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【コラム】出来そうにない役割が回ってきた時

子どもが合唱コンクールの楽譜を持って帰ってきた。「伴奏、どっちが簡単やと思う?」。え? 楽しめる範囲でしか練習しない、やっとツェルニー入ったばかりのアナタが? うわ、難しそう! これはキビシイでしょ~。

聞けば、中3でピアノを続けてる人がクラスに2人しかいなくて、自由曲と課題曲があるから、どうしても片方弾かないといけないらしい。たまたまピアノレッスンの日だったので先生に楽譜を見てもらったら、「どうしてアナタに?!」と、そっちでもビックリされてました。

いや~、楽譜見たけどハードル高いわ~。楽器演奏は積み重ねだから、一夕一朝でどうこうできるものでもない。例えるなら、小学校で楽しくバスケをやってる子に中学生の試合で活躍しろ、というような。英語教室でゲームを楽しむ小学生に高校入試を受けろ、というような。「やればできる」なんてキレイ事では片付かないレベルの違い。

隣のクラスは弾きたい人が多くてオーディションで伴奏者を選んでるらしい。その人に弾いてもらえたらいいのに。クラス分けの失敗かな、これ。「一人で背負い込まなくていいよ」って言ってあげても、何のタシにもならないだろうし。むむ~。

「どうしてもって言うなら、課題曲の方が、まだなんとかできるかもしれない」。ピアノの先生にそう言われて覚悟を決め、翌日学校で「課題曲ならなんとかガンバってみる」と言ったら、もう一人の上手な子も「私も課題曲の練習始めたからこっちしか弾けない」と、両者、同じ曲を希望。

「え~~、そんな事言ったって、実力に応じた方を弾くしかないじゃん」。思わずそう言うと、「ママはそういうけど、〇〇ちゃんだって、塾が大変な中、時間作って練習せなアカンねんで?」と子ども。部活の中学総体に向けて朝練や延長練習で毎日クタクタな人が、クラスメイトをかばうという変化球にビックリ! アナタ一体どうしたいのよ(^^;)?

でも、ハッとした。我が子のピンチで頭がいっぱいになったエゴ親の私と違い、人としての真っ当さを感じたから。第2七年期から第3七年期に移行中の中学生は、こんなにも正義感が強いのでありました。

成長段階的には、第2七年期(7~14歳)は、友だちとの関わりの中で、いろんな感情を経験し、豊かな心を育てる時期。第3七年期(14~21歳)は、自分が世界の一員であることを理解し、どのように関わるかを探していく時期。ただいま14歳。ちょうど、その中間の年齢。そろそろ第3七年期に入ってきたようです。

クラスの中で自分に期待されている役割を果たそうとすること。ピンチの中で同じ立場のクラスメイトに気持ち寄せること。そういう心や頭の領域と、実際に身体が出来る事や「自分を知る」との兼ね合いで、どう決着をつけていくのか。気になるところです。

身の丈を越えるリクエストって、これからも何度も出て来るはず。今回は結果的にどうするにしろ、その過程から、何か今後に効く学びを得られるよう、しばらく慎重に見守っていようと思います。

あ~~~~~~!! もしかして、私がエゴイストなことに気付くためとか、全体最適のためには自己犠牲じゃなくて説得力が必要だとか学ぶために、子どもがこんな目に合っているのかもよ?? 
だとしたら、誠に申し訳ない!

【後日談】
1週間経っても決まらない2人に、音楽の先生が「今、何を弾いてるの?」と聞いてくださり、「発表会でエリーゼ弾きました(←小学生レベル)」「ショパンのエチュード(←音大生でも苦労するような曲)です」という会話があったようです。

その場で答えは出さなかったらしいんだけど、後で「自分がやらなきゃ」と思ったクラスメイトが、「1番と2番と同じ伴奏にして、音符をちょっと減らして弾きます」と難しい方を弾くことを名乗り出てくれたそうです。

2人の言動が美しすぎて、心が洗われます。
よし。未来、託した!!

隠れたファインプレイの先生に敬意と感謝を表しつつ。


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