ETFフローからみる世界の投資家動向(2020年12月ETFフロー)
ETFへの流入/流出状況をみることにより、世界の投資家が何を考えているか、を探ってみたいと思います。各種データの出典はこちらです。
1.なぜETFフローをみるのか(メリット)
2019年時点で、世界には約7,000のETFがあると言われています。
収益の獲得や自分のポジションをコントロールするために世界中の投資家がETFを使っています。
したがって、ETFのフローを定期的に確認することにより、世界中の投資家の動向、具体的には
・どの資産、どのテーマのETFに資金が流れているか、逆に資金が流出しているか?
・テーマの切り替わりはあるのか?
を理解・分析することができます。
2.残高TOP5(おさらい)
フローに入る前に残高TOP5です。株式(主にS&P 500)に投資するものが残高上位を占めます。
3.資産別月間フロー
株式に投資するETFは、記録的だった2020年11月(72億ドル)より流入額は少なかったものの、30億ドルの流入を記録しました。債券は毎月コンスタントに流入が続いています(13億ドル)。
※流入から流出を引き、さらにショートの金額も引いた数値です。
4.月間フローTOP5
2020年12月のフローTOP5は下記の通りでしいた。
今月の特徴は、
・新興国株ETFがランクインしたこと(2位、IEMG、∔40億ドル流入)
・債券ETFが2銘柄ランクイン(4位・5位、合わせて∔51億ドル流入)
です。
コロナ禍以降、米国株は大きく値上がりしてきたことから、一部の資金が①新興国株、②債券、特に金利上昇に強い物価連動国債(4位 TIP)へ投資されるようになったことがわかります。コロナ禍に対する追加の景気刺激策がインフレに拍車をかけることを懸念した動きです。
債券ETFのAUMに占めるフローの割合はこちら。金利上昇に強い債券(Inflation Protected)がAUM対比で8%以上の大きな流入がみられました。
※物価連動国債についての説明はこちら。
物価連動国債とは、物価動向に合わせて元本が変わる国債で、インフレ連動国債とも呼ばれます。満期まで利率は変わりませんが、元本が物価の変動に合わせて変動するため、受け取れる利息が増減する仕組みです。
物価連動国債は、パフォーマンスが物価上昇率に連動するので、将来的にインフレになったときにも目減りしにくいという強みがあります。
4.ひとことまとめ
2020年12月は、ETFへの資金流入ペースは減少。投資家は米国株への楽観と注意モードが入り混じる展開でした。
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