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Week11 | 次の制作に向けて、インプット期間

刺繍に目覚めて11週目。今週やったことを振り返り。

制作はおやすみ

今週、本当は週なかで半休を取って、日暮里に次の作品の材料を買い出しにいくつもりだったのだけれど。

仕事がいよいよ忙しくなって有給どころではなく、時間も気持ちも余裕がなくて。
今週はインプット期間にあてて、次の作品にそなえることにした。

図書館で借りた本<1>『刺繍小説』

『刺繍小説』(扶桑社、2019年)

美術家の神尾 茉利さんによる、エッセイであり写真集であり書評であり、さらに刺繍図案集にもなっている、その構成自体もクリエイティブな本。


刺繍の技法や図案の本は巷に山ほどあるけれど(そしてそれはそれで好きなのだけれど)、メタ的に刺繍の魅力を伝える本って、実はあまり出会えない。

刺繍描写の登場する本って、こんなにあるんだ。神尾さんが添えた紹介文が、一冊一冊、とても読んでみたくさせる。

とくに強く印象に残ったのが、西加奈子さんの『円卓』を紹介するこの表現。

インスピレーションに突き動かされ、全身全霊を込める朋美の刺繍はまるで武道だ。(中略)刺繍は紅茶が似合う可愛いもの……という固定概念を黙認してきた私は、アツイ”刺繍小説”との出会いに心底感動していた。
(P.15)

私はまさに刺繍は「紅茶が似合う可愛いもの」におさまるものではないと感じているから、「武道のような刺繍」をする「朋美」がどんな人物で、どんな表現をしようとしているのか、知りたくなった。


図書館で借りた本<2>『刺繍のすべてがわかるステッチ図鑑』

打って変わって、もう1冊は技法の本。

オールカラーで写真が充実してて、まさに図鑑。
たとえば「ノッテッドステッチ」のカテゴリひとつとっても、メジャーなフレンチノット、ブリオンノットだけじゃなく、チャイニーズノット、フォーレッグドノット、コーラルステッチ、スクロールステッチと、初めてみる技法がたくさん収録されている。

元々英語の本だから、ステッチの名前が基本英語になってて、英語名を覚えられるのも良いな。

刺繍史の論文を読む

ここ最近、読む手が止まっていた大﨑綾子さんの論文『近現代における日本刺繍の研究』をしばらくぶりに読み始めた。

この論文は、わたしの知りたいことが詰まっていて本当に面白い。

今は明治〜大正期の日本における刺繍のくだりを読んでいるけれど、私が自分なりに整理したいと思っている、 “刺繍がなぜ「美術」のいちジャンルにならなかったのか”という問いへのヒントがありそう。

・江戸期まで、刺繍は「彫刻」「絵画」「金工」「漆工」「陶磁」「染織」などとともに「技芸」と捉えられていた
・明治期に「美術」という言葉が生まれ、「美術」「工芸」といった分類が行われた
・西洋の影響で「彫刻」「絵画」は「美術」分類となったが、「工芸」は実用とみなされ、観賞対象である「美術」より一段低い位置付けをされた

今読んでいるかぎり、明治・大正期には、刺繍が「美術」に含まれるか「工芸」に含まれるかは、支持体や図案の違いによってケースバイケースだったみたい。逆に言うと「美術」カテゴリで扱われたケースもあったということだ。

今もまぁ、表現手法として刺繍を選ぶ美術家もいるにはいるけど、彫刻や絵画のように1ジャンルを築いているわけではないし、刺繍という手法そのものが「美術」とみなされているわけではない。

どのような経緯で今みたいな位置付けになったのか、ここから先を読み進めるとヒントがあるかな。楽しみ。

NEXT WEEK

・論文読み終える
・次の作品の構想考える




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