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第72話「機内販売トレーニング」

いつものようにトレーニング前のコーヒーブレイクを終えた一同がクラスで所定の位置に座ると、ミッチェルがキャリーバックを転がしながら教室に入って来ました。

トレーニングセンター①

「皆、おはよう。今日、いよいよ次のロスター(4週間の乗務スケジュール)がファイリングされます。通常、午後2時過ぎになれば用意出来ているはずなので、トレーニングが終了したら確認してみてね。」

「うわー、楽しみだね。ファーストフライトはどこだろう?

来週末に5週間のトレーニングを終了する新人クルー12人にとって、約2週間後に迫っている初ロスターに対する期待と不安は大きかった。実際に国際線CAとなってフライトが始まると、これまでの生活とはライフスタイルが大きく変化する。

週5日勤務、土日休みの仕事スタイルしか経験してこなかった人間にとって、連続10日間のDutyにいったり、そのあと5日間の連休をもらったりとの生活はどんなものなのか?想像の中では分かっていても、実際に体験するのとでは、やはり異なる事になる。

トレーニング達はキラキラして目をしながら自分に今後訪れる変化を妄想し、それを仲間同士で口にしあった。

クラス内の歓声が収まったのを確認してから、ミッシェルの説明が続いた。

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「それから、明日は実際のフライトで、ギャレーセッティングの見学をしてもらいます。今から一人ずつ便名とリポートタイムを発表するので、自分がアサインされたフライトのメモを取って下さいね。」

「はい。」

カツヒロは、ジェーンと一緒でKW97便、オークランド発関西行きの便がアサインされた。

ミッシェルはそこまで言うと一息おいて、よいっしょと持参したキャリーバックを前のテーブルの上に置き、中から何か取り出しました。

ミッシェルの右手には黒くてティッシュボックスより少し縦長の機械らしき物が握りしめられていました。

40.クレジットカード読み取り機

「さてと、今日は機内販売のトレーニングです。今、私が手にしているのが機内販売用の専用端末です。後で、皆にも操作してもらいますから、楽しみにしていてね。」

と言って、トレーニング用端末3台をそれぞれのテーブルに1台ずつ置いて行きました。

機内販売は通常、専用のターミナルと呼ばれるタッチパネルの端末があり、それを間違えずに入力すれば、ほぼ問題なく操作出来る。

但し、ターミナルの故障などの理由でこれが使えない事が時々ある。その場合は電卓を使って手計算で販売をしなければならない。その場合、クレジットカード精算は、カーボン紙の入った専用用紙を使って手書きで入力となり、結構な手間になるし、異なる通貨で支払う場合の通貨毎の為替レート計算が大変だ。

60.ドリンクカート


「それから、これが、キウイエアラインで使っている機内販売カタログです。一人1冊ずつあるから、先ずは、どんな商品があるか確認して下さい。」

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しばらく、皆がカタログを眺めていると、有名ブランドの化粧品や香水、アクセサリー、時計、チョコレート、お酒、ぬいぐるみ、ボールペン、飛行機の模型、小物入れ等があるようだ。

ミッシェルは片手にカタログを開きながら、一通り、機内販売品の特色や売り方のコツなどを説明した。例えば、商品の並べ方が大切で、外側にお客様の目を引くぬいぐるみやお酒、チョコレート等を置くと良い。又、購入を迷っているお客様には、搭載数に限りがあるので帰りのフライトで購入できる保証はありませんよと一言いうと購入してもらえると言ったアドバイスだった。

そして、最後に良いことを教えてあげると言ってカタログを閉じた。その良い事とは、機内販売を担当すると、売上の4%をコミッションとしてもらえると言うもだった。

やったー。基本給以外にボーナスが出るんだ。他社でもこのような制度があるのかは、分からないけど頑張ってたくさん販売したらそれだけ、お給料が増えるのでやる気が出る良い制度だ。

とカツヒロは思った。

機内販売の授業は、使用できる通貨(米ドル、ポンド、NZドル、AUSTドル、香港ドル、日本円等)の確認や専用端末が利用出来ない場合のマニュアル計算のやり方、書類の記入方法などを練習した。

それから2人ずつペアになってCA役とお客様役をやり、端末の入力の実地訓練を行った。

「それでは、問題を一つ出しますね。分かった人には、機内販売でも売っているクリニーク社の香水(試供品)を差し上げます。分かった人は手をあげてね。」

クリニックHappy

※クリニーク社の香水Happy

すると、キャシーが自信ありげに答えました。

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「一番高いのは、スワロフスキーのネックレス」

「さすが、元キウイエアラインのGS(グランドスタッフ)だね。正解です。皆、大きな拍手をしてね。」

皆から、尊敬の眼差しと拍手を受けたキャシーは誇らしげに、手を振って商品の化粧品をもらいましたが・・・

「実は皆の分もあるのよと」ミッシェルが言うと、クラスはより一層、拍手が大きくなった。


つづく。

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