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娘から教わった「推し、燃ゆ」の世界

「おしもゆ買ってきちゃった!」
「おしもゆ???」

高校生の娘がピンク色の本を見せてくれた。

「うん、今年の芥川賞なんだ。すごい読みたくって。」

受験勉強しなきゃいけないこの時期に、小説読むのかぁ・・・。
そんな親心を見て見ぬふりをして、娘は2時間くらいで一気に読んでしまった。

「推し、燃ゆ」とは、もうすっかり有名になっている今年の芥川賞だそう。
そんなこと、これっぽっちも知らなかった私は、なんのことやらさっぱり知らなかったけど、まぁ、芥川賞を読みたい思いは受験生として健全だなぁと思っていた。

ところが。
娘が本を読んで、病んでしまったのだ。

「主人公と重なりすぎて辛い。私も同じように推しを応援してたし、なんか、めっちゃ分かっちゃう・・・。」

聞くと、「おしもゆ」の主人公は高校生で、親に理解してもらえなくて、推しだけが生き甲斐という設定なんだそう。雑だけど。

そう言えば、次から次へと、推しを作ってはハマり、グッズやライブで散財し、夜な夜なツイッターをチェックしては、いいねされただ、炎上しちゃってて辛いだなんだと大騒ぎしていたこともあったっけ。

私は、彼女に自由に生きてほしいと思っていたから、そういうことも青春だって思って見逃している。
そして、そんな「推し中心」の自由な生活をしている彼女は「特殊な女子高生」だとばかり思っていた。

だけれども、どうも違うらしい。

そのことを、娘に教えてもらった。


「これ、私たちにとってはフツーだから。」

と、

「え?え?あなたのように自由な人にとってはフツーってことでしょ?」

と聞いても、

「いや、高校生にとってフツーだよ。」

どうやら、彼女の周りの友だちはみんな「おしもゆ」さんのよう。


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