一般事務正社員は100%運と断言する

私は長らく派遣社員だった。
経緯は下記らへんにあるので興味ある方はどうぞ

派遣社員の末路は輝かしいか奈落の底か|金色 (note.com)
大黒柱になれなかった私|金色 (note.com)

で、だ。
結論から言うと私は無事大手の正社員になった。
業務内容はほぼ派遣社員の頃のままで。
同じ仕事をしているのに年収は100万以上上がった。
この待遇について、私自身は恩恵を受けた側なのでもちろんありがたく思っているのだが、正直会社に対しては馬鹿じゃないの?と思っている。

遡ること5年ほど前。
私は派遣の3年満期を迎えた。
すでに法律は改正されており、私をそのまま派遣社員として雇い続けることは出来ない状態になったのだが、当時の上司が新しい派遣社員を入れて数か月わちゃわちゃした状態になることを好ましく思わなかったことと、社内全体に今まで頑張ってくれた人は一律昇格して在籍してもらいましょうという風潮があったため、上手く大手の直雇用契約社員という座を手に入れることが出来たのだ。

ただし!契約社員になって初めて判明したのは派遣と変わらないということ。
今まで派遣元所属だったのが派遣先所属となり有給手当や福利厚生や保険などが全て派遣先の負担となるため、派遣先にとっては固定費増となる。
そのため会社によっては直雇用になったら年収が下がるということもあるらしい。
幸い我が社は年収が下がるということはなかった。
なかったが上がらなかったのだ。
例えば派遣社員の頃の月収が20万だったとするとボーナスがないので年収は240万になる。
対して契約社員は2か月のボーナスがあるので、月収が変わらなければ年収は40万増となるのだが、うちの会社はボーナス込みで派遣社員時代の年収を保証しますよという仕組みで月収は17万ほどに下がってしまった。
そして保険だが、派遣会社の健康保険は加入者が比較的若い為負担比率が少ないのに対し、我が社はほとんどが新卒から雇われている高齢者で構成されているため加入者の年齢が高く負担比率が高い。
結果的に月収が派遣時代より何万円も安くなってしまうのだ。
確かに夏と冬にボーナスは出るが、毎月振り込まれる月収が高卒の新入社員より低い状態で誰がモチベを保ち続けられるだろうか。
昇給も雀の涙なので、派遣社員と同じ月収20万に到達するころにはもう定年を迎えてしまうのではなかろうかと思われるペースだった。

幸いその頃子供はもう大学生で手がかからなくなっていたこともあり、私は真剣に転職、もしくは副業を考え始めた。
40代後半で事務職の正社員はさすがに難しいだろうし、そもそも正社員で事務職を雇うような会社は零細しかないため、今と手取りは変わらない。
ここは一念発起して事務職以外の「未経験歓迎」を目指すことにしよう。
そして、ネットで調べると意外とあることに気付く。
今まで事務職でしか探していなかったので知らなかっただけなのだ。
その話を喫煙室で何気なく仲のいい他部署の上司に話した。
「意外とあるんですよね。もう事務職に拘る必要もなくなったし、今のままだと派遣と何も変わらないので、仕事人生最後のチャンスに賭けてみようかと思ってます」

実際なぜ正社員になったのか理由は聞いていないため知らないのだが、私はまず間違いなくこの時の会話が引き金になったと思っている。
その会話からわりとすぐにあったその期の評価、私は最高ランクだった。
今まで事務員は絶対に取れないと言われていた最高ランク。
どの会社もそうなのかは知らないが、予め部署内で取れる人数は決まっており、そのランクはまず間違いなく現場に携わる人につけられるため、事務員(しかも正社員ですらない契約社員)にはまわってこないという噂であり事実であった最高ランク。
ただし、私の場合色んな改革はすでに派遣社員時代に終えてしまっていたため、その期に何か特別すごいことをしたわけではない。
最高ランクだとちょっぴりボーナスに色がつくので嬉しくはあったが、なぜに最高ランクがついたのだろうという疑問は残ったままだった。

その後数か月で上司から正社員の打診が来た。
ここで最高ランクがついた理由がハッキリした。
派遣社員から正社員に昇格する資格の一つに直近の評価が最高ランクであるというのがあったのだ。
なるほど、それで最高ランク取れたのか。
いずれにせよ、今から未知の部門で再就職を目指すよりこの会社で正社員になった方がよっぽどいい。
提示された年収も予想以上に高かった。大手の正社員事務員ってこんなに給料もらっているのか。
即答で正社員の話を受け試験も受け(おそらくこの試験は形だけで受けた人は全員受かる。落ちた人見たことない)私はめでたく大手の正社員となった。

そう。私が予算まで勝ち取って業務を効率化し、ペーパーレスを推し進めたのは全て派遣社員時代の話。契約社員になってからはもう改革のネタも見つからないため、毎日同じ仕事を同じ精度でこなしていただけだ。
正社員への昇格は100%実力ではなく運であったと断言できる。
「今のまま」を維持したい上司と転職をほのめかした私。
これはもう正社員にしないととどまってくれないと上司は思い、上層部に打診しGO判断が下って私が正社員になったのだろう。

さらに私が納得できなかったことに、同僚の正社員昇格がある。
私自身は派遣社員時代とはいえ、熱心に改革を打ち出し実行しある程度「出来る人」をアピールしていた。
対して同僚は有給は最大限使い、時間内に終わらない仕事は断固拒否し、与えられたことを与えられたとおりにこなしていただけだ。
それでも同僚も私と同じように派遣から契約へ、そして正社員に昇格した。
これが運でなくて一体なんだというのであろうか。
ここは声高に抗議してみたのだが会社の回答は以下の通り。
「同じ仕事で差をつけるとよろしくないから」
ということは、同一業務をしている中に誰か一人熱心な人がいればその人に追随してみんな昇格出来るということになってしまうではないか。
まったくもって納得できないがこれが会社の意向なのでどうしようもない。

もう一度結論。
大手一般事務正社員は実力ではなく運である。

ま、でもボーナスめちゃくちゃ上がったのでゲーミングPC買ったり、リモートワークをごり押しして自宅で仕事したり、割と好き勝手に出来ているのは全て正社員のおかげなので私的には一応勝ち組といって言いだろう。
そして前期は実力で最高ランクが取れた。
もうこれ以上の昇格はないので昇格のための獲得ということもないだろうし、初めて実力を認めてもらえた瞬間ともいえる。
毎日のように「同僚と同じ評価なのは納得がいかない」と訴え続けた私の粘り勝ちかな。

で、私が会社だったら。
数か月のわちゃわちゃを乗り越えれば固定費は低いまま現状を維持出来る。
派遣社員は派遣社員のまま3年たったら人員を入れ替える。
一人当たり100万以上(おそらくもっともっと)差が出る改悪なんて絶対しない。
上司、ありがとね。あなたの判断が目先のことしか考えていなかったから、私、助かったよ。

私の経験や考え方が少しでもお役に立てたなら嬉しいです(◍•ᴗ•◍)