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【コラム】どうすれば伝わるのかな?

シュタイナーの勉強をしていると「うわっ、そういうことか~!」って感動すること、ありますよね。人間についても、宇宙についても、あらゆることについて。もちろんシュタイナーに限りませんが。

そんな時「聞いて聞いて~、シュタイナーがこう言ってるけど、ホントにそうだよね~!!」なんて、人にも言いたくなります。

でも、シュタイナーの話は、世界観が広すぎるのと言葉が独特なのもあって、なかなか伝えにくいものです。自分が感動した事を、めいっぱいかみ砕いて伝えたつもりなのに、そして相手もわかろうとして聞いてくれたのに、「???」という顔をされて空振りする、というトホホ経験をした方も多いのではないでしょうか。

「こんなスゴい話、なんで伝わらないんだろう??」。空振りしすぎた挙句、自由とか人間とかの話はシュタイナー用語の通じる人としかしない、なんて傾向にもなってきました。「どうやったら伝わるんだろう。もっと普通に話したいのにな~」と思いつつ。そういう本質的な事は、本来、誰にでも当てはまる事だから、誰とでもわかり合えるはずなのに。

で、学び始めて14年の今。空振りの数だけ大人になり(?)、最初の頃とは伝え方が変わってきました。

読んだ言葉をそのまま伝えるのではなくて、それと重なる自分の体験を話したり、もっと言えば、あえて話さなくても「身についていることなら態度に出ているだろう」と思ったり。普段の会話をしている時、あの難しい言い回しで伝えるなんて、そりゃ無理ってもんです!

たとえば「第3七年期ってこういう時期なんだって~」というよりは、「最近子どもがこういう感じでさ。自立の時期やなぁ~って思うわ」というような言い方。「シュタイナー学校って手仕事を大事にするんだって」というよりは、自分が日常的に美しいものを作ることを楽しむ、とか。「フォルメンは自我を整えるんだって~」という言い方ではなくて、実際に毎朝フォルメン描いてみての自分の変化を味わう、とか。

とは言え、自己満足のための学びではない。シュタイナーって、自分を知り周りと一緒に幸せになるために、ホントにいろんなヒントをくれるから。でも誰彼構わずしゃべるのも違うし、「理解してから話そう」と思ったら、いつまで経っても何も話せないし…。ホントに難しいです。

これまでの数多くの空振りと、ほんの少しのヒットを比べてみてわかること。空振りの時は、何かを読んで感動し、言葉の上で納得したことを伝えた時。ヒットの時は、一回自分の身体の中を通って納得したことを、実感込めて自分の言葉で話す時。本の抽象的な言葉に、これまでの自分のいろんな体験を重ねてみた時に、本の言葉がやっと命を得るんですね。人と話す時は、本の言葉じゃなくて、自分の経験を話せばいい!

最近、シュタイナー系実践者の講演録を貸してくれた人から言われた言葉。「シュタイナーの講演録を全部読んだ人なんか世の中にいないんだから、自分の実感がこもってる事を、自信もってしゃべったらいい」。

まさにコレ! 当たりまえ過ぎてスルーしそうだけど、名言だわ~!!

ちゃんと人に伝わるように、本の言葉について自分の経験も含めて理路整然と話せる人がうらやましい。だけど私は私で、今までどおり、たどたどしくしゃべろう。あるいは黙っていよう。

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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