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時給1160円で募集のUSJアルバイト、祝い金10万円の破格手当の真相

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記事の要約

USJが運営するテーマパークは、2025年の大阪・関西万博開催に向けて、アルバイトスタッフ不足への対応を迫られている。
そこでUSJが、アルバイトスタッフ「クルー」の全国からの応募を募集開始した。
これまでUSJのアルバイト採用は関西圏に限定されていたが、今回初めて全国規模での採用となる。
アルバイトの時給自体は1160円と、近畿の同業種平均と大差ないが、祝い金や家賃補助などの手当が極めて手厚いのが特徴。
祝い金は入社後2か月間に分けて10万円を支給し、大阪への転居費用も全額補助する。
3か月~1年での更新時には、業務実績に応じて正社員登用も用意されている。
これらの施策から、USJがアルバイトの人材確保と定着に向け、業界では異例の厚遇を提示している様子がうかがえる。



深刻化する人手不足に直面するサービス業界

USJのアルバイト募集は、サービス業界全体が直面する「人材獲得競争」の一端を象徴的に示している。同社が手厚い待遇を提示し全国規模で募集をかける背景には、人手不足感の深刻化がある。特にインバウンド需要や個人消費の拡大に伴い、飲食や小売、娯楽などのサービス現場では、慢性的な人材不足に悩まされてきた。業界全体としての時給値上げは避けられず、本格的な「人材インフレ」の兆しがうかがえる。

一方で、本質的な解決には、時給引き上げだけでは不十分だ。なぜならば、労働者側が求めているのは、単なる「金銭的報酬」だけではないからだ。むしろ、成長できる職場環境、長く働ける体制、生活面での安心感の確保など、職場の「働きやすさ」を支えるインフラ整備こそが、人材獲得競争における勝負所と言える。USJの家賃補助や正社員登用制度は、まさにそうした「働きやすさ」確保のための施策だと位置づけられる。

製造業はダイバーシティと労働環境の改善に注力

自動車業界では、女性の育児休業からの復帰率と定着率向上を目的とした取り組みが目立つ。トヨタは育児短時間勤務制度の対象を拡大し、子育て中の女性が働き続けやすい環境整備を進めている。本田技研工業も、育児短時間勤務の上限をこれまでの3年間から最長10年間に大幅に延長する方針を明らかにした。女性の継続就業を後押しすることで、製造現場の人材確保をめざしている。

製薬業界でも同様の傾向がある。アステラス製薬は女性管理職比率30%を目標に掲げ、女性活躍推進に注力。女性のキャリア形成支援制度を拡充するなど、ダイバーシティ経営を加速させている。他社でも、フレックスタイム制の導入やテレワークの活用など、より柔軟な働き方を推進。製薬業界全体として、持続可能な職場環境の実現を人材獲得の要と位置づけている。

SNS時代だからこそ"心の豊かさ"が不可欠

デジタルトランスフォーメーションが急速に進む現代では、職場における「心の豊かさ」が人材獲得の鍵を握る。SNSの普及で人間関係が希薄化しがちな今こそ、職場でのコミュニケーションの活性化や、個人の内面を重視する企業文化が必要とされる。USJの戦略は、単なるサービス業のアルバイト確保策にとどまらない。SNS全盛の時代だからこそ、人の心のケアが極めて重要となるからだ。あらゆる業種、あらゆる企業が直面するのは、単なる「人手不足」ではなく、「働きがいの不足」なのかもしれない。USJの挑戦は、そうした時代の変化への sensibleな回答であると言えるのではないだろうか。


今日の問い

  1. 貴社では、働き手のニーズに合った制度設計や職場環境の改善に取り組んでいますか? 特に、ワークライフバランスや心のケアに配慮した施策はあるでしょうか?

  2. 従業員の声に耳を傾け、働きがいのある職場を目指すことは重要だとお考えですか? 社内コミュニケーションを活性化するような取り組みはありますか?

  3. 成長意欲のある社員を大切にするため、どのような教育訓練やキャリア形成の機会を提供していますか? 育成制度の充実が人材定着の鍵だと思いますか?

  4. 働き方改革関連法の施行も踏まえ、裁量労働やテレワークなどの柔軟な勤務体系の導入を検討する必要があると思いますか?


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