見出し画像

マジックの本を称賛するだけの文章(Theater of the Mind)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

Theater of the Mind

タイトル: 『Theater of the Mind』
著者: Barrie Richardson
出版年: 1999年
ジャンル: メンタル、カード

『Theater of the Mind』はBarrie Richardson氏によって1999年に発表されたマジックの書籍であり、氏が考案した作品集となっています。

Barrie Richardson氏は米国のマジシャンです。マジシャンになる前は、複数の大学で教鞭をとっていた実績があり、学部長を務めたこともあります。本書はBarrie Richardson氏が書いた3冊の本『Theater of the Mind』(1999年)、『Act Two』(2005年)、『Curtain Call』(2011年)の中で一番最初に発表された作品集です。

本書には主にメンタルマジックが収録されています。お札やカード、メモ用紙など種々の道具が使われており、現象も予言やマインドリーディングといったメンタルマジックらしいものから浮遊などの珍しいものまで含まれています。その中でも特に「Any Card at Any Number」は本書を代表する作品となっています。これはその後の作品にも多くの影響を与えており、それだけで章が区切られているほどです。また、本書ではプレゼンテーションがセリフも含めて丁寧に掲載されています。そのため、彼のキャラクターや環境も含めて、マジックを理解することができるような構成になっており、現象がもたらすインパクトの瞬間、大きさや種類までもがわかるようになっています。

「The rest is presentation」
マジックの書籍にはこんな風に書かれる時があります。これを書く理由は理解できますが、実際にどれくらいが「rest」に含まれるのでしょうか?
拙著では三つの大きな柱の1本であり、単純に考えると約33%を構成する部分と言えます。しかし、各作品や場面などに応じてこの割合は容易に変わります。もし変わらないとしても、極端に簡単化した検討でも33%を占める要素は一文では収まりません。
この本ではそんな「プレゼンテーションの力」を大きく感じるものとなっています。しかも、その多様なプレゼンテーションの数には驚くばかりです。おしゃれであっさりとしたものもあれば、深く濃いものもあり、その可能性が本を通して散りばめられています。
また、メンタルマジックとして上質であることも触れておかなければいけません。メンタルマジックは定義が人によって異なる分野です。特に帰納的な定義が難しく、同じテーマでもその類似点がごくわずかということも珍しくありません。そんな中でとてもウェルメイドでまとまった作品が多く掲載されています。この本が与える影響が大きかった理由がよく分かります。

全体として『Theater of the Mind』は上質なメンタルマジックを学べると同時に、一級のプレゼンテーションに触れることができる一冊となっています。

以上が『Theater of the Mind』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?