今日もカフェでコーヒーを飲みながら④ 3.恐怖の給食時間…

当時の小中学校の給食時間は、昼休み時間と合わせて、せいぜい30〜45分程度でした。
しかも、クラスの全員が残さず完食しなければ、『連帯責任』で居残りしなければならないという、今考えてみると、相当くだらないルールがありました…。
また、給食に使われていた先割れスプーンは、物をきちんと刺す事が出来ない上、スープや味噌汁といった汁物をすくう際、先の方からこぼれ落ちてしまうような、非常に使い勝手の悪い代物でした…。
その為、他の同級生達は、食べる際、背中を丸めて猫背になり、口の中に流し込むかのように、殆ど咀嚼する事なく、かっ込んで食べていました。男子達は大体5〜10分程、女子達でも15分程で給食を食べ終えてしまい、まだ食べ終わっていない子を待っていました。全員食べ終わって空でなければ、体育館やグラウンドへ遊びに行けないからです…。
そして、私はというと、いつも最後まで残ってしまいました…。
それというのも、小さい頃から、祖父母や両親から、
「ゆっくり、よく噛みなさい」
「出来るだけ、食器の音を立てないようにしなさい」
「犬猫じゃないんだから、かっ込んで食べるんじゃない」
「背中を丸めたらみっともない。きちんと背筋を伸ばしなさい」
と、普段の食事の時や、外食の時に、いつも厳しく言われて育ってきた為に、皆のようにして給食を食べる事が出来なかったのです。
私は、皆が一斉に背中を丸め、犬猫のようにかっ込み、ガチャガチャ、クチャクチャと音を立てて食べている、異様な光景を目の当たりにして、食欲が失せ、食べられなくなってしまうのです…。
先に食べ終わっている同級生は、イライラして私を見たり、しびれを切らして私の周りを取り囲み、
「おいっ! Y内っ! さっさとしろっ!」
「いつまでチンタラ食ってんだよっ!」
「てめぇが食い終わんねーと、休み時間なくなるだろっ!」
「トロくせーなっ!」
「そんなの、一気に口ん中に流し込んで飲んじまえばいいだろっ!」
と、野次を飛ばしてきました。
私は、その野次に耐え切れず、いつも泣き出してしまい、
「もう、食べられませんっ…」
と、泣きながらO瀬先生に言い、給食を残してしまいました。
パンと牛乳など、袋やパックに入っている物は、手を付けず、家に持って帰るか、体格の良い男子や、おかずをおかわりするような食欲旺盛な子達に先にあげたりするようにして、少しでも時間を短縮しようとしました。
けれど、午後の授業中、お腹が空いてきて、授業に集中出来なくなったり、体育の授業ではスタミナがなくなり、悪循環になってしまいました…。

そんな事が積み重なり、次第に、『いじめ』をエスカレートさせていく要因に結び付いてしまいました…。


そして…、
ある日の給食時間、当番の子が、私の机の上に袋に入ったパンを置いた直後、近くにいたN良君という小柄な男子が、そのパンを取り上げ、
「お前、どうせまた、残すんだろっ?」
と言って、バーンッ!と床に叩きつけるように投げました。更に、次の瞬間、N良君はパンを思い切り踏みつけました。
「ホラッ、お前なんか、これで十分だろっ」
と言い、ニヤッと笑うと、踏み潰したパンを拾って、私の机の上に投げつけました。
「うわっ…、汚ねぇっ…」
「ザマーミロ…」
他の子達は、その様子を見て、ニヤニヤと笑っていました。

そんな事が、給食時間の度に続くうち、私は、給食時間が恐くなっていき、学校では殆ど食べられなくなってしまいました。
また、それまで私がパンや牛乳をあげていた子達は、
「もうお前からパンとかもらうなって言われた…」
「Y内のを食べたら、バイ菌だらけになるって…」
と言い出し、私からパンや牛乳を受け取らなくなりました…。

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