見出し画像

夫婦で乗り越えてきた大きな壁

どんな仲良し夫婦にも乗り越えてきた壁が一つや二つはあると思う。

我が家も結構沢山の壁を乗り越えて来た。

その一つが夫のDV。


私はそれまで殴られたことが一度もなかった。


小学校の担任に熱血タイプがいて叩かれたことはある。

あまりにも皆が掃除をサボるので担任が言った。

「明日掃除中に一言でも声を発したらビンタだぞ」

机を戻す時ふと間違えて戻していることに気づいた。

「○ちゃんの机ここじゃないよね?」

「だね。△ちゃんと入れ替わっちゃったね」

男子がすかさず言った。

「お前ら2人ビンター!」

私たち二人は担任からビンタされた。

サボって話し込んでいたわけでもないのに何だか腑に落ちなかったが先生は最初から一言でも声を発したらビンタと宣言していたわけだししょうがないと納得した。

帰宅してからよくよく考えると男子も「お前ら2人ビンター!」って言った。

本当は3人ビンタだったんじゃないの?

もやもやが結構長く続いたのでこのエピソードを覚えていたわけだが私の記憶にある限り叩かれたのはこの一度きり。

私が転校してクラスからいなくなり持ち上がりだった担任はしばらくの間近況を綴った手紙をくれた。

修学旅行で皆が全然寝ないので連帯責任で全員廊下に立たせてビンタしました。皆すごく痛かったと思うけれど先生も手がすごーく痛かったです。

あの熱血先生に受け持ってもらった同級生は全員ビンタされた経験があるということだ。

嫌ってた人いるのかな。

私は熱血先生が大好きだった。

先生は新卒で私たちを担任してくれたので当時23歳くらい。

担任してすぐ私の父親が亡くなったので先生の方も私のことがかなり印象づいたのだと思う。

私を元気づけるため休日にサイクリングに誘ってくれたりした。

仲いい子誘って一緒に行こうって先生と友達と自転車に乗って田んぼのあぜ道をどこまでも走った。

休み時間には給食台に飛び乗って正座して当時流行っていたバラエティ番組の真似をしたりした。

今は暴力は何が何でもいけないという世間の風潮だけれど私はそうは思わない。

子供の心に傷がつかない愛の鞭だって本当は存在するのにね。


夫は私と喧嘩になった時口で勝てないと分かるとすぐ殴りかかって来た。

ビックリして最初の数回は何も抵抗出来なかった。

お気に入りだったアロハシャツが破れた時私の中で何かが切れた。

次に殴りかかられたら応戦してやる!

本当に応戦した。

殴る蹴るの喧嘩なんてしたことなかったので全然当たらなかったけれど夫はすっごくビックリして殴るのをやめた。

暴力で応戦してくる彼女が初めてだったらしい。

それから夫は私に暴力をふるうのをやめた。

子供じゃあるまいし夫婦で取っ組み合いの喧嘩してても仕方ないと思ったのかもしれない。

しばらくは私に殴りかからず物に当たっていた。

部屋の中の物がどんどん壊れていった。

お気に入りの壊れた物たちを私は泣きながら片付けた。

ある日またしょんぼりしながら片付けていた時ふと思った。

なんで私片付けてるの?

次に夫が部屋をぐちゃぐちゃに荒らした時私は冷静に言った。

「自分で片付けてよね」

夫はビックリしていた。

私が本当に片付けなかったので冷静になってから渋々片付けていた。

私は自分が壊した物を自分で片付ける夫を冷ややかに見つめ続けた。

派手に荒らしたので片付けるのがすごく大変だったのだと思う。

それから夫は派手に荒らすのをやめた。


その後は喧嘩して前なら殴ったり物にあたったりしていた展開になった時夫は黙り込んだ。

黙り込んだ夫を見ながら思った。

私のこの言い負かしてしまう言葉は暴力じゃないの?

夫は身体的暴力のDV加害者だったが私もまた精神的暴力のDV加害者だった。

色んな事で私たちは喧嘩ばかりしていたけれど私も言葉に気を付けるようになった。

言ってもしょうがないことで文句を言ったり言ったら変わることでも言葉を選んで夫が傷つかないように。

少しずつ私たちの喧嘩の回数は減っていきお互いの地雷が分かるようになって穏やかな日々が過ごせるようになった。


世の中のDVの半分くらいはお互いが加害者なのではないかと私は思う。

夫ばかり妻ばかり責めるのではなく自身にも問題があったと気づいた時夫婦は大きな壁を乗り越えられる。


私の経験や考え方が少しでもお役に立てたなら嬉しいです(◍•ᴗ•◍)