星降る音の満つる時
しずかに...静かに...星は降る... 舞うが如くに星は降る...
見えざる星の囁きにも似て、その妙なる音色が貴方のこころを満たしてゆく...目を閉じればきっと気づくはず...降りつむ星の音は雪のよう...
音が満ちれば満ちるほど心はほんのり温かくなってゆく...深く息を吸うと身体を染めてゆくような星の香りを聴き… 貴方は想い出す...遠く旅をしてきた道の上で、優しくほほえむ故郷の星...ずっと貴方を守ってきたふるさとの星...どんな時も貴方とともにある守り星...耳をすませば貴方のこころのなかで共振するものがきっと見つかるはず...それは貴方に贈られた星のかけらだから...その星のかけらは貴方の行く道を照らしてくれるでしょう...
ずっと...ずっと遠いむかし… まだ時間が生まれる前に貴方はその星から旅立った... 青い星をめざして...
舞い降りた地球で何度生まれ変わったことだろう...星降る音を聴きながら貴方は想い出す...星のかけらの震わす香りのなかで貴方は想い出す... 遠い星の記憶を...
おぼろげなその記憶の向こうに、たしかに感じる言葉にならない感触...あるかなきかのその感触だけがその証... そこに言葉はいらない...そこは言の葉の葉脈を流れる命の源泉...あるのはいのちの息吹きの香りそのもの...
耳をすまして… こころを澄まして香りを聴くように、囁きを聴いてください...貴方に贈られた星のかけらが震えるのを感じてください...
それが貴方をみちびく唯一のものだから...
26th OASIS 2021 出展作品
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