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第55話「12人の仲間」

初日の授業は、予定通り9時にスタートした。

カツヒロ達13人の新人クルーのインストラクターは乗務歴8年目のミッシェル。彼女を初めて見たとき、どこかで見た事あるような気がしたけど・・・?そうだ、スパイスガールズの“ベイビースパイス”に似ている。

55.スパイスガールズ

年はカツヒロより少し上のようだが、顔つきはかわいらしく、子供っぽさを感じた。

なんだか、とてもキャピキャピした人だな。だけど、いつもニコニコ笑っているから人懐こくって優しそう。

もっと、厳しい鬼教官みたいなタイプを予想していたから、嬉しい誤算だった。根拠はない直観だけど、彼女がインストラクターだったら最後まで頑張れる気がした。

ミッシェルのあいさつが終了すると、今度は5週間のトレーニングを一緒に受ける同期の一人一人が2分程度の自己紹介をする番になった。

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「初めましてジェームスです。ウエリントンの出身です。前職はバーテンダーをしていました。家族は両親と妹がいますが、今はオークランドで彼女と一緒に住んでいます。彼女が国際線のCAで乗務歴4年目でして、それがきっかけで今回、キウイエアラインに応募しました。一番、フライトしたい都市はロンドンです。ロンドンには友人がいるのとサッカーが好きなので、サッカーのプレミアリーグを観戦したいと思っています。」

ジェームスは緊張していたが、元気よく自己紹介をした。男性はカツヒロを含めて全部で4人だった。

「ジェームス、ありがとう。あなたの彼女の事は知っているわ。何度か一緒にフライトした事があるの。とっても良い子だったわ。」

ミッシェルは楽しそうにコメントした。

「次は隣のあなた。お願いね。」

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「こんにちは。キャシーです。オークランド出身です。前職はシェラトンホテルでフロント係をしていました。家族は両親と姉が2人います。今、婚約中の彼がいて、トレーニングが終わったら結婚式を挙げる予定です。キウイエアラインに応募したのは、子供の頃から海外に興味があったからです。一番行ってみたい都市は大阪です。高校生の時から日本語を勉強していて、日本に行ってみたいと思っています。」

「キャシーありがとう。大阪はクルーの人気が高いから行けると良いね。それから、トレーニングの後に結婚式を控えているの?それは、準備が大変だけど、大丈夫よ。皆であなたをサポートするからね。」

新人13人はそれぞれ指定されたテーブルに座っており、テーブルの形はアイランド形式。4,4,5人の3つのグループに区切られている。カツヒロは最後から2番目で、この順番は社員番号によるものだと、後で気が付いた。

一番番号が若いジェームスがKW66601番で、次のキャシーがKW66602と言った具合で、勝弘はKW66612番だった。

キウイエアラインは20歳以上59歳以下でニュージーランドの市民権又は、永住権の資格を持っている健康な男女であれば、誰でも応募可能な会社だったが、この13人の中で、新卒で合格したのはレイチェル一人だけ。

他の12人はホテル業界が3人、旅行会社とグランドスタッフが2人づつ、唯一のFA経験者でイギリスのUKエアーウェイズの乗務経験が3年あるのが、ケイト。

ジェームスはバーテーンダー、ジャスティンは宝石商、アメリアは小学校の先生と言った顔ぶれで、カツヒロは元旅行会社の営業員だったので、クライストチャーチから来たサラと一緒。

カオリはニュージーランド人と日本人のハーフ。数年間、子供の頃、埼玉に住んだ経験がある。その後はずっとオークランドに住んでいるので、母国語は英語。

ミキコは両親共に日本人で、家族全員でニュージーランドに移住。日本人観光客相手のお土産屋さんを営んでいる。

英語力に関し言えば、カオリはネイティブだから、全く問題なし。ミキコも6年以上、クィーンズタウンで暮らし、現地のホテルで働いてきたのでかなり英語力が有る。

その事を知った時、カツヒロは、少々、がっかりした。

彼女たちは英語力に問題なのだろうから、いいな。俺は正直なところ、まだまだ実力的に厳しいから、相当頑張らないとなあ。

それでも同じ日本人がクラスにいる事は精神衛生上、心強かった。又、レイチェルとスーザンは日本に留学経験があり、かなり日本語が上手だったので、困ったら彼女達にも相談しようと思った。

つづく。

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