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スタンダードの論点(カルロフ邸殺人事件)

2024年も月1ペース目標で論点シリーズ書いていく所存のオーヴァンですよろしくお願いします!

カルロフ邸殺人事件(MKM)、2/7(JST)にMTGアリーナ実装!
此度の殺人事件の現場を検証して論点をまとめ、環境解明の手がかりとなる新カードをチェックするのが本記事です。最近スタンダードのイベントが無かったり、新フォーマット「タイムレス」の中毒性が高かったりで、あんまりスタンダードに触れていないという方は案外多いのではないでしょうか?これから動くスタンダード環境に潜む謎を一緒に暴いていきましょう!

メタゲームの整理

魂の洞窟でカウンターへの耐性を獲得し、長く王座に君臨したドメインランプ→それを狙った速度勝負の赤単とライフ無視の毒性アグロ→リソース勝負のラクドスゴルガリエスパーの黒系ミッドレンジ→ドメインでメタが一周。
アゾリウス兵士ボロス召集などの白系アグロは横並びの構え
スライムロームメンターなどの墓地リソース活用デッキもあり。ラクドスがギックスの残虐を採用していることからも墓地対策は欲しい。

引き続き白と黒が環境の中心で、一時期より増えたものの相変わらず緑が少なめ。白は横展開主体、黒を含むデッキはもれなく大洞窟のコウモリが採用されています。

こちらは前回の記事、筆者はコウモリに気付けなかったようですね…。
魂の洞窟とコウモリの存在により伝統的なコントロールデッキが空席なものの、多数のデッキが存在します。

そこへ投入されるMKMの新カードを確認するわけですが、まずは重要参考人に尋問していきましょう。

そんなこと言わずに教えて下さいよぉ!

論点① パワー2以下のボーナス活用

これはMKMで白と黒に与えられた特性で、特にこの若造は多くのクリーチャーと相互作用することで注目を集めていますね。白を含むデッキが環境に多く、強力な誘発型能力を持つパワー2以下のクリーチャーも豊富なため、使う方は勿論使われる方も考え得る組み合わせは予め把握しておいたほうがいいでしょう。

毒性アグロなら

誘発するとヤバい順に左並べ

まずパワー3以上に毒性クリーチャーがブロックされなくなる他に、
敬慕される腐敗僧を対象に取ると毒が2つ。デルニーに除去を打っても毒が2つ。腐敗僧2枚とデルニーから青行進X=3で人が死ぬ。
別館の歩哨着地で2枚除去、這い回る合唱者が死亡するとダニが2体。
殺戮の歌い手でパワーが3以上に上がったクリーチャーはデルニーのボーナスが貰えなくなるため、ここがデルニーと入れ替わりそう。
なお毒性は誘発型能力ではないため、戦闘で乗る毒カウンターは倍にならない。またスクレルヴのタップ(起動型能力)も対象外で、追加の毒性1や複数色の呪禁も得られない。それを差し引いても噛み合いが強そうなので、ファイレクシアンでもないこの人間・スカウトを採用してみたいと思ってしまいます。

ボロス系なら

順番は適当。探してたら2段になってしまった

3マナのデルニーが入るか微妙なデッキの割に恩恵を受けるカードが意外と多い印象。毅然たる援軍でトークンが2体出る動きや、イモデ―ンが全体+2になるのが強そうで、血滾りの福音者はその両方ができる。2ターン目インティ→デルニーと動くとインティにカウンターを2つ置いて4/4トランプルで殴れるが、パワーが3を超えてしまう点に注意したい。

エスパー系なら

マルコム高橋は最近あんまり見ない

ラフィーンの謀議が2度誘発するのは強力。前述のインティ同様、ラフィーンも自身に謀議を使う場合はパワーが3を超えないように注意したい。マルコムは合唱カウンター2個乗ってルーティング2回、デルニーの前に出す2マナとしては一番相性がいいかもしれない。タイミングを選ぶがコウモリが2枚抜いていく動きはドメインが悶絶しそう。分派の説教者はエスパーよりラクドスやゴルガリで採用されているが、コイツも誘発が2回になるとどちらのモードでも相当面倒臭いことになる。
いずれも婚礼の発表白徳目でパワー3になりやすい点には注意したい。なおヨーグモスの法務官ギックスの追加ドロー効果はデルニーの恩恵を受けない。ラタドラビックが生み出すトークンはパワー2なので、シェオルドレッド猗旺など通常デルニーが誘発を増やせない伝説のクリーチャーとの組み合わせが生み出せる。これは流石に玩具が過ぎるか?

その他では僧院の導師からトークンが2体出るようになり、トークンの果敢も2回誘発するようになる。果敢でパワーが3を超えるとボーナスはなくなるが、クリーチャーの母数が多いデッキではないのでそもそも不向き。
アゾリウス兵士では毅然たる援軍や月皇の古参兵人狐のボディガードぐらいで、肝心なハービンがパワー3だったり微風の歩哨で2枚戻すことになったりでこちらも不向き。

この場に居合わせたくない…

パワー2以下のボーナスカードをもう1枚。こちらもバント毒性やボロス召集でいい仕事してくれそう。各ターン1回なので、瞬速持ちと組み合わせたいが、瞬速に寄せるならエラントとジアーダという選択肢もある。
このカードとトカシアの歓待との比較は非常に興味深い。あちらはアゾリウス兵士やボロス果敢のサイドに取られた実績がある。トップが見れるのはインティの攻撃時に捨てるか捨てないかの判断材料として役立ちそうだし、2マナと3マナでは雲泥の差がありそうなので、使用感を試したいカード。

論点② 横並びへの対応

ボロス召集

その強さは折り紙付き

MKM実装時のアプデが終わって最初にやることはコレを4枚作ることです。ミスティカルアーカイヴ版と比べてこちらはアンコモンなのでお財布に優しく、2月のランク報酬でスタイルが手に入るので絶対に作り損しません。
新環境初期はゲイン付き3点火力が飛び交うことが予想されるため、タフネス3と4がボーダーラインになることは覚えておきましょう。ゴルガリの名もなき都市の歩哨や分派の説教者といった3マナタフ4を落としたいなら邪悪を打ち砕く、ディミーアのスクーナー船を見るなら削剥が優先か?

暑苦しい

戦導者の号令は詰めの性能が強化されたボロスらしい新たなアンセム。全体除去で流された後、コイツのせいで残り数点削り切られた!というのは頻発するかもしれない。オレリア本人も凄いこと書いているが流石に5マナは重い。正義の幽霊アグルス・コスで容疑をかけて突破する方がまだ現実的な気がする。

横並び戦略のアンチカード

親和(PW)はあまりゲームに影響し無さそうだが、稲妻のらせんに耐えるタフネス4と飛行警戒で守りを固めてくれそう。これ1枚で横並び戦略を否定できる強さは決して無いが、牽制としては十分でサイド要員として活躍しそう。ライフロスよりゲインの方が嬉しかったけど仕方ない。

論点③ 黒系デッキの新戦力

新しい除去の選択肢からチェックしよう。

さよなら、、、さよなら、、、

取り除きのリメイクですが、使いやすくなった虚空裂きという見方ですね。ラフィーンを2マナで落とせる(切り崩し同様)3マナ以下のPWを使うデッキはほとんどないので、クリーチャーに撃つことになる。となると苦痛ある選定と競合することになるわけですが、選定は苔森の戦慄騎士デニックなどに有効な他、メンターにリアニされない利点が挙げられます。護法やカウンターへの耐性とどちらが重要か比較して選択しましょう。定番の喉首狙い苦々しい勝利など2マナの黒除去は本当に幅が広い。

続いて個別のデッキの新戦力を。

ラクドス

血生臭い

死体鑑定士地質鑑定士ときて今度は血痕鑑定だそうです。アドが確定するまでかなり悠長な印象だが、捨てたカルノサウルスを回収しうるラクドスなら良い仕事が出来るかも。
そして混沌の守護者ラクドスは物凄い事書いてあるが6マナフィニッシャ―は競合が滅茶苦茶多い。置物すら攻略できる可能性があるのは流石にどうなの?

こんな給仕は嫌だ

そしてラクドスが手にした「容疑」ですが、コイツ…羅利骨牌太陽降下じゃないと倒せなくないですか?ライフゲイン型のエスパーがガムドロップ梅澤俊郎の生涯みたいなニッチカードは専用デッキ以外では流石に採用しづらい。押されてる局面では滅茶苦茶弱そうですが、クリーチャー並べ合った盤面では割とドローさせて貰えそうな気がします。この手のカードが強かった試しがないのと、分派の説教者でええやんって意見で気づかれなさそうなカードですが果たして・・・?

ゴルガリ

泥臭い

採録されたトロフィーこと暗殺者の戦利品。クレンコの轟音砕きもいるので3色デッキは基本土地を1枚分増やしておくのが良さそう。
緊急の検死は「証拠収集」のコストを開花の亀で用意できるのが強い。マナコスト分なので重いカードは取りづらいのでドメインには効かないでしょう。逆に最も刺さるのはエスパーあたりで、白徳目や婚礼のトークンは追加コスト無しで破壊したり、蝙蝠スクーナー婚礼放浪皇まとめて消せる可能性がある。証拠収集のコストとして黒徳目やニッサを当てれば平気で3:1ぐらい交換取りそうなので、やはり墓地対策の需要は今より上がりそうですね。

ディミーア

生まれる時代を間違えたか?

重めのコントロールを組みたいと思わせる此方の2枚が追加されたが、残念ながら攪乱アグロ主体のディミーア戦略に合っていない。
古くは嘘か真か、最近ではサウロンの交換条件を彷彿させる思考への侵入は、本家と異なり自分で束を分けて相手が選ぶため、3枚ドローはさせてもらえなさそう。しかしその場合3/3飛行が貰えるので、5/3/3飛行2枚ドロー相当…って強いのかな?思い切って4-1や5-0に分けて巨大なフライヤーを用意するにしても、相手に決定権があるのが正直怪しい。
死人に口無しはオマケつき全体除去、基本土地も抜けるらしいがあまり強い選択ではなさそう。というより太陽降下が強すぎる。

イラストにフブルスプが隠れているらしい

面白い動きが期待できるカード。相手の攻撃を凌いだり、こちらのフルパンを通したりといった使い方は勿論のこと、こちらのクリーチャーを守る使い方があるのが珍しい。X=0で放浪皇から守れるのと、ディミーアカラーならスクーナー船に乗り込んで除去を回避することもできる。雑に置いて良し、バント毒性が腐敗僧と一緒に使って良し、と今エキスパンションで私が最も評価しているカードです!

ちなみにディミーアと言えばこちらのツイート、皆さんは何を戻しましたか?
ランクマッチの感覚で、私は引けなかったら負けでいいやと土地(スロウ)を戻しましたが、リスト非公開の大会だったとしたら日和ってしまいそうです。

論点④ 事件エンチャント

ストーリーの主要人物である虐殺少女と効果もフレーバーも相性良すぎなのに、あまりにヤバすぎて公式に消された事件エンチャントがあるのですが…他の事件カードを見ておきましょう。

ドメイン

密室のトリックは土地7枚で解けるらしい

バトルの時と同じ考え方ですが、強い事件エンチャントは
①置いただけでも強いか?
②解明が容易か?
③解明したら勝てるか?
の3点で評価できると思います。この密室の温室の事件は①ただ置いただけではほとんど何もしませんが②ドメインにとっては解決が容易な事件。そして③解明完了後にアトラクサが捲れれば大体勝てそう。置いただけでは土地が伸びず、ゼンディカーへの侵攻のほうが有効な盤面が多そうなので、採用するなら1枚程度にしたいカード。
またドメインには太陽降下に加えて集団失踪(これまた事件性の高い名前…)が採用されるが、MKMの白い全除去枠である証人隠滅が加わった。多色のクリーチャーは環境の各デッキに1~2種程度で、即座にドローされるぐらいなら確実に手掛かり渡すほうがマシだとするなら集団失踪と併用・入れ替えを検討しよう。

貴殿は招待客リストに入っておりません、アトラクサ様

コウモリ含めドメインの天使とか止める。アトラクサのEtBを止めるためのティシャーナも止まる。なお力線の束縛は誘発する。魂の洞窟を手に入れたドメインに対し、打ち消す以外の妨害作が増えているが、いずれもクリーチャーのため全除去が当たる。とはいえサイドボード候補の筆頭になりうるカード。

論点⑤ セカンドドロー

何をジェイスみたいなことを…?

エスパーレジェンズ

戦闘中のドローはノーカウントなのでマルコムやラフィーンの謀議、ギックスの誘発ではカウンターを置けない。とすると現在使われているカードで有効なのはローナのルーティングぐらいになる。あまり見かけないが大変成家アンクタスがいると、ローナのタップに反応し追加でルーティングが出来る。そして前述したデルニーはアンクタスの誘発を増やすことができ、トルーズ鴉の男がそれをサポートしつつローナをアンタップする。また映像記憶にキャントリップがあるので、2ターン目にこれを置くより前にクリーチャーを出しておきたい。その役をスクレルヴが担えることからも、このカードを最も強く使えるのはエスパーレジェンズでしょう。

他にはスライムロームがスローグルクを育てるのに使えるぐらいか。豆の木との組み合わせも面白そうだが、バントコントロールのようなデッキに限られてくる気がする。

そういえばケイヤはまだ灯がついてるんですね

ケイヤを上手く使うには、トークンとコピー先の両方を用意できるかどうかが重要。エスパーもトークン生成が容易かつコピー先も豊富な選択肢がある。墓地をケンリス王家の葬送で追放する手もある。トークンは手掛かりや宝物でもクリーチャーのコピーにできるが、ターン終了時までと期間限定なところに注意。

論点⑥ 変装と偽装

プロトブリンク

試作持ちのクリーチャーを撚り合わせる双子(出来事)や精霊界との接触(魂力)、人狐のボディガードなどで一旦追放し、完成品として場に出す白青(+黒)のデッキが存在する(というか、存在した)。この戦略は変装クリーチャーを裏返す方法としても使え、偽装した場合はパーマネントなら同様に場に戻せる。追放領域を経由するので変異誘発こそしないものの、相性が良いので変装持ちの有力なクリーチャーを確認しておこう。

都合良く色も合ってる

オレリアの立証者は先制攻撃の代わりに護法が付いた悪斬の系譜。マナさえあれば変異誘発も強力なので自力で裏返したいがブリンクしても十分強力なので、どのタイミングで裏返すか見極めが重要。鋼の熾天使と噛み合いがあまり良くないのが気になるところ。変異誘発で追放したクリーチャーは解放されずに手札へ戻るため、自軍を追放する際は要注意。
それに対し不撓の門番の変異誘発は自軍ブリンクなので、試作クリーチャーを完成させる追加手段になれる。本体サイズが小ぶりなので素出しはしたくないが、ブリンク要因としてはマナがかかりすぎる。

もう少し暖かくなったら脱いでいい

普通に使って3/3/2護法2。折角のブリンクデッキなら肉体喰らいを連れてきてブリンクする上振れが狙ってみたいところ。コイツを採用するならクリーチャーとブリンクの枚数バランスが途端に難しくなりそうなのでデッキビルダーの腕の分かれ目と言えるかも。

論点⑦ その他のアーキタイプ

ピクニック荒らしを採用したグルールがランクマッチで増えてきている印象を受けるものの、MKMで強化できるカードがあまり無いので今後どうなるか?といったところ。

お前もしかして…?

無効皮だったやつじゃないか!?
今回の緑4/4/4速攻枠は特殊な除去耐性を持っていて、墓地が乏しい序盤戦や下水王などに墓地を攻められていると実質呪禁のように機能する。
内緒だけど、グルールよりもゴルガリの方がハマりそう…

牛のPWと名前が似すぎ!

地震土竜アンズラグは目を引くカードであり、無鉄砲でトランプルを付与すると凄そうだが除去耐性ゼロは心許ない。グルールが生き残るには白足して稲妻のらせん入れたり、とかになるのかどうなるのか全く分からん。脱走とか入ってくるのか?

タイムレスのジャンドがラガバン出しそう

あとがき

ちょっと長くなってしまいましたが(6800字)まだまだ見落としているカードやシナジーは多いと思います。
最後まで読んで下さった皆様ありがとうございます!
いつも読んで応援して下さる方々、本当に励みになります!
共に新環境の目撃者になりましょう!
凶悪デッキの目撃情報やタレコミなど、コメントや感想はTwitter@steamgunnerovanまでお待ちしています!

次回はエクスプローラーの論点(カルロフ邸殺人事件)でお会いしましょう!

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出典

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