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環境を意識したブランドとしての始まり

自社ブランド「STATIC」は、2020年に立ち上がった環境への配慮を意識したアウトドアブランドです。しかし、一見高い意識をもっていましたが、実際には様々な点で不勉強なままスタートしたブランドでもありました。

■環境への配慮とは、どういうことなのか?
2020年のブランド立ち上げ当初は、リサイクル素材、天然素材や、さらにoeco-tex, bluesignなどの認証をとった工場で生産された生地を使うことで、エコブランドとして成立すると考えていました。至って単純なスタートです。
そのため、アウトドア製品=機能的である生地サンプルを、国内外に関わらず多くのメーカーから取り寄せて、幅広い選択肢から選んでいこうとしていました。結果、実際に採用した生地は、国内メーカー、海外メーカーが半分半分。国内メーカーの環境配慮生地も、海外の方が需要があり、海外メーカーだと思いながら、問い合わせたら国内メーカーだったという事もありましたが。
ブランド立ち上げ初年の生地採用実績としては
・ウール:アメリカのメーカー(動物福祉などの基準をクリアしたウール繊維を使った生地)
・フリース:イタリアのメーカー(植物由来の海水生分解性繊維)
・ウインドシェル:国内のメーカー(プレコンシューマーリサイクルナイロン。CO2排出量が少ない。)
・軽量フリース:国内のメーカー(生地工場での環境配慮)
といった感じです。

※そのうち、海外から生地を仕入れるのは輸送費など無駄だし、我々のような小規模な会社だと発注量が少ないため航空機輸送になることも、二酸化炭素排出の点から問題かなと、少しづつ考えるようになっていきます。

■裁断ゴミ
生地選びが落ち着くと、次のステップである生産現場が気になります。
縫製工場の現場を訪問することは、工場との関係づくりとしても良いですが、現場がどういう環境なのかを知るうえで重要だと考えていました。特に技能実習生として海外から多くの縫い子さんが働いていることは聞いていましたし、その方々が不満を抱えるように現場になっていないか問うことが目下の関心事でした。

STATICの製品を縫う海外からの研修生

そして、工場に訪問するわけですが、最もショッキングで問題意識に直結したのは、生地を裁断する際の裁断ゴミの多さでした。これは、生地のエコ性云々と同時に、とても重要でキチンとアプローチすべき課題だというのが一瞬で分かりました。正直言うと、本当に考えもしていなかった課題です。生地さえ選んでキチンとデザインすれば、エコブランドとして成立すると安易に考えていたわけですから。

ウールTシャツの生地裁断工場にて

通常、生地の70%ほどは服になりますが、30%は裁断後に不要箇所として廃棄=多くの場合は焼却処分となります。100万円かけて買った生地も30万円分を燃やしているような感覚です。これは、モノづくり上、ある程度許容すべきことなのかもしれませんが、しかし、その量たるや。。。STATICで出す裁断ゴミの量と比較して、大手ブランドさんはどれだけの量を排出しているのか、、、色々頭をめぐります。それでも、ラッキーでした。何故って、生産現場が国内にあるので、そのゴミを目で見て確認し、実際に手を打つ(どう処理するのかは置いておいて)ことが出来る距離・環境にあるわけですから。これが遠い海外の場合は、再生施設があるかもわかりませんし、裁断ゴミを輸入することもコスト面から非現実的なのですね。
そして、この裁断ゴミの量を減らす事、また裁断ゴミを再利用することが、ブランドのミッションとして加わったのです。まさしくブランド立ち上げの1年目の事でした。

「環境を意識」「環境配慮」という漠然とした言葉の先に、実際に何をどう配慮しているのかを説明できなくてはなりません。ここを明確にしていく。生地選定から、衣類を着終わるまでの長いスパンを分解して、その過程毎の課題を洗い出し、解決策を模索し、実践していく。これが、本当にブランドのミッションに気付いた時なのですね。とても大きくはありますが、丸4年経とうとしているSTATICの変わらぬ重要なミッションとなっていますし、未だに模索している課題でもあります。

その中でも、すぐ出来ること、出来ないこと、将来的に解決したいことなど、分類される課題は多く積み上がっています。牛歩かもしれませんが正直に一つ一つ解決していければよいな、小さなブランドだから小回りが利いてやれることもあるのではないか。そんな想いで進めています。