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【読書メモ】『エフォートレス思考』

読書の秋、ということで、『エフォートレス思考』(グレッグ・マキューン)を読みました。

同じ作者さんの前作「エッセンシャル思考」の考え方は、私が身に付けなければならないものだと感じたので、続編である本作を期待とともに手にしました。

次のように、テーマが掲げられています。

エッセンシャル思考は、「何を」やるかを教えてくれた。エフォートレス思考は、「どのように」やるかを極める技術だ。(中略)力ずくで頑張るのではなく、いちばん楽なやり方で最優先事項に取り組むのだ。

グレッグ・マキューン『エフォートレス思考』(2021)

エフォートレス思考では、方法にかかる負担を以下に減らすかが記されていました。特に、私の胸に刺さった言葉は、

成果を出すために、もっとも簡単なやり方はなんだろう?

グレッグ・マキューン『エフォートレス思考』(2021)

ということ。

私はどうしても手段に固執してしまって、方法を変えることが苦手なのだ。問題集を買えば、1からやりたくなるし、ちょっとでも抜けがあることが怖い。

プログラミングをしてても、最初から内部の処理や挙動が気になってしまって、大局が見えない。

本当だったら、何をインプットすれば何がアウトプットされるのかさえ分かればよいのに、中の処理を気にして手が止まる…。それはまだ重要じゃないときでさえ。

日常的に、勉強しながらふっと独り言で「がんばらないと」とよくいう自分がいる。いつしか「がんばること」が目的になっていたのかもしれない。

では、成果を出すためにはどうしたらよいか。そのためのヒントとして、「今日の完了リスト」が紹介されていた。

「今日の完了」リストは、できるかもしれないリストではない。できればやりたいリストでもない。(中略)もっとも重要で、意味のあることだけをリストに入れる。リストをつくるときのコツは、完了したときにどんな気分になるかを思い浮かべることだ。

グレッグ・マキューン『エフォートレス思考』(2021)

「確かにそうだなあ」 vs 「それができたら苦労しねえ」

と、頭の中で戦いが起こってしまった。

ただただゴールに向かって最小限の力で進むのも大事。だけど、寄り道で得た知見が後々役に立つこともある、、、かもしれない。

一方で、人生において本当にやらなければならないことって、案外少ないのかもしれない、とも思う。最短距離で物事を進められたら、きっとちょっとは楽に生きられる。

でも、それでいいのかな。

私は数学が好きだ。大学で数学を専攻したし、今でも数学を勉強したいと思う。その一方で、大学時代の専門領域は、今後の仕事でも使うことはないだろうということも認識している。

どちらかというと、統計学や線形代数など、サイエンスの基盤となる領域までなんじゃないかな。実務で使うのは。

このとき、私が数学を勉強することは意味があるのだろうか…。「やりたいこと」ではある。だけど、意味があるとも言えない、もっとも重要なわけでもない。

この辺は前作『エッセンシャル思考』に絡んでくるところではあるから、また読み直したいなあ、と思うけど。


「どのようにやるか」という点において、「がんばらないと」と独り言をつぶやく危うさに気づかせてくれたのは、この本の大きな学びだった。

人生において、本当に捨てられないことは案外少ないということも、気づくことができた。

それでも、「本当に大切」とまでは言えないけれど、捨てがたい物をたくさん持っている私にとっては、読んでいて苦しいと思う場面もあった。

きっと、私の持っている課題は、精神的な断捨離ができないことなんだろう。先ほど述べた「寄り道で得た知見が後々役に立つこともある、、、かもしれない」という言葉すら、モノを捨てられない人の「いつか役に立つかも」と同じ思考だ。

どんな方法をもってしても、そもそも時間は有限だ。無限の興味を満たすことはできない。『エッセンシャル思考』には

何かに「イエス」と言うことは、その他すべてに「ノー」と 言うことなのだ。

グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』(2014)


と書かれている。きっと、私はまだエフォートレス思考を身に付ける基盤ができていない。エッセンシャルな部分を見抜き、行動に移す力が足りてないのかもしれない。

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