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きびす返さず 咲子の場合 第6話

光太郎と久美は間もなく結婚する

子供達もそれを待ち望んでいる

ここで今回の主人公である咲子について
少し語りたい

咲子は満たされた生活の中に、不満があったわけではないが、刺激を求めて外の世界を見てみたくなった、そこで選んだのがチャトレ、、、普通はこの職業、主婦は選ばない、、、しかし、咲子はその世界へ飛び込んでしまう、、、

その結果、多くの男達からアプローチを受け、ノンアダルトでありながら、チャット相手とチャット外で不倫関係を始める、、、

ここで問題なのは、咲子の想いである

家族、夫や子供達を咲子は愛していた

不倫に走って、盲目にはなってしまったが、想いは決して家族を捨て去っていた訳ではなく、、、思いっきり家族への愛情を残していたのである

不倫は遊び、、、バレなきゃヨシ‼️
でも家族は大事、、、

そんな感覚でしていた咲子

しかし、バレてしまったのである


なので、その心情は凄まじく、失意のどん底、、、

夥しい後悔の念に打ちひしがれていた

家族と接触すら許されない咲子

あれからどうしてるんだろう❓

離婚し、慰謝料は自分の貯金と足りない分は義両親から借りて支払い、義実家にも絶縁され戻る事も出来ず、借りた借金だけ返す為に安アパートに住んで朝から晩まで働き詰め、、、

それでも復縁したくてチャトレはもうやっていない、、、

真面目に生きること、そんな自分を観て欲しい、そしてもう一度やり直したい

そんな想いで、生きていた

そして仕事帰りの道を少し回り道をすると光太郎の住む家がある

咲子は仕事帰りに良く様子を見に行っていた

夕方、光太郎の家を少し遠くから見たら
子供達が遊んで帰ってくるところだった

咲子は思わず声を掛けそうになったが、
接触することは許されない、、、

言葉にならない、涙しか出ない、、、

またある日は、光太郎が洗車しているところを見た事がある

しかし、声を掛ける勇気が出ない、、、

あなた、、、あなた、、、と

心の中で叫ぶ咲子だった、、、

そして咲子が夜の仕事を終えて、深夜に帰る途中に寄った時のこと

暗がりの中を家の軒下まで来た時、
部屋の中から嬌声が聞こえて来たのである、、、AVでも観てるのかなぁ❓と

咲子は思わず壁に耳を当てて聞いた

「光太郎さん、いい、いい、」

「ああっ、オレも逝きそうだよ」

「いい、あなた、出して、出して、、私の中に出してーーーッ」

「好きだぁ、久美ーーーッ❣️」
「うぐぅーーーーッ」ビクンビクン

ドクンドクンドクンドクン

咲子はそれがAVの音声では無い事に気がついた、、、女が光太郎と呼んだ、
光太郎が久美と叫んだ、、、中出しした

久美は純也の元妻、、、咲子の被害者である、、、

この時、咲子はもう自分には戻るところは無いのだと、、、確信したのだが、、、

もう真面目に生きていたって、しょうがない、、、

咲子の心の中にはもう元には戻れないと言う想いと裏腹に、

この家族をメチャクチャにしてでも、自分が嫁、母の座に返り咲くんだと言う

通常では理解不能な想いが、メラメラと
燃え上がっていたのである


そしてまず、咲子は自分の存在とその想いを認知させようと、手紙を送る

当然のように、無視される手紙、、、

怒り心頭の咲子は、嫌がらせに走る

郵便受に砂をいれたり、匿名で大人のオモチャを送り付けたり、玄関先に汚物を撒き散らしたりと、、、やる内容が段々とエスカレートしてくる、、、

光太郎の方も勿論、警察にも相談し、被害届けを出している

そしてついに光太郎の会社にまで姿を現す咲子、、、

会社帰りに駐車場へ歩いて行くと、そこに咲子が待っている、、、

光太郎「咲子、、、お前、まだ懲りないのかぁ❓、、、もう分かってるだろ❓自分がした事、、、その結果が今の君の有り様なんだって、、、」

咲子「それはもう償ったわっ‼️、、、
私は元に戻るの‼️、戻りたいの‼️、あなたの妻なの‼️あの子らのお母さんなの‼️」

光太郎「、、、それは君自身が壊してしまったんだろう⁉️、、、少しヒビが入ったくらいなら修復も出来るが、君は家族の想いを粉々に粉砕してしまったんだよ、、、もう無理だ‼️諦めてくれ‼️」

咲子「いゃーーーッ‼️、いゃーーーッ‼️絶対に諦めない‼️、、、私は絶対、あの家に帰るんだから‼️」

そう叫んで咲子は走り去って行った

光太郎は不安が募るばかり、、、

離婚したから他人とは言え、元は妻

関係ないとは言え、見えないところで

それなりに生きて行って欲しいと思っていたが、、、

こんな風に関わってくると、、、

もう、対決するしかないのかと、
嫌な想いに包まれていた

この時光太郎は久美と再婚を果たしていた、、、家族を守らねば、、、そう決意する光太郎だった


次に咲子が考えたのは、子供達へのアプローチである

子供達を味方に付けれたら、それはそれは大きなアドバンテージになるだろう

子供達は長男の一太郎が5歳、長女の彩月が4歳になっていた、、、まだ幼稚園児である

その日、咲子は光太郎な家に向かっていた、、、子供達にアプローチする為である。

長男の一太郎は正義感旺盛な男の子、ウルトラマンシリーズが好きで、父親の光太郎も幼い頃好きだったから、一太郎はお父さんと一緒にテレビを見る事が好きだった

長女の彩月はお兄ちゃんの影響を受けて
やはりヒーローものが好きで、女の子だからとお父さんから美少女戦士セーラームーンのDVDを買ってもらい、何回も何回も飽きずに観て、自分がセーラームーンになり切っている彩月、ムーントワイライトフラッシュが得意技だ

いつもは光太郎が悪役(ブラックデビル)をやって、子供達にやっつけられるのが、お父さんの役回り、、、それも光太郎は楽しんでいた

そんな家族のところへ凸して来た咲子

ピンポーン、ピンポーン

久美が画面を確認すると咲子だと分かる

久美「あー、怖い‼️嫌がらせの怪獣来ちゃったわ‼️、、、どうしよう、どうしよう、」

一太郎「お母さん‼️怪獣⁉️」

彩月「どこどこ⁉️」

久美「ほら、画面に写ってるでしょ、
玄関よ、、、来ちゃったの、、、
仕方ないわねー、、、でるかぁ」

玄関へ行く久美

ガチャ

咲子「子供達に会わせてちょうだい‼️
居るんでしょ⁉️」

久美「もう、いきなり、、、居ますけど、会わせません、、そう、約束したじゃないですかぁ、
公正証書にもなってるんですよ」

咲子「そんなの関係ないわっ‼️」

一太郎「シュワッチ」

そう言って一太郎は玄関へ手を前に出して飛んで来た、、、彩月も来た

咲子「あーっ、出て来た出て来た、、、2人とも大きくなったねぇ、、、ほら、お母さんよ、、、覚えてるでしょ❓会いたかったわぁ、ねえっ」

一太郎「誰だお前は⁉️」(父親のブラックデビルの真似)

咲子「お母さんよ、、、」

一太郎「お母さんはここに居るよ」
(久美を指差して)

一太郎「僕がこの家を守るんだーッ‼️、悪い奴をやっつけろーーーッ‼️」

一太郎は腕を縦横に交差させて、ビームを放つ、、、スペシウム光線である

一太郎「ジャッ‼️、、、びーーーーッ」

彩月「月に変わってお仕置きよーーッ
ムーントワイライトフラッシュ‼️」

久美は苦笑www

咲子は目が点になり、茫然とその光景を見つめながら膝から崩れ落ちた

咲子は泣いていた、、、

そしてその次の瞬間、泣きながら足早に帰って行った、、、

一太郎「やったぁーーーッ、やっつけたぞーーーッ」

彩月「オーーーーッ❣️」

そこへ、咲子が帰った玄関に光太郎が出て来る

光太郎「ウルトラマン、ありがとう、、、お陰でこの家は救われたよ、
セーラームーンもありがとなっ」

久美「ふたりのヒーローのお陰でもう安心ね、、、ありがと❣️」

久美と光太郎に頭をナデナデされて、子供達はご満悦、、、

4人で玄関で抱き合ってその功績を讃えた、、、

子供達のなんの威力もない、スペシウム光線とムーントワイライトフラッシュだったが、
咲子にメチャクチャ効いたようだった


子供達を味方に付けて、アドバンテージを取ろうと画策した咲子だったが、、、

逆に子供達にトドメを刺される結果となった

咲子はまた、喪失感に落ち込んでいた

そして、しばらく塞ぎ込んでいたかと思うと、突然、動き出す咲子

彼女はもう自分は失うモノは無いのだと、、、何でもやればいいのだと、、、

そう考える様になって、好きなように生きると決めていた、、、



・・・つづく・・・

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