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Rules for Predictions 〜退屈な予言を避ける3則〜 (前編)


1.  概要

マジックやメンタリズムの中に「予言」という現象があります(※1)。このマジックは「観客の選択や未来の出来事があらかじめ示されている」というシンプルな現象でありながら多くを検討する必要があります。本書では退屈な予言を避けるために気をつけるべき点について考え、それらをルールという形で言語化したいと思います。

ルールと言いましたが、私はこれを必ず従うべき原理原則というよりも、予言のマジックがうまくいかないときに見直す指針やガイドラインと捉えていただきたいと考えています。そのため、もちろん、より良いマジックのために例外やあえてルールを意図的に破るような状況は存在します。それらについても議論していきます。

本議論は前編で予言のルールを議論し、後編では付録としてルールを踏まえた予言のマジックを3本紹介します。

※1 予言のマジックは多くの書籍で見つけられると思いますが、少なくとも『Modern Magic』には予言のマジックが掲載されており、『13 Steps to Mentalism』にも「Prediction」という章が設けられています。また、Dariel Fitzkee氏の分類の中にも「予言」が含まれるなど、過去から予言という現象が認識されていた例は多く挙げることができます。

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12,354字

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