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ひまわり

ひまわり

殺したい人がいる、僕に与えられたこの感情には、この世界のどこにも居場所がない。強くてかなしいものだから、何度明日が来たって消えようがない。殺意は必ず外から入ってきて、僕の皮膚を突き破り、血管の中をうごめきながら、一番大切な心臓へと辿り着く。息をひそめた花が咲くみたいに、燃え上がる瞬間を、ひっそりと待っている。その熱にいつか僕は焼け尽くされてしまうだろう。

僕は僕でなくなりたい。人を殺したら今よりもきっと強く思う。殺す前よりも本物のように、そんなことを信じるようになる。真夏のひまわりのような強い輝きに突き動かされて、すべてに手を汚して、僕はようやく自分の明日をもぎとることができる。胸を張ってそれが正しいと言える。そして死にたいという新しい希望が生まれる。だからぼくには殺したい人がいる。

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