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青い風の女


青い風を纏って
そのひとは歩いてゆく

軽やかな靴音を響かせて
街々を歩いてゆく

熱気に満ちた街にあっても
心のなかを颯爽と歩いてゆく

時空を旅するように
現れては消えるそのひとは

袖をひるがえしながら
人々の頬を撫でてゆく

姿なき風の使者のように
人々を染めてゆく風の色は

久しく忘れていた
海の記憶を連れてくる

空に遊ぶ雲のように…
海にあそぶ波のように…

とおい記憶の匂いが
時の波間に浮かんでいる...

 ........

蒼い記憶の風のなか
空と海とが目を覚ます

蒼と青との狭間にて
昼と夜とが溶け合って

夢とうつつの空のもと
星は流れて明日をみる

 ........

青い風の女は今日もまた
どこかの街を歩いている...

疲れた顔を撫でながら
忘れた海を連れてくる

乾いた瞳に一粒の
星をとどけて去ってゆく...









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