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ハル待ちキミ想う ボクのジレンマ

『時間は限られているの』

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彼女は言う。

ボクと彼女の関係は、一見簡単そうに見えて実は複雑だ。
互いに家庭を持ちながらパートナーじゃない相手を前に、通勤前のピークが過ぎた外資系大手コーヒーチェーンのカフェで、ボクたちは向き合って話をしている。

ボクたちの付き合いは長い。
映画レオンでマチルダ役を演じたナタリー・ポートマンが、ブラック・スワンで妖艶な演技をしてしまうくらいの時間は過ごしている。


『あなたがしたいことを言ってね』

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ボクたちはそれぞれに事情を抱えていて、時間を合わせられるのは1年間に数日しかない。

今日はそんな奇跡的な一日。


一緒に買い物をしたいし、食事もしたい。自然公園の中をハイキングっていうのもいいかもしれない。

そしてもちろんSEXもしたい。


『あれもこれも』

焦りにも似た気持ちで思考を巡らせるけど、朝の喧騒がすぎたカフェではゆったりとした時間が過ぎるだけ。

ボクの想像は無限だけど、時間は有限なのはよくわかっている。

そしてこんな営みがこの奇跡的な時間の中で、残念ながら毎年繰り返されていることも。


『そんなに慌てなくてもいいの。私はこの世界に息づいている。』

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そんなことはボクもわかっている。でもボクのためにキミが時間を作ってくれるのは『今日1日』しかないのだ。

日曜の遅い朝に少し濃いめのコーヒーをドリップしている時も、黒とオレンジとブルーの間で身悶えている時も、常にキミのことを考えていたし、隣にキミの存在を感じていた。

でもキミに『出会える』のは今日一日しかない。


『あなたが脱がせてね』

いつもなら片手で外せるホックもキミになるといつもうまく外せない。

そんな自分にイライラするボクを見て彼女は言う。

『こんな時間も大切にして欲しいの』

もちろんボクにはその言葉は届かない。


『ただ咲いてただ散っていく、それだけ。それ以上は求めないわ』

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多くを求めずに、自らの命を燃やし尽くし、周りの人たちを魅了し去っていく。
それがキミのスタイル。


多分今回も、ボクは結局何もできないまま、キミとの時間が過ぎてしまうだろう。

でも限られた時間の中でわずかに残された記憶を糧に、ボクは残りの1年間を過ごしていく。
また来年、キミに出会えることを、キミとの至福の時間を過ごせることを願って。

そんなボクのキミを想うジレンマ。




サクラが咲く季節になるといつも思うこと。
気持ちばっかり焦って、毎年ボクはサクラの撮影を逃してしまう。
多分今年もサクラには出会えずに終わる予感しかない。


※見出し画像はウメです…



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