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第80話「新人CAトレーニングフライト後半」

午前8時15分にオークランドを出発し、約3時間30分のフライトタイムを経てカツヒロ達、新人CA12人が無事にブリスベンに到着した。ブリスベンはオーストラリアのクイーンズランド州の州都で、シドニー、メルボルンに次ぐ同国で3番目に大きい都市になる。

飛行機が完全に停止すると、ディーンと言うチャイムと共に頭上のシートベルト着用サインが消灯した。すると、乗客は一斉に立ち上がり前方左手の降機用のドアに向かう。これから商談に向かうビジネスマンが少し眠たそうに眼を擦っていたり、ホリデイをゴールドコーストやサンシャインパラダイスで過ごす家族連れの子供たちがはしゃぎだしていた。

32.ゴールドコースト

新人CA達は先輩CAの動きをまねして、全てのオーバーヘッドロッカーを開き、お客様の忘れ物が無いかをチェックしたり、エクステンション・シートベルト(小さな子供を膝の上で載せて離着陸する際や、通常のシートベルトだと長さが足りないお客様用の延長ベルト)を集めるのを手伝った。

それらのお手伝いがいが終わると、約2時間の休憩時間がもらえた。

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一方、ブリスベンで降りる最後のお客様がボーディングブリッジを渡ると、ほぼ同時に待機していた清掃グループが一気に機内に入って来た。だいたい15名ぐらいいるだろうか?おそろいの黄色いベストを着ている。

30.機内清掃

彼らは慣れた手つきで乱雑に置かれた毛布を一つ一つ丁寧にたたみ、素早くテーブを台拭きで拭きとる。それが終わるとシートベルトをきちんとハの時にして組んで行く。次に座席前のポケットの中にある、キャンディの袋やプラスチックカップ、などのゴミを取り除き、セーフティデモンストレーションカードや機内雑誌、免税品の販売カタログ、エチケット袋らを順番通りに並べる。これで、一つの座席のセッティングが終了する。

CAになる前は見る事の出来なかった清掃員たちの機敏な動きを見てカツヒロは思った。

M4.カツヒロ

「旅客機を運行する為には、こうした裏方さん達の仕事にささえられているんだな。今まで考えた事もなかったけど、これから自分が飛行機を利用する際は、こうした裏方さんへの感謝を忘れないようにしたい。」

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「ねえ、皆、帰りのブリーフィングまで50分あるけど、空港内を案内してあげるから着いていらっしゃい。」

インストラクターのミッシェルが新人CA達を誘った。

通常、次のフライトまでの機内清掃や給油中で待機中のクルーは、ビジネスクラスやファーストクラスの座席に座り、スマフォを見たり、新聞や本を読んだり、仲の良いクルー同士でお喋りしたり、昼寝したりして過ごす。

もちろん、若くて元気なクルーはゲートの外まで出て気分転換にウィンドーショッピングを楽しんだりもする。(※出来ない空港もある)

ミッシェルの案内でブリスベン空港内を散策した一行は、ビジネスクラス以上をご利用のお客様やフリークエント・フライヤーズプログラム、いわゆるマイレージプログラムの上級会員が利用できるラウンジを見学したり、免税店や専門店をいくつか訪問し解散した。

57.オークランド空港ラウンジ

帰りのブリスベン発オークランド便では、ドリンクサービスとランチサービスを体験した。行きのフライトでギャレー4/5(エコノミーの前側のギャレー)を担当だった4人がコックピットビジットやクルーレストの見学にまわり、ギャレー6/7の担当の4人が4/5、それ以外の4人が6/7(エコノミーの後ろ側のギャレー)と一つずつスライドした。

今回のフライトでは、一人28個ずつホットミールのカート搭載を体験し、セカンドワインと呼ばれる、食事とドリンクカートが全部のお客様に行き届いた後、最前列と最後列から同時スタートでワインのお代わりを巡回する役割カツヒロたち8人が担当した。

45.ワインナイフ

キウイエアラインはエコノミークラスでも赤2種類、白2種類、スパークリングワインをサービスしている為、スーザンは左側前方から白ワイン2本、ケイトは右手後方から赤ワイン2本、と言った感じで、ワインを注いで周り、実際に機内でお客様にワインをサービスする。


ミッシェルのアドバイス通り、フライト中にたくさんお水を飲んが、機内でサービスを行うという事は見た目以上にハードで、カツヒロは自宅に帰ると疲れがどっと沸いて、その晩はいつも以上に深く眠れた。


つづく。

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