AIドリルを用いる目的とその効果

最近、AIドリルなるものが学校教育の中に登場し始めています。
出始めのサービスであるので、定義もなかなか定まらないかもしれないし、呼び方も様々かもしれないですが、ここでは以下の様な機能を持つデジタルサービスのことをAIドリルと呼ぶことにしましょう。
・予め定められたコンテンツの問題を解き、それが自動採点される。
・その採点記録が自動で分析され、その分析データがこれからの学習に生かしやすいような形式で提供される。

今日現在、一番人口に膾炙されているサービスで言えば、スタディサプリやチャレンジタッチでしょうか。
メリットとしては、なんと言っても採点と分析の自動化によって、自分の知識や理解の到達度・定着度を即時的かつ客観的に可視化出来るというところでしょう。
「解く」という行為だけでそれに紐づく様々な情報を出してくれるのは指導者、学習者共にかなりの手間が省けますね。

しかし、それを有効に機能させるためには指導者と学習者が「目的」を理解・共有する必要があるでしょう。
では、目的の整理からしていく事にしましょう。
AIドリルを使う学習の目的は大きく分けて「知識の定着度UP」と「理解の到達度UP」の2つに分けられると思います。

知識の定着度UPですが、既に知られている通り、これは「五感を使う」×「反復」によって成し遂げられやすいです。
「五感を使う」は主に「手で書く(触覚)」「目で見る(視覚)」「(言って)耳で聞く(聴覚)」の3つです。もちろん、嗅覚や味覚が伴えば更に良いでしょうが、難しい場合が多いのでここでは割愛しましょう。
これに関しては、その特性上、AIドリルと親和性が高いと言えるでしょう。
従来紙で行っていたものをそのままデジタル端末上で再現することが容易で、かつ採点や分析の自動化が見込めるので学習の効率化が期待できます。

理解の到達度UPはどうでしょうか。
これに関してはある事柄について様々な側面から検討したり、類推、分類、関係性や論理など様々な思考プロセスを経て進んでいくものです。
また、そこにはしばしば試行錯誤が伴われます。間違えばなぜ違ったのか、どうすれば正しくなるのかなどの思考プロセスが不可欠です。
これに関して、AIドリルと親和性が高いかと言われれば、あまりそうではないような気がします。
現状のAIドリルはあくまでも既存のコンテンツと解答があっているかを分析してくれるものであり、同じ×でもその人の理解がどの段階にあるのか、何が足りていなくて×になっているのかまでは分析しにくいものであるからです。

まとめると、「知識の定着度UP」を目的とするならAIドリルは有効なものであるが、「理解の到達度UP」を目的とするなら現状のAIドリルではあまり有効では無さそうだということです。

導入を検討する際は、この辺りを整理できていると良さそうです。

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