昨日の深爪
優しい気持ちと悲しい気持ちが重なり合って恋だと知った。昨日の深爪は誰のため?私のためか、あなたのためか。自分の部屋のテレビも机も、みんなに秘密のお菓子だらけの引き出しも、今ではすっかり別物みたいに、少し暗くて空っぽだ。
昼間が終わって、すぐ夕方で、私はまっすぐ家に帰る。
自分の部屋。荷物を置いて着替えたら、ベッドに転がり天井を見る。「井の中の蛙、大海を知らず」この言葉には続きがある。「されど、空の深さを知る」だって。部屋の中、どちらも行けない私はどうしたらいいのか?
手をかざして指先を見ると、少し赤くなった指先が、恥ずかしそうにぷっくりしている。私はちょっと気持ちが楽になって、山椒魚みたいにあたりをまさぐる。
end.
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