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スタートアップの悩み相談「スタートアップでも借入できるんですか?」三つの観点から説明します

こんにちは、ステラ・システムズCEOの原です。ステラ・システムズはスタートアップの資金調達や事業計画の策定を支援しています。このNOTEは資金調達に困っているスタートアップの役に立てばと思い、書いています。私は、今まで30社以上のスタートアップの支援をしていますが、その中で多かった質問や課題とその回答を記載していきたいと思います。

ここ最近のNOTEでは、借入について書いたものが多かったので、今回はもう少し踏み込んで借入の説明をしていきます。実際にスタートアップからも「スタートアップだから借入できないですよね?」といった誤解や、「借入ってどうやったら出来るんですか?」、「金利ていくらくらいですか?」といった借入全般に関する質問は多いです。今回は、①借入の際の銀行の目線、②借入に必要な期間、③メガバンクと他の金融機関の違いについて説明していきます。なお、今回の借入の説明は、民間の銀行の通常の借入を前提とします。政策金融公庫の新創業融資といった政府系の銀行が行う特殊融資だったり、セーフティネット4号といったいわゆるコロナ融資の話は対象外です。

第一に、借入の際の銀行の目線です。
前回までのNOTEで、銀行の目的は、貸したお金が利息込みで帰ってくることです。では、銀行はそのお金が返ってくるかどうかの判断をどうやってするんでしょうか?実は、金融機関は貸したお金を返せるかどうかの最初の判断を、企業の過去の実績に求めます。具体的には、前期の決算が、黒字、かつ、債務超過でない場合(資産>負債)である場合には、正常先として貸出の候補になります。実際にはもっと色々複雑な要件があったり、この考え方の基準になっている金融検査マニュアルは貸出の画一化を招くということで廃止されてしまったのですが、その考え方自体は現在でも生きています。普通だと、将来の計画の方が重要視されそうな気がするのですが、日本の金融機関は最初に過去の実績を見ます。就職活動でいい大学出ている人が有利なのと一緒です。この最初のバーをクリアしたうえで、金額や期間が妥当かなどを見ていくことになります。


第二に借入までにかかる期間なんですが、コロナ前は、〇〇融資なら1か月、△△融資なら2か月とか目線があったんですが、最近ははっきりした期間が言えなくなってきました。その背景として、スタートアップの方が借入をする場合には、実は各都道府県にある1つある保証協会(正確に言うと、神奈川県だけ2つある)の保証を得ているのですが、その保証協会がものすごく忙しいというのがあります。ただ時間がかかっても3か月くらいでは入金までは出来ると思うので、3か月くらいを一つのバーに設定してもいいかもしれません(ちなみ、出資については半年はかかります)。なお、銀行が保証協会の保証なしに融資をする場合には(プロパー融資と言います)、保証協会に確認をとったりするプロセスがなくなる分、もっと短い期間で借入できることが期待できます。

プロパー融資の話が出たので、ちょっと脇道にそれますが、スタートアップの経営者でも「うちの製品はこんなに素晴らしいのに、銀行はプロパーで融資してくれない。あいつらは見る目がない。」と怒っている人がいますが、そもそも銀行は製品の良否で貸出をしているわけではないので注意しましょう。交渉の結果、借入出来たり、条件がよくなる場合には交渉してもいいですが、平行線の状態で交渉しても時間だけが無駄になってしまいます。では、どうやったらプロパーで借入できるかという点についてです。これは金融機関や担当者ごとに判断が違うので絶対的な解はないのですが、まずは融資を受けられるだけの実績をきちんと確保しておくこと(前期黒字、資産超過)、後は焦らず少しずつ金額を増やしていくような気持ちが重要かと思います。銀行にとっても、保証協会の保証付き融資であれば仮に返済されなくとも一定率保証されますが、プロパーだと全額損失を自分たちで被ることになります。なので、少額プロパーで始めたり、最初は期間短めで始めて、だんだん長くしていくことが重要です。人の付き合い方と一緒です。

第三に、メガバンクと他の金融機関について説明します。まず、メガバンクの方が借りられる金額は大きいことが多いです。金利もメガバンクの方が安いことが多いです。一方で、注意が必要なのは、メガバンクは担当者がよく異動になってしまうことです。実は、借入できるかどうかについては、結構担当者の気持ちとか、力量によることが多いんですよね。特に、経営が安定しないスタートアップの場合はなおさらです。なので、前任者はスタートアップ好きなので頑張って色々提案してくれたが、後任はそういったのがあまり好きでなく、すっかり会社との接点がなくなったという話もよくあります。そういった点では、メガバンクよりも小規模な金融機関(地銀や信用金庫)の方が、異動は少なく、同じ担当者がついてくれる可能性は高いです。また、地銀や信用金庫は地域の経済を活性化させるという目的があるので、地元の企業には優しいこともあります。

今回は、借入について少し細かい説明をしました。繰り返しになりますが、今回は借入の基本的な話のため、実際には他の借入が使える可能性もあります。スタートアップの皆さんも迷うことがあれば、お気軽にhara.dsk.stella@gmail.comまでお問い合わせください。


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