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信越五岳110K

2022.9.18信越五岳110K
細かな目標設定をせずに臨んだこともあり、目標設定に対する達成度の考察は控えめに。次回に向けて、読み返した時にレースの雰囲気を思い出せるようなレポ形式で。

1.結果
タイム 15:28:58 (sub15目標)
総合17位

(通過記録)

2.レースまでのトレーニング
週1回のポイント練、平日1回のミドルロング走(18-20kmの速めjog、90分程度)を中心に、週末は基本家の周りでフラットな2H走。以前は心拍150弱あたりをキープするよう意識していたが、そうすると4'00/km近くになり、満足な時間を続けられないので、130くらいを狙って走った。ペースで見ると4'30-45/kmくらいか。
山に行けたら峠走か走れるトレイルを30km程度。まとまったロングランは2週間前に1度だけ(50km/7H)。週間90-100km程度で大きく追い込むことはせず。おかげで痛む場所は無く、脚の調子はけっこう良かった。

(3w前の下落は胃腸炎)

3.意識してレースに臨んだこと
①エイド短く
→1分以内目標。結果、サポートのいる笹ヶ峰と戸隠は10以内で他は2-3分以内でアウト。まあまあ良くできた。

②良いフォームと的確な接地位置
→レース後の脚のダメージが少なかったことからも上手くできたかなと。後半上げられたのもそのおかげと思う。今年は本当に走り方の最適化が進んできている。まだまだなんだけど、確かな手応えがある。これを結果につなげられたら良かったなあ。引き続き頑張ります。

4.レース展開
ここからはレポ形式で。

①START(0km)からバンフ(19km) 2:05:30
「入りは抑えて」を合言葉に登りは全歩き。の割には、目に見える位置にコーチ(村田諒選手)がいたり、しばらく並走させてもらった高木聖也選手(8位入賞おめでとうございます!)にマラソンタイム聞いたら2時間半切りだったりと、想定より速いグループに入ったかなと不安になった。もう少し抑えて良かったか。
この区間のゲレンデで、最後まで前後する中野賢一選手とお話させてもらった。ロードシューズで軽やかに走ってるのが印象的(NB Fuel Cell Revel V2)。普段自分も愛用してるシューズだったので「このシューズめちゃ走りやすいすよね」と盛り上がった。にしてもあのシューズで後半のトレイル走れたのすごい。聞いたら今年のUTMFもこれでイケたよ〜とのこと。(しかも素晴らしい成績!)

ゲレンデのハイタッチゾーン

斑尾山の登りは厳しくはなく、動いていればあっという間に終わる。山頂手前でパスされたランナーがNIKEのVFNext%を履いてて驚愕!「信越はほぼ走れると聞いたのでこれで来ました」と。めちゃくちゃ登りにくそうだったけど実際どうなのかな。何より1回でダメになりそうでもったいない。そういや妻沼さんもITJでVF履いてたなあとか思い出しながら山頂を通り過ぎる。バンフに着いたら水補給してバナナ食べてエイドアウト。ここは1分以内達成。

②バンフ(19km)から黒姫(49km)5:49:02
バンフ通過タイムが予定より早く、一旦少し落とすことにした。気温が上がる時間帯で、ここまで走りやすくて水分補給をしっかりしなかったせいか、眠気っぽい症状出てきていた。水と塩熱、ジェルを補給して、脇の水路で帽子とネックチューブを濡らして身体を冷やしながら進む。女性1位に抜かれ、その後もガンガン抜かれるけど気にせず先を譲って、この区間で30位まで落ちる。
熊坂までの林道の下りでの減速はもったいなかったが、良い感じのペースで走るランナーにパスされて(エンゼルス大谷選手に似てた)、熊坂までくっついて引いてもらった。トレイル抜けてロードに出た時の日差しが辛くて、この後の関川が不安になる。でもオータニサンのおかげでリズムを取り戻し、熊坂でお礼を言って、1-2分でエイドアウトして関川へ。関川は走り切る目標だったので淡々と走る。関川中盤には中野賢一選手に追いつき、良いペースだったので、また引いてもらった。(自分でのペースメイク苦手)

関川終盤

関川は辛そうな選手が多かった印象。地味な斜度が続くけど走れるので前半の頑張りどころか。宴会隊エイドではちゃんぷ。練時代にご一緒した藤田さんや荒川さん(念願のはじめまして!)と会えて「顔色良さそうだね」と元気をもらう。ちゃんぷ。さんにも会えてリラックス、ロードの登りを走ってトレイルへ。このロードにあった私設かぶり水が冷たくて最高だった。

いってきま〜す photo by ちゃんぷ。さん

③黒姫(49km)から笹ヶ峰(60km)7:42:06
黒姫ではシャリ玉と味噌汁を補給。UTMF優勝の西村さん(密かにファン)がいて「走ってきたとは思えん爽やかさやな〜」とか言ってもらえて嬉しかった。「10位まで30分。頑張って!」と西村さんに背中を押されて5分でエイドアウト。一緒に写真撮ってもらえば良かったなあと後悔。
ゲレンデを登り林道へ。この辺から周りにマイル選手が増えて、そのペースにつられてしまった。走るはずの林道は「周りも歩いてるし」と歩く時間が多くなった。トレランってやっぱり「ランニング」なんだよな。強さも大事なんだけどやっぱり走らないと。次はこの区間走りきれるようトレーニングします。噂の吊橋は1人も並ばずに通り抜け、笑っちゃう急登を越えて笹ヶ峰へ。

④笹ヶ峰(60km)から大橋林道
(76km)10:52:30
エイドでは胃のムカつきがあるのにドロップに入れておいたカステラを無理に詰め込んだのが失敗。「オエッ」となったけど噛まずにそのまま水で流し込んだ。せっかくのサポートエイドだからと他にもバクバク飲み込む。普段からそんなに食べないのに。

このカステラがとどめをさした

痩せてゆるくなってきたウエストベルトからザックに詰め替えて、9分でエイドアウト。(5分以内にしたい)
すぐ前に110kmの選手が2人見える。足取りは重そうで、しばらく後ろについて走り、斜度が上がって落ちてきたタイミングで一気に2人をパス。そのまましばらく上げて、2人を離してからペースを落とそうと思っていたところ、胃の不快感から吐いてしまった。直前の胃腸炎の影響で胃がもたれやすくなっていたので想像はしていたけど、やっぱり来たか。胃の締め付け感と痛みに加えて「オエッ」が止まらず、日陰で横になる。胃がひっくり返りそうだった。横になると自分の心が折れたことを自覚する。シューズを脱いでタイマーかけて顔に帽子を被せた。胃は早々に落ち着いてOKサイン出してくれたんだけど、折れた心はなかなかくっつかなくて立ち上がれない。
「top10入りたかった」
「15時間切りたかった」
「みんなにどう言い訳しよう」
ネガティブな自分が生み出す負の波が際限なく押し寄せてくる。「目標達成できないくらいならここでやめちゃえば順位はつかず失敗はウヤムヤになるぞ」と、何とも情けない考えまでが頭をよぎる。

思えば、奥久慈でたまたま良い結果を出して以降、「次は総合入賞だね」とか「信越は入賞狙い?」とか言われることが増えた。そういう中で勝手に自分が作り上げた「周りの期待」に疲弊してた。自分にだけ聞こえる周りの声がプレッシャーになって何のために走ってるのかブレてた。そんな自分の気持ちを立て直したくて書いた前回のnoteの言葉を思い返す。

そうだった。この感覚が大事なんだった。
タイムとか順位とか、そういうことのために走るんじゃなくて、自分が「生涯の趣味にしたい」と思ったトレイルランニングって、そんなものじゃないんだった。
憧れていた信越のトレイルはもう最高で、あと50kmもそれを楽しめる。快晴の3連休を、自分の大好きなことにだけ使わせてもらってる。これ以上、何か必要なことって他にあるのか?マジでお前はド阿呆だ!

(謎に関西弁で復活)

なんとか気持ちを立て直すことができてリスタート。50位くらいまで落ちていた。45分も寝たから脚が固まってしまい、温まるまで歩いた。でも全然走れなかった。歩き出すことと走り出すことは別で、折れた心をくっつけるだけじゃなくて、補強が必要でした。
普段なら走れる良い感じの林道の登りも全歩き。次は絶対走り抜けようと悔しい気持ちで歩き切った。(そんなんばっか)下り基調になったところで、身体のリズムを取り戻して少し走り出す。
走り出したところで、石山さんに久しぶりにお会いした。お互いビックリして、めちゃくちゃ元気をもらった。「写真撮るよ!」と、大きなザックを背負って颯爽と駆け降りて見えなくなった石山さんがシングルトラックにまた現れて、写真を撮ってくれた。グータッチして別れる。別れ際の「軽いね、動けてるよ!」の声かけがすごく嬉しかった。石山さんが折れてくっついた心を補強してくれた。気持ちが身体を動かして、抜かれた選手をバンバン抜き返して、それをトリガーに順位と気持ちが上がっていく正のスパイラル。石山さん、本当に助けられました。

底打ちして上がり始めた時の好きな写真
photo by Takumi Ishiyama

⑤ 大橋林道(76km)から戸隠(88km)12:24:34
パタゴニアプロビジョンズのスープが最高に美味しかった。人工甘味料に疲れたお腹に優しく、温かいスープが五臓六腑に染み渡る感覚だった。水を補給し、2分程度でアウト。笹ヶ峰後に摂ったMAGMAのおかげか気温が下がったからか、胃の調子が改善して、気持ちは上がってきて、大橋林道からFinishまでのロングスパートが始まった。
とにかくペースを上げて走った。大橋林道から11人抜いてあっという間に27位で戸隠へ。区間順位は3位、良い走りができていた。

スパート中 Photo by Yuma Hamayoshi

⑥ 戸隠(88km)からFinish(111km)
戸隠はランボーズのサポートエイドがある。サポートメンバーから温かい味噌汁と甘酒を頂き生き返った。みんなと話して気持ちもさらに前向きに。前とのタイム差を聞き、気合を入れ
て8分でエイドアウト。サポートしていただいたメンバーには感謝しかない。ランボーズに入って良かったなと心底思った。

甘酒サイコー!

エイドアウト時点で26位。「20位まで20分差!」と言われ、いけるところまで狙ってみようと走り出す。finishまで体力が続く限りプッシュ。何が何だかとにかく声を出して身体を動かす。瑪瑙山は暗いうえにガスが出て先が見えず、パワーウォークを続けていたらあっという間に登り終えた。瑪瑙山の下りで、笹ヶ峰の直後に抜こうとした2人の選手にやっと追いついた。やっとここまで戻ってきたぞ。そのままの勢いで2人をパスして見えなくなるまで全力疾走。ライトを消して後ろを振り返り、光が見えなくなったことを確認しながら「なんでまたバチバチとレースしてるんだろう」と笑えてきた。人と競うのも楽しいんだ。
飯綱林道エイドに下る直前のパートでパタゴニアの西城さんペアをパスし、20位に浮上。戸隠→飯綱林道の区間順位は8位。

エイドではボトル1つに半分だけ水を入れて即アウト。西城さんがすぐ後ろに迫ってる。1秒を削り出すトップ選手になったような心地で、勝負所と決めていた林道へ進む。全部振り絞る気持ちで、普段のポイント練でのインターバルみたいなスタートダッシュで走り出す。
下り基調と聞いていたはずの林道が登りが多かったり、スイッチバックがあったりしたけど、とにかく走り続けた。110kの選手を数人パスし、最後に中野賢一選手をパスした。
キャタピラーが通ったような作業林道で足ひねったり、いきなり現れるトレイルで転倒したり、本当にキツかった。マイルの選手を抜くときはみんな「速いね〜!」と声をかけてくれて、代わり「リスペクト!」と返事して通り抜けた(謎)

いつになったらゴールに着くんだ?
この開けた景色さっきもあったよね?
全然下り基調じゃない…

いきなりT字路が現れて「もうゴールですよ」と誘導ボランティアの方の声。拍子抜けして、下の方に明るいゲートが見えた。嬉しいような寂しいような。
名前が呼ばれてカウベルの音につられて、ちょっとガッツポーズしながら最後の坂を下る。

初めてのロングレースのゴールは、安堵と悔しさとストロングフィニッシュの爽快感で満ち満ちていた。

泣けるかと思ったけと全然だった

待っていてくれた友達に「17位おめでとう!」と言われて順位を知る。戸隠から9人抜いて最後は出し切れた。飯綱林道からFinishの区間順位は4位。キツかったけど気持ち良かった。

応援、サポート、声かけ、レース中前後に関わってくださったみなさん、石川さんをはじめ、ボランティアや大会運営に尽力されたみなさん、やめないで最後まで走ってくれた自分に感謝。信越五岳、絶対また走りたいし、それに向けてまた頑張っていきたい。

下山さんが撮ってくれたお気に入り

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