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【大人】え、大学生に子育ての相談??|22年6月|大学生の宮澤秀斗さん

プロの話を聞こう、という「中学生のハローワーク」。最終回は、職業人ではなく子どもたちと年齢の近いお兄さん、大学生の宮澤秀斗さんです。

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留学やサッカーに挑戦し、将来の可能性がキラキラ光る大学生の宮澤さん。「予定があるから途中で失礼します」と言っておられた参加者のお一人が、次の予定をキャンセルするほどに、引き込まれるお話が続きました。

両親はあなたをどう育てたんですか?

こんな魅力的な青年を見ると、子を持つ親としては「どう育てたらこうなるの?」「自分の子育てにも生かせるヒントを」と思い、まずはこの質問から。「両親はあなたをどんな風に育てたんですか?」

宮澤さん:とりあえず、姉や自分がやりたいと言ったことは全部肯定してくれました。姉がダンスすると言ったり、自分がサッカーをすると言ったりしたら、そりゃ不安もあったと思うけど「それが本人の幸せなら」と考えてくれて、その分こっちも覚悟してやりきろうと思えたんです。

「勉強しろ」とは言われなかったそうです。目の前のことをやりきって、それだけで終わらず、どんどんその先へと進んでいくのが頼もしい。「ボクの場合はサッカーをやりきったから、自分を前向きにする力がついたのかもしれません」。

留学経験を生かして

次に留学についての話題。留学もピンキリだと思うけれど、3回も留学したという宮澤さんにとって、留学経験で学んだことや、今にどう影響しているのかを聞かせてください。

宮澤さん:最初に行ったのはニュージーランド。自分で行先を決めたというより募集してたから、という感じで行先が決まりました。そこではみんな、5時には家に帰って庭でBBQを楽しんでいるような生活をしていて「働くために生きてるの? 生きるために働いてるの?」と聞かれて「日本みたいに働くのは、当たり前じゃなかったんだ」と気づきました。2か国目のフィリピンでも、日本の常識は、世界の常識とは違うんだ、という思いを強くしたので、3か国目には、あえて黒人もカナダも南米系も混ざった多国籍文化のカナダを選びました。

留学の生かし方ですか? 身をもっていろんな文化を体験する中で、「日本すごい!」と思われるのが嬉しかったから、就職先を決める時に「日本らしい製品を作り、世界に発信できるメーカー」という基準で選んでいきました。日本に誇りを持って、海外にその良さを発信できる会社。そんな会社で働きたいな、と思って。

「もっとみんなビッグマウスになればいいのに」

どんな事でも前向きに挑戦して叶えてきたエピソードが続き、聞いているだけで元気になり、励まされます。彼のことをもっと知りたくて、そして何を聞いても大丈夫って思える程に頼もしくて、今思えばイジワルな質問も出てきました。「あえて恥ずかしがらずに夢を語ることにしているんですか?」。裏返せば、大人は夢を語るのがハズカシイってことなんだけど。

宮澤さん:日本ではビッグマウスの人は少ないけど、絶対言う方がいいですよ。「挑戦したいです」って発信しておけば、自分一人で頑張るより、いろんな関連情報も集まるし、人も紹介してもらえるし。シャイにならない方がトクだと思います。言って、自分が努力していけば、恥ずかしいなんて思うことないと思います。「言霊」って絶対あるから、日本人ももっとみんな、やりたいことを言えばいいのに。

挫折したことはありますか?

ああ眩しい。自分に自信があるから、そんなにキラキラ夢を語れるんだろうな。そしてまた遠慮のない質問が。「ところで挫折したことってありますか?」。うん、確かに聞いてみたい。挫折したってキラキラできるって思いたいから。

宮澤さん:そりゃありますよ! 子どもの頃からずっとサッカーを頑張ってきたんですが、実は高3の時、スタメンから外されてエースを張れなくなったんです。自分としては、すごく辛くて苦しかった。ただ、てっぺんまで行けなくても、ちょっと下には居場所があったんです。チャレンジも大切だけど、自分の居場所、立ち位置も大事だと思う。上だけを見続けるとしんどいし自信を無くすかもしれないけど、客観的に自分を見て自分を生かせる場所を作っていけば、同じことをしていても楽しめると思う。

自信と努力と自分の立ち位置の好循環

エースを張れない自分をどうするのか。やっても無駄だからサッカーを辞める方がいいのか。自分を生かす方法を、いろんな方向から探る中で見つけた立ち位置のひとつが、サッカーのコーチとしてのポジション。20~30人の子どもを3年間、本気で指導して、全国大会3位の成績を収めた。子どもはもちろん、自分の自信にもつながっている。

留学すると決めてからの英語にしても、誰よりも残って勉強した。努力した分、成長が早いと周りに認められるようになり、自信につながった。そんな風に「宣言→努力→立ち位置を作る→自信になる→また次の宣言…」という好循環を自分で作ってきた。

だから今だって、あれこれやりたいことが山積みだ。「英語しゃべれます。韓国語もちょっとなら、と言いたいがために(笑)」韓国語を勉強したり、たとえば自転車で日本一周をしたいな、なんてことも思う。それらに共通する思いは「しんどいことを何かやってみたい」「リスクを負いたい」という挑戦への熱意。自分を甘やかすことに興味はない。
「自信を持つ」というのは、そういうことの積み重ねなんだね。

ウチの子、どうしたらやる気出ますか?

自信を持つこと。自己肯定感を持つこと。そして挑戦すること。同じ大学4年間(留学したから5年間)をこんなにたくさんの経験で充実させている宮澤さんのお話を聞いているうちに、やっぱり自分たちの子どもが気になってくる。「ウチの子、あんまりやる気がないんですけど、どうしたら頑張れるでしょうか?」。質問した人も「大学生に何を聞いてるんだ?」って思わず笑いながらだったけど、それだけ頼もしいんだよね。そして、期待通りピシッと即答。

宮澤さん:本人がやる気になるのを待つことじゃないでしょうか。
ボクは中学の時クラスでオール3だったのに、スポーツで有名な高校に入ってちょっと勉強したら一番になれたんです。「やったら出来る」と思えて、自分のやりたいことがあったら挑戦できます。
みなさんも子育ての中で大事にされてると思いますが、自己肯定感は挑戦へのキーワードです。スポーツでの進学に親は不安もあったと思いますが、ボクの選択を尊重してくれたことに感謝しています。
…って、子育てなんか語っちゃって、すみません(^^;)。まだ22歳なのに。でも今の時点で言えることはそんな感じです。

こちらこそ、そんなことを聞いてしまってすみません。

お話しの内容ももちろんですが、やりたいことに向かって努力する楽しさを全身で体現している宮澤さんに接して「こんな若者がいるなら!」と未来への希望を感じました。その行動力と前向きなパワーに影響されて「大人も負けずに挑戦しよう」って思えたのは、すごい事!
素敵な時間をありがとうございました。


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