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憧れの街・青山に刺激を求めて行ってみた。

毎週2日ある休日のうち、1日目は必ずどこかしらに出かけると決めている。
しかし、今週の1日目は雨が降ってしまった。
出かけるはずの1日目に出かけられない憂鬱さと雨の中出かける憂鬱さを比べるとき、いつも雨の中出かける憂鬱さが勝ってしまい、雨が降ると決まって家に引き篭もる。
いつもなら2日目は大人しく自宅周辺で過ごすのだが、今週の2日目はそうするのがもったいないくらい快晴になってしまった。

このままどこにも出かけずに今週の休みを終わらせるのは非常にもったいない。
どうせなら明日に響かないよう落ち着きがあり、且つ刺激的なお出かけがしたい。

そう思い立ち、私は仕事や観劇などの特定の目的がある場合を除いて初めて、これまで勇気が出ず足を踏み入れられなかった街・青山に繰り出した。

思っていたよりカジュアル

この日の目的地はSNSで度々見かけた、洗練された内装が特徴的なカフェだった。

青山一丁目駅を降り立ち、行き交う人のカジュアルさに一瞬思考が止まった。

「青山」という響きと個人的な誇大妄想に負け、少し光沢感のあるブルーのワンピースを身に纏いキメてきた私。
一方でカジュアルなのに垢抜けていて、黒がよく似合っている周りを行き交う人達。
若くはなくともまさに「マダム」という呼び方がしっくりくる素敵な歳の重ね方をされたであろう方や、色物を使わなくてもその人の素材で十分輝いている人ばかりに見えた。
スーツやオフィスカジュアルの格好の人もそれなりにいて、みんな「青山」という街に踊らされていない人ばかりに映った。

「ここ」の人には私が青山ビギナーだとバレているだろうか、とビビってかなり綺麗めにしてきたことを少し恥ずかしく感じた。
ちなみに、これから黒い服にも挑戦してみようと思えたのは今回得た一つの学びとなった。

物音の概念はどこへ

カウンターでコーヒーとスイーツを受け取り、青山通りが一望できるお目当てのカウンター席へと向かう。
自分の歩く音がコツコツと鳴り響く、水を打ったように静かな空間。
いつもは食事やお店の写真を撮らないことがほとんどだが、今は最近の中でも異例中の異例なほど知的好奇心を刺激されているので、これでもかというくらい様々な角度やフィルターで写真を撮りまくった。

撮影会が一段落したところで、よく晴れて気持ちの良い青山通りの景色を見ながら目の前にあるアーモンドラテとチーズケーキに手を伸ばす。
途中でチーズケーキを切り分けていたフォークを手から滑らせかけてお皿に落ちた瞬間、「カン!!!」と鋭い物音がフロアに響いた。なんともなかった風を装いつつ、反射的に縮こまる背中。

そうか、いい大人は生活音を立てずとも生活できるものなのだ。

みんな静寂の中で思い思いの時間を過ごしていた。
この空間には、物音の概念などなかった。

「ひとり」を受け入れてくれる場所

お店で過ごし始めてしばらく経った頃、妙に居心地が良いことに気付いた。
ふと周りを見渡すと、一人で来ている人の方が圧倒的に多い。もっと言えば、みんな一人で過ごすことにとても慣れているようだった。

そうか、この空間は一人でいることが何も不思議ではない空間なのだ。

そう気付いた瞬間、ずっと一方的に恐れ、どちらかといえば敵のように感じていた青山が急に味方に思えた。
一人でも過ごしやすいということが本当に心地良く、心の底から嬉しかった。

青山は「ひとり」を受け入れてくれる場所だった。

今回を境にすっかり青山を受け入れ大好きになってしまった私は、一人で大人な空間に浸りたい時にまた絶対来ようと心に誓ったのであった。

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