には1,378百万ドルに増加しました。対売上高比率は14.5%から11.7%とやや低下していますが、これは売上の増加により相対的に低く見えるためであり、実質的には研究開発への投資が強化されています。

  • 2018-2023年: 研究開発費は2023年まで一貫して増加し、3,969百万ドルに達しました。対売上高比率は2019年の5.5%から2023年には4.1%と低下していますが、これは売上の急増に伴うものです。テスラは継続的に研究開発に投資しており、新技術や製品開発に積極的です。


1. 減価償却費の推移

  • 減価償却費は、2014年から2023年にかけて大幅に増加しています。特に、2023年には4,667百万ドルに達しました。これは、テスラが増加した固定資産を保有し、減価償却費用が増加したことを反映しています。

2. 設備投資の推移

  • 設備投資は、2014年からの急増が見られ、特に2017年と2021年の投資額が高いです。2023年には8,899百万ドルに達し、生産能力やインフラの拡大に向けた積極的な投資が続いています。

3. 研究開発費の推移

  • 研究開発費は一貫して増加しており、2023年には3,969百万ドルに達しました。テスラは新技術や製品の開発に継続的に投資を行っています。

4. 対売上高比率の推移

  • 減価償却費の対売上高比率は、2017年までは増加し、その後は売上の増加により相対的に低下しています。

  • 設備投資の対売上高比率は、2014年の30.3%から2023年には9.2%に低下していますが、これは売上の増加に伴い、相対的な比率が下がったものです。

  • 研究開発費の対売上高比率は、2014年の14.5%から2023年には4.1%に低下しており、売上の増加に伴うものです。

まとめ

  • 減価償却費の増加は、テスラの固定資産投資の結果として自然なものです。新しい生産施設や設備の稼働によるものと考えられます。

  • 設備投資は大規模な生産拡張や技術インフラの強化を示しており、テスラの積極的な成長戦略を反映しています。

  • 研究開発費は新製品や技術開発への投資を示しており、テスラの革新と競争力の維持に向けた取り組みを反映しています。

  • 対売上高比率の低下は、売上の増加が減価償却費、設備投資、研究開発費の相対的な比率を下げていることを示していますが、実際の投資額は引き続き高い水準で推移しています。



引用:マネックス証券「銘柄スカウター」


売上原価と売上総利益の推移

  • 売上原価: 2007年の0ドルから始まり、2023年には79,113百万ドルに増加しています。売上原価の増加率は高く、売上高の成長に伴って大幅に増加しています。

  • 売上総利益: 売上総利益は2008年には-1百万ドルでしたが、2013年には456百万ドル、2023年には17,660百万ドルに達しています。利益率は低い時期もありましたが、2019年以降は比較的安定した利益率を示しています。

営業費用と営業利益の推移

  • 営業費用: 営業費用は2010年の178百万ドルから2015年の1,640百万ドル、2023年には8,769百万ドルに増加しています。営業費用の増加は売上に伴う成長と一致していますが、2022年には利益率が8.6%まで低下しています。

  • 営業利益: 営業利益は2010年までマイナスでしたが、2019年以降黒字に転じました。2023年には8,891百万ドルに達し、利益率は9.2%です。

税引前利益と当期利益の推移

  • 税引前利益: 2010年までマイナスが続きましたが、2019年以降黒字に転じています。2023年には9,973百万ドルとなり、利益率は10.3%です。

  • 当期利益: 当期利益も2010年まではマイナスが続きましたが、2019年以降は黒字に転じ、2023年には14,999百万ドル、利益率は15.5%です。

ROEとROAの推移

  • ROE (株主資本利益率): 2013年以降マイナスから徐々に改善し、2020年には4.8%、2023年には27.9%に達しています。ROEの上昇は、テスラの株主資本に対する利益の増加を示しています。

  • ROA (総資産利益率): 2013年以降マイナスから改善し、2020年には1.6%、2023年には15.9%に達しています。ROAの上昇は、テスラの総資産に対する利益の効率が向上していることを示しています。

EBITDAの推移

  • EBITDA: EBITDAは2010年には-143百万ドルでしたが、2019年には2,174百万ドル、2023年には14,796百万ドルに達し、利益率は15.3%です。EBITDAの増加は、テスラの営業キャッシュフローの改善を示しています。



②貸借対照表分析

引用:マネックス証券「銘柄スカウター」


資産の構成要素と増加要因

流動資産

  • 現金及び現金同等物:

    • 2014年: 954百万ドル

    • 2023年: 13,626百万ドル

    • 評価: 現金及び現金同等物は急増し、流動性が大幅に改善しています。特に2020年以降、現金の増加が顕著であり、これはテスラの営業キャッシュフローの強化や資本調達活動の結果と考えられます。

  • 売掛債権:

    • 2014年: 95百万ドル

    • 2023年: 3,388百万ドル

    • 評価: 売掛債権の増加は、売上の増加とともに取引の増加を反映していますが、売掛債権の管理に注意が必要です。

  • 市場性のある有価証券:

    • 2014年: 18百万ドル

    • 2023年: 12,696百万ドル

    • 評価: 市場性のある有価証券の保有は、流動資産の大きな部分を占めており、投資による追加収益を目指していることを示しています。

  • 棚卸資産:

    • 2014年: 227百万ドル

    • 2023年: 3,508百万ドル

    • 評価: 棚卸資産の増加は、製品ラインナップの拡大や販売計画の調整を反映していますが、在庫管理の効率化が求められます。

  • その他流動資産:

    • 2014年: 2,651百万ドル

    • 2023年: 57,002百万ドル

    • 評価: その他流動資産の増加も顕著であり、事業活動の拡大や投資活動の結果と考えられます。

非流動資産

  • 有形固定資産(純額):

    • 2014年: 2,596百万ドル

    • 2023年: 45,123百万ドル

    • 評価: 有形固定資産の増加は、生産能力の拡大や新しい生産施設の建設を反映しており、テスラの生産拠点の拡張を示しています。

  • のれん:

    • 2014年: 0百万ドル

    • 2023年: 253百万ドル

    • 評価: のれんの増加は、企業買収などの活動によるものです。

  • その他非流動資産:

    • 2014年: 55百万ドル

    • 2023年: 11,626百万ドル

    • 評価: その他非流動資産の増加も大きく、長期投資や資本設備の追加投資を示しています。

負債の詳細と評価

流動負債

  • 買入債務:

    • 2014年: 2,107百万ドル

    • 2023年: 28,748百万ドル

    • 評価: 買入債務の増加は、事業活動の拡大に伴う仕入れやサプライチェーン活動の増加を反映しています。

  • その他流動負債:

    • 2014年: 849百万ドル

    • 2023年: 15,635百万ドル

    • 評価: その他流動負債の増加も事業活動の拡大を示しており、これには未払費用や短期借入金が含まれている可能性があります。

非流動負債

  • 非流動負債:

    • 2014年: 1,258百万ドル

    • 2023年: 13,113百万ドル

    • 評価: 非流動負債の増加は、長期借入金や社債の発行によるものです。これは資本投資や拡張計画の資金源と考えられます。

純資産の詳細と評価

  • 株主資本:

    • 2014年: 912百万ドル

    • 2023年: 63,609百万ドル

    • 評価: 株主資本の増加は、利益の増加や株式発行によるもので、テスラの財務基盤が強化されています。

  • 非支配持ち分:

    • 2014年: 58百万ドル

    • 2023年: 975百万ドル

    • 評価: 非支配持ち分の増加は、少数株主持ち分の増加を示しており、関連会社やパートナーシップの影響を反映しています。

1. 資産の推移

  • 資産総額は、2014年から2023年にかけて大幅に増加しています。

  • 流動資産非流動資産の増加は、事業の拡大に伴うものであり、特に2020年以降の急増が顕著です。

2. 流動資産の内訳

  • 現金及び現金同等物: テスラの流動性が大幅に向上しています。

  • 売掛債権: 売上の増加に伴って増加しています。

  • 市場性のある有価証券: 2022年から大幅に増加し、現金の一部を有価証券に投資しています。

  • 棚卸資産: 製品ラインナップの拡大や販売計画に伴い増加しています。

  • その他流動資産: 流動資産の大部分を占めており、事業活動の拡大や投資活動の結果です。

3. 負債の推移

  • 負債総額は2014年から2023年にかけて増加し、特に流動負債の増加が目立ちます。

  • 流動負債の増加は、買入債務や短期借入金の増加に伴うものです。

  • 非流動負債も増加しており、長期借入金や社債の発行によるものです。

4. 純資産の推移

  • 純資産総額は、2014年から2023年にかけて増加し、財務基盤が強化されています。

  • 株主資本の増加は、利益の増加や株式発行によるものであり、特に2020年以降の増加が顕著です。

  • 非支配持ち分の影響は限定的です。

まとめ

  • テスラは事業の拡大に伴い、資産と負債が大幅に増加しています。

  • 現金及び現金同等物と市場性のある有価証券の増加により、流動性が強化されています。

  • 負債の増加は、流動負債と非流動負債の両方で見られ、事業活動の拡大に伴う資金需要が高まっています。

  • 純資産の増加は、利益の増加と資本調達によるものであり、テスラの財務基盤が強化されています。


③キャッシュフロー計算書分析


引用:マネックス証券「銘柄スカウター」


分析と評価

営業キャッシュフロー (営業CF)

  • 2007-2012年: 営業CFは連続してマイナスでした。特に2012年には-266百万ドルに達しており、営業活動による現金の流出が続いていました。

  • 2013-2018年: 2013年から営業CFがプラスに転じました。2018年には2,098百万ドルに達し、営業活動の効率化が進んだことを示しています。

  • 2019-2023年: 営業CFは急増し、2021年には11,497百万ドル、2022年には14,724百万ドル、2023年には13,256百万ドルとなっています。これはテスラの営業活動が安定して高い収益を生み出していることを示しています。

投資キャッシュフロー (投資CF)

  • 2007-2012年: 投資CFは一貫してマイナスであり、設備投資や研究開発活動への支出が多かったことを示しています。2012年には-207百万ドルに達しました。

  • 2013-2023年: 投資CFは引き続きマイナスであり、特に2017年には-4,419百万ドル、2023年には-15,584百万ドルと大きな投資が行われています。これはテスラの積極的な拡張戦略を反映しています。

財務キャッシュフロー (財務CF)

  • 2007-2012年: 財務CFは主にプラスであり、資金調達活動が積極的に行われたことを示しています。特に2012年には420百万ドルの資金調達が行われました。

  • 2013-2023年: 2013年には635百万ドルのプラスとなりましたが、その後は財務活動によるキャッシュの変動が大きく、2021年には-5,203百万ドル、2023年には2,589百万ドルとなっています。これは、株式発行や社債発行と返済、株主への配当や自己株買いなど、財務戦略の変化を示しています。

現金及び現金等価物

  • 2007-2012年: 現金及び現金等価物は少ない額で推移していました。特に2008年の9百万ドル、2012年の202百万ドルが最小です。

  • 2013-2023年: 2013年から現金残高が増加し、特に2020年以降の増加が顕著で、2023年には17,189百万ドルに達しました。これは営業活動と財務活動の両面から現金を十分に確保していることを示しています。

フリーキャッシュフロー (フリーCF)

  • 2007-2012年: フリーCFは一貫してマイナスで、設備投資や運転資金への支出が大きかったことを示しています。2012年には-505百万ドルに達しました。

  • 2013-2023年: 2013年以降もフリーCFはほとんどマイナスが続きましたが、2019年からプラスに転じ、特に2022年には7,552百万ドル、2023年には4,357百万ドルと大きなフリーCFを生み出しています。


1. 営業キャッシュフローの推移

  • 営業キャッシュフロー (営業CF): テスラの営業活動による現金の流入を示しており、特に2019年以降、顕著に増加しています。

2. 投資キャッシュフローの推移

  • 投資キャッシュフロー (投資CF): 主に設備投資や研究開発に使われる現金の流出を示しています。全体的にマイナスが続いていますが、積極的な投資活動を反映しています。

3. 財務キャッシュフローの推移

  • 財務キャッシュフロー (財務CF): 株式や社債の発行および返済、配当などによる現金の流入と流出を示しています。大きな変動があり、資金調達戦略の影響を受けています。

4. 現金及び現金等価物の推移

  • 現金及び現金等価物: 年ごとの現金残高の推移を示しており、2020年以降に大幅な増加が見られます。

5. フリーキャッシュフローの推移

  • フリーキャッシュフロー (フリーCF): 営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いた金額を示し、企業が自由に使える現金の量を示します。2019年以降にプラスに転じています。

まとめ

  • 営業キャッシュフロー: 2019年以降、営業活動による現金の流入が大幅に増加し、テスラの事業運営が安定していることを示しています。

  • 投資キャッシュフロー: 投資活動に多額の資金が投入されており、特に新工場建設や技術開発への投資が続いています。

  • 財務キャッシュフロー: 財務活動による現金の流入と流出が激しく変動しており、資金調達と返済、株主への還元のバランスを取りつつあります。

  • 現金及び現金等価物: 現金残高は大幅に増加しており、テスラの流動性が向上していることを示しています。

  • フリーキャッシュフロー: 2019年以降、フリーキャッシュフローがプラスに転じており、営業活動から得られる現金を十分に投資に回しながらも余剰を生み出しています。


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