マガジンのカバー画像

短い小説たち|さとうひび

22
小説です。有料やめました。無料枠に全部公開してますので実質無料です。値段がついているのは投げ銭用。もし気に入ったら応援購入よろしくお願いします。すごく励まされます。
運営しているクリエイター

#小説

アダムの受胎

夢のなかで私は妊娠していた。 しっかりと膨らむ下腹部には、もそもそと動く小さな何かが、し…

100
2

サザンビーチ

「サザンビーチは南のビーチ。常夏の白い砂浜と、どこまでも続くエメラルドの海よ。」 幼少の…

100

Untitled 9 BaseBalls

Untitled 9 BaseBallsというのは、ぼくが20歳の頃にやっていたバンドだ。大学の講義をサボりな…

100

おじさんの顔はグレー

雨のしとしと降る日々だった。その日、私は学校が終わると、お気に入りの赤い傘をさして、帰り…

100
1

ふゆむしなつくさ

仕事が終わり帰ろうとすると、港の端に、冬虫夏草が生えていた。中国からのコンテナ船からこぼ…

100
3

昨日生まれた

昨日私はここに生まれた。昨日、地球の人になった。わからないことばかりだけれど、どうかこれ…

100
3

可能性のスポットライト

「物理学的な見地でいくと、僕たちの考えている『時間の流れ』っていうものは存在しないんだ」と難しそうな顔をしてミツルは丸い眼鏡をくいとあげた。 「実は僕たちのあらゆる状態っていうのはすでにそこにあって、特定のそれにスポットを当てることで、世界が動いているように感じるのさ」 「すべては、もう『すでにある』んだよ。」 私には意味がよくわからなかったが、ミツルがいうのだから間違いはないのかもしれない。 ミツルは俗に言う『天才児』で、12歳なのにアメリカの大学で研究をしている。

¥100

私の夢みた行く末

遠雷が鳴る。 遠くに聞こえる長い雪崩のような、そのくぐもった音は。 密かに私の恋の終わり…

100
1

海風の悠かに遠く

おじいちゃんが枕元に現れたのは、私が鬱状態に陥り、初めて会社を無断欠勤したときだった。 …

100
4

僕には才能がある

ここにはいない起業家の、インタビューされたときの話。 自分でいうのもなんなんですけど、僕…

100
1

くりかえしてる

昨日も僕は8時に起きて、遅刻ギリギリ会社にむかった。昨日と一緒の電車に乗って、昨日みたい…

100
3

フレッドペリーよ、大旗を振って

フレッドペリーは泣いていた。フレッドペリーはファッションブランドではなく、彼のニックネー…

100
2

くれいじーピッグ

クレイジーな豚は空を飛ぼうと決意した。 周りの豚は彼をバカにするか、死んじゃうからやめた…

100
3

昨日の深爪

優しい気持ちと悲しい気持ちが重なり合って恋だと知った。昨日の深爪は誰のため?私のためか、あなたのためか。自分の部屋のテレビも机も、みんなに秘密のお菓子だらけの引き出しも、今ではすっかり別物みたいに、少し暗くて空っぽだ。 昼間が終わって、すぐ夕方で、私はまっすぐ家に帰る。 自分の部屋。荷物を置いて着替えたら、ベッドに転がり天井を見る。「井の中の蛙、大海を知らず」この言葉には続きがある。「されど、空の深さを知る」だって。部屋の中、どちらも行けない私はどうしたらいいのか? 手

¥100