#16「スポーツテックで、すべての人の可能性が生きる未来へ」株式会社ユーフォリア 代表取締役Co-CEO 橋口 寛さん

「Startup Now」では、資金調達を実施したばかりの起業家をお招きし、創業に賭ける想い、事業の現状や未来の話まで、アレコレお伺いするインタビューをお届けしています。

第16回目は、株式会社ユーフォリア 代表取締役Co-CEO 橋口 寛さんをゲストにお招きしました。
スポーツテックのトップランナーであるユーフォリアさんは、スポーツ選手のコンディション管理、ケガ予防のためのコンディションデータプラットフォーム「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」を提供されているスタートアップです。
2022年5月にシリーズCラウンドで7億円を、2023年11月には、キリンホールディングスなど複数のCVCより、資金調達を実施されました。 戦略コンサルティング出自の橋口さんがスポーツテックに魅了された理由やその可能性をアレコレ伺いました。


創業前のキャリア(メルセデスベンツ→MBA→アクセンチュア戦略コンサルティング)


ー稲荷田
橋口さんにご登場いただくことになった経緯を、中山さんからお願いいたします。

ー中山
ありがとうございます。前回のWorld Matchaさんに引き続きまして、今回も知人である坪田さんにレコメンドいただいたのがきっかけなのですが、今回は坪田さんと私の出会いをもう少しご説明させていただければと思います。
橋口さんもご卒業されているダートマス大学のビジネススクールであるTuckという学校があり、私は別に学生ではなかったのですが、家族として帯同していました。Tuckはアメリカの東海岸の割と郊外にある学校でして、家族で留学している人は家族寮のような集落に住んでいる人が多いです。我が家と坪田さんファミリーはすごく家が近くて、私の家の窓から坪田さんの家が見えるような距離感で、1年ぐらい一緒に過ごさせてもらった関係です。毎週のように家族で遊んだり、ご飯を食べるなど、すごく仲良くさせてもらいました。
Tuckはほんとにコミュニティーの絆が強い学校だと思っています。卒業後もアラムナイ同士で交流がありますし、なんなら学生同士のアラムナイだけではなく、私のような学生ではなくて、関係ないパートナーもこのTuckのアラムナイコミュニティーに混ぜてもらえるような素敵な学校です。ちょっと話が長くなりましたが、そんな素敵なTuckのコミュニティの力によって、今回は橋口さんの出演が実現したという経緯になっております。

ー橋口
Tuckは小さい学校ですからね。本当に小さなコミュニティなので、Tuckの関係者だと言うと、もう1も2もなく駆けつけるのがみんなの習わしですごいです。ありがとうございます。

ー稲荷田
そんな濃い濃いコミュニティに属されている橋口さんなので、きっとそのご経歴だったり、思いも並々ならぬものがあるのではないかと思っています。すごく楽しみにしております。橋口さんについて聞いていきたいと思っております。
1番最初、オーソドックスにまず、ご経歴なども含めまして、簡単な自己紹介からお願いできますでしょうか。

ー橋口
私の最初のキャリアは外資系の車の会社、メルセデス・ベンツに入りまして、まあまあ長く、8年半ぐらい働いていました。メルセデスもそうなのですが、自動車会社は大抵ディーラーネットワークを持っていて、そのディーラーネットワークはメーカー資本ではなく、地場の資本で経営されています。メルセデスの場合は250社ぐらいそれがあったのですが、そうすると経営があまり良くない状況が一定の割合でどうしても出てきてしまうので、そういったところの経営改善のサポートとか、企業再生をする、買収して、常駐して、再生をして、新しい資本にまた受け渡すみたいな、そういう仕事をやっていました。そういう中で、企業再生のプロになりたいと思いました。
ただ、自分は自動車ディーラーの経営のことしかわからないので、それ以外にも一般的なマネジメントのスキルを得るためにどういうところがあるのかと思って調べていた時に、MBAというのがあるらしいと。
その中でもダートマス大学はかなりジェネラルマネージメント、色々なところを幅広く学べるという、そういう特徴があるらしいということを知って留学したのが30過ぎぐらいです。妻にも会社を一緒に辞めてもらって、子供を連れて2年間、先ほど中山さんが言われていた素晴らしい環境で夢のような生活をして帰ってきたという感じですね。
その後はアクセンチュアで戦略コンサルティンググループに入り、その後独立しようと思っていました。

ブティックファームとして立ち上がったユーフォリア

その時父親が突然倒れるということがあり、計画よりもちょっと早めて独立をしました。元々計画では6年だったのですが、何年もそこで修行していると、いつ自分も人生終わるかわからないなと思い、2年で独立をしました。その後は元々の計画通り、企業再生の仕事、プライベートエクイティファンドのアドバイザーとかやりながら、製造業の再生とかをやっていました。それが一旦一通り区切りがついて、ユーフォリア創業に至るという感じです。
創業したのはもう2008年なので、かなり前です。スタートアップとしては社歴が長い方だと思います。
スポーツテックというところにすぐにたどり着くわけではなく、いわゆる企業再生だとかコンサルティングとかやりながら、ブティックファームとして、共同代表の宮田真と一緒に2人でいろいろなことをやりながら、自分たちの事業を探索しました。試しては失敗して、試しては失敗してみて、そういう期間がしばらくあって、その後、今の事業にたどり着いたという感じです。

最初の顧客がラグビー日本代表!?


ー稲荷田
どうやって今の事業にたどり着いたのでしょうか。スポーツとの関係性とか含めて教えてください。

ー橋口
実は最初の顧客・ユーザーさんはラグビー日本代表チームです。
今も中心であるプロダクトOne Tap Sportsは、アスリート、スポーツをやる人たちの怪我を予防したり、コンディションを良くしたり、大事な大会でいいパフォーマンスを出すためのサポートをするツール・ソフトウェアです。この原型となるものを作れませんかという打診をいただいたのが、ラグビー日本代表チームでした。
今でこそ代表チームは強く、日本で2019年ワールドカップがあった時にはベスト8に入ったりしていますが、我々が出会った頃は30年ぐらいの歴史の中で1勝しかしたことがなく、1勝21敗2引き分けのような成績でした。
そこで、今もヘッドコーチであるエディー・ジョーンズさんを招へいして、圧倒的な強化を進めようとしていました。2019年に日本にワールドカップを連れてくることはもう決まっていたので、そこに向けて2012年から強化を進めたい、練習の強度、量、合宿の日数も4倍、5倍になる、そういうタイミングでした。そうなると怪我のリスクは当然上がってしまうことが分かっていたので、怪我のリスクが上がった時に適切なタイミングで適切なアラートを出せるような、そういう可視化アラートツールを作りたいという、ご相談いただいたのが我々の事業のスタートです。
スポーツテックの道に進もうと思って引き受けたわけではなく、スポーツが好きだったのと、元々私がラグビー日本代表の大ファンだったので、少しでも関われるなら嬉しいなという感じで引き受けたというのがスタートです。

プロチームで必要性が強まるスポーツテック


ー稲荷田
お客さんのニーズから開発だったと思うのですが、そこから事業として展開していくぞというのは、またもう一段階違うアクセルがあると思うのですが、何がきっかけだったのですか。

ー橋口
事業として展開するぞという風になるまでに3年から4年ぐらい実はかかっているのですが、その間は他の仕事でお金を稼いで、それをこのOne Tap Sportsの開発に注ぎ込むことをしていました。
今から振り返ると非常に我々が幸運だったのですが、ラグビー日本代表チームは、スポーツテクノロジー、様々なテクノロジーの活用、スポーツサイエンスに関しての知見がTop of Topでした。そういう方々とある種マンツーマンのように、毎週毎週フィードバックをいただき、もっとこうしないとダメだよみたいなことを厳しくも温かく色々言っていただき、改善、スプリント開発し、というのを毎週毎週回していました。そうすると、3年ぐらい経った時に、まあまあいいものになってきたました。これはラグビーだけに閉じるのはもったいないなという風に思いましたし、日本代表チームだけが恩恵を受けるべきものではなくて、それこそ大学生であれ、高校生であれ、中学生であれ、子供であれ、スポーツをやる人の怪我を予防するとか、健全な発達を支援するとか、そういったところにもっと幅広く価値が提供できるはずだという思いに至って、そちらにもコミットしようという風に思ったのが、この2015年とか16年とか、そのタイミングです。

ー中山
1番最初は、ラグビーの日本代表選手に声をかけて、日本代表チームに声をかけてもらったということなのですが、スポーツの選手のコンディションのデジタル化のような概念というのが1番進んでいるというのは、グローバルで見てもラグビーが中心なのですか。

ー橋口
今どこが進んでいるかというと、あまり変わらない状況になっているだろうとは思います。例えば、メジャーリーグの野球、NFLフットボール、サッカーなど、それぞれちょっと特徴は違うのですが、データデジタルイゼーションはもうものすごい勢いで進んでいるし、変わらないかなという風に思います。が、少なくとも当時においては、ラグビーはトップランナーでした。特にスポーツサイエンスに基づく体のハイパフォーマンスを出すという領域においてはです。分析、戦術分析などもあるのですが、それ以上に体をどのように強化するか、フィットネスをどう上げるか、怪我をいかに防ぐかのようなところはものすごく進んでいるなと思います。

ー中山
つまり、そのコンディションをデジタルに管理することで、1番期待できるのというのは、まず怪我の防止。そして、1番いいコンディションの人が誰なのか、どういう風に組み合わせたらいいのかというのをチームの監督として把握するというのが、One Tap Sportsを使う1番の目的なのですかね。

ー橋口
そうですね。我々人間ってみんな生体なのですが、どうしても揺らぎがあって、波があります。その中でいい時と悪い時は必ずあると思うのですが、スポーツはいつも重要な試合というわけではなく、練習の時もあり、そういう時はあえて調子を落としたりします。
それからぐっと追い込んで、その後テーパリングといって休みを入れ、ハイパフォーマンスが出せるようにピーク状態で持っていくピーキングをします。テーパリングしたり、ピーキングに加え、気分けをするという、ビデオダイゼーションという概念があるのですが、ここはあえて落とす、ここは上げるみたいな、そういう気分けをして、その人なりの波を可視化することもあります。また、チーム全体として、全体としてのピーキングをするための全体の波を可視化するとか、そういったものがOne Tap Sportsを使う1つの目的になります。1番のピーキングの阻害要因というのは怪我で、場合よってはその人の選手人生を奪ってしまったりとか、場合によって人生を奪うことすらあるので、とにかく怪我を防ぐというのが1番重要なゴールということになります。

ー中山
実際にこのワンタップスポーツを入れることで怪我の率が下がったとか、そういうデータってあったりするのですか。

ー橋口
いい質問ですね。これはよく聞かれるのですが、なかなかapple to appleで比較ができないところがあります。例えば、怪我回避のためのアラートを出せるという状況になると、むしろ追い込んだりします。もう少し追い込めますということが分かったり。ラグビー日本代表も当時そうでしたけど、強度が増えましたという状況の中で、怪我発生率の比較が難しいというのはあります。学術的に正しい回答で言うと、それはなんとも言えないということなのですが、感覚的によくユーザーの方から言っていただくのは、やっぱり怪我は減りましたと。同じ強度を与えていれば怪我は減らせるという、そういう感覚をルーチンを回している中で得ることができましたというフィードバックを受けることはあります。

70-80以上のスポーツ競技で活用中


ー中山
ありがとうございます。1番最初はラグビーの日本代表チームから使ってもらったということなのですが、今はどんなチーム、どんな企業に利用されているのでしょうか。

ー橋口
そうですね。その後、今現状でOne Tap Sports全体で1700チームぐらいで使っていただいていて、競技はもうほぼ全てと言っていいかなと思います。70以上の競技です。最近ちょっとカウントしていないのですが、7,80もスポーツの種類ってあるのだって思われると思うのですが、マイナースポーツも含めてほぼすべてです。日本代表チームだけ捉えても26競技の日本代表チームに使っていただいていて、プロ野球、Jリーグ、Bリーグというバスケットボールリーグ、ラグビーだとリーグワン、こういったトップスポーツだと6、7割ぐらいのチームが使っていただいている感じです。
一方で、全ユーザーチームのうち、やっぱり半分ぐらいが部活動です。大学、高校、中学校とかの部活動レベルの人たちが使っていただいている形です。スポーツにおいてはそんな感じです。

Sgrum(スグラム)M&Aの狙い


ー中山
最初はトッププロから使ってもらったけれども、今はすごい裾野が広がっているってことなのですかね。

ー橋口
そうですね。裾野はだいぶ広がっています。一方で、本当はスポーツに最初に触れる機会は小学校入ったばかり、場合によっては未就学児、幼稚園児、保育園児の子がスポーツをちょこちょこ楽しんでるって可愛い絵柄があると思うのですが、そういったところからスポーツに最初は触れます。スポーツが好きになったら小学校高学年まで、中学校までやって、中学校でもやって、高校でもやっていて、ずっと移行していきますよね。
我々はやっぱりその最初にスポーツに触れる時から、ちゃんとしたサービスを提供したいという思いがあります。そのための子供向けのプロダクトをどうやって開発するかということの検討をしていたのですが、1から作っていくと、時間がかかります。
なので、実は去年、M&Aを1つしまして、スグラムという元々あった会社です。小学生、中学生、未就学児を対象として、10万人以上の方に使っていただいているサービスを展開しています。コンディショニングとかというよりも、どちらかというと、チームのマネージメント、チームの運営、コミュニケーション、保険に入る、お金を集金する、そういったところを中心にしたサービスなのですが、お声掛けをして一緒になりました。2つまとめてスグラムとOne Tap Sportsで、小さい子供から大人までトップレベルまで一貫してカバーできる体制が去年整ったという状況です。

データマネジメント事業とウェルネス事業


ー中山
今、事業としては、コンディショニングをやるサービス事業のOne Tap Sportsと、子供向けの運営マネージメントのスグラムと。他にどんな事業やられているのでしょうか。

ー橋口
今言っていただいた2つ、One Tap Sportsとスグラム、これがスポーツ領域の事業で、我々の中でスポーツディビジョンと呼んでいます。これが2つの翼のうちの1つなのですが、もう1つの翼が、法人ディビジョンというものがあり、企業さん向けのサービスやっています。こちらがさらに2つ分かれていて、データマネジメント事業といって、臨床試験を企業さん向けに提供するものです。臨床試験って言うとちょっと堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、やっぱり例えばサプリメントとかプロテインだとか、これを飲むと体にとってこういう効果がありますみたいなものです。そういうものを実際に、競技の適したレベルの選手たちを集め、摂取したらどういった効果があるのかを正しく検証するような、サービスをやっています。スポーツチームとネットワークがあるということ、スポーツ科学、栄養学など様々な領域においてのバックグラウンドを持った研究者が弊社の中におり、デリバリーしています。
もう1個が法人向けの、ウェルネス事業です。一般的な働く人たちを対象とした事業です。働く人たちは、トップアスリートみたいにフィジカルで何かハイパフォーマンスをある時瞬発的に出さなきゃいけないということはないのですが、ずっと毎日のように働いていくという中で、場合によってはドライバーさんとか、体を使って運転をしたり、物を運んだりという人たちの中にはその痛みを抱えている人もいますし、あるいは我々みたいなホワイトカラーであっても、ずっと同じ姿勢にいる中で、肩こりだとか腰痛だとか、あるいはちょっとメンタル的な部分も含めて、コンディションがあまり良くないみたいな、そういう波がある人って一定程度いると思うのですよね。で、そういう方に対して、スポーツのアスリート向けにしっかりその波を整えるという事業をやってることで得た知見を横展開し、より大きなマーケット、より多くの人たちに対して価値を提供しようとしています。大きく2つです。

スポーツ産業を拡張するファイナンス戦略と事業戦略


ー中山
なるほど、ありがとうございます。スポーツの事業と、スポーツから得られた知見を活用した法人向けの事業と、2つやられているということですね。かなり幅広い事業領域だなと拝見したのですが、今後はさらに事業の幅が広がっていくのか、深くなっていくのか、どういう構想でやられていくのかって教えてください。

ー橋口
ありがとうございます。そう、そういう意味では、深さを深めていくというフェーズにこの後入ってくると思います。元々このOne Tap Sportsを始めたあたりから、トップスポーツだけではなくて、若年のところから一貫してサポートするという体制をまず作り、その後で、スポーツだけではなく、その周辺にある領域にスポーツのある種事業を拡張していこうと思っていました。スポーツのマーケットという概念を、スポーツ産業という概念を拡張していこうという思いを持っていまして、それが一定程度形としては整ったという感じです。ただ、まだまだ深さはこれからという状況だとは思っています。
そもそもスポーツテック、実は我々以外にもいくつかあられるのですが、いわゆる上場してかなり大きくなったスポーツテックはまだないのですよね。なので、ファイナンスをやるときに、シリーズAのファイナンスの時にものすごい苦労しまして、2年ぐらいかかりました。それは先行事例がないから、スポーツテックの成功事例がどこかでてきたら検討するけど、コンプスも存在しないので、なかなか出せませんよねという判断がすごく多かったのです。
それもこれもスポーツ産業が小さいからだと我々としては思っていて、我々自身がやっぱり最初のペンギンにならなきゃいけないという思いはあります。単にスポーツ産業そのもので頑張るというだけではなくて、スポーツインダストリーを、いわゆるグレータースポーツマーケット、スポーツマーケットからグレータースポーツマーケット、スポーツインダストリーからグレータースポーツインダストリーみたいな、周辺の隣接地、つまり臨床試験だとかウェルネスというところで、マーケットを拡張していくことで、スポーツマーケットそのものの概念を広げたいという思いはあります。

ー中山
そうですね。プレスリリースを拝見していても、直近だと東京海上さんとか、キリンホールディングスさんとか、そういった事業会社との連携というのもかなりやられているなというところと、初期の段階でも、アシックスさんとかKDDIさんとか、事業会社さんとの連携というのが非常に多い資本政策というところが特徴的だなと思って拝見していました。1つは、独立系のVCは、コンプスが存在しない問題で難しいというところと、そういった事業会社とのシナジーというのが非常に見込めるというところもあったのかなと思って拝見していたのですが、これまでのこのファイナンスの戦略も教えていただけますでしょうか。

ー橋口
はい、まさに今おっしゃっていただいた通りかなと思います。シリーズAの時が、今おっしゃっていただいたKDDIさんのオープンイノベーションファンドというところと、アシックスベンチャーズさんで、その後シリーズB・Cと、先日Dがクローズしたのですけれども、いずれも中心となるのは事業会社さん、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)です。
これは我々そのものが事業を行っていく上で、スポーツマーケットの中だけではなく、色んなところに橋をかけながら事業を大きくしていこうという考えを持っていますので、それぞれの領域の中でコアなプレイヤーとして存在していらっしゃる方々と提携することによるシナジーが我々にとっても大きいですし、先方にとっても大きいはずだという、考えがありました。スタートアップの旅そのものがやっぱり大きな仲間作りだと思うのですが、投資家さんというのは重要な仲間で、仲間を作っていくという意味で、いわゆるピュア投資、純投資としてVCさんに出していただくというケースもあるのですが、それがメインというよりも、どちらかというと事業会社さんをメインとしてずっと構築はしてきたという形ではあります。

ー中山
新しい領域、スポーツテックというところで、今後のファイナンスも色々戦略としてやられるのではないかなと思っているのですが、経済的な側面もしかり、それ以外の、例えば社会的とか環境的なインパクトという面でも御社の魅力というのを伝えていくこともあり得るのではないかなと思っているのですが、そのあたり、教えていただけますでしょうか。

ー橋口
ありがとうございます。そうですね、まさにこの後、少しファイナンスとしてのフェーズも変わってくると思っています。この後は、いわゆる長期安定的な株主の方との関係性、仲間作りというところも増えてくると思います。先ほど申し上げた通り、スポーツの周辺領域にスポーツ、トップスポーツの領域から始まった知見を広げていくという、ある種の、スポーツをR&Dの苗床として、その成果を幅広い社会課題の解決につなげていくという、プロセスそのものだと思っています。具体的には、こういう今ここまでの体の変化を前提とし、こういう栄養と睡眠と運動ということを前提とすると、今後はこの方の体はこういうふうに変わっていきますということを予測し、それに対してよりよい形のレコメンデーションを提供して、より良い形の未来を作ると、ありのままの未来ではない、より良い未来を作るというのが、これがトップアスリートとかの世界でスポーツ科学でやることなのです。同じことをあらゆるセグメントの方に対して適用できると思っています。具体的には高齢者の方もそうですし、女性アスリートの健康問題はかなり大きな課題として長く存在していたのですが、我々ここの領域にもソリューションをしっかり提供しつつあると思っています。これもスポーツの選手だけに閉じるものではなく、多くの方々に対して価値が提供できると思っています。あるいは、いわゆる健康寿命もそうなのですが、医療費の莫大な増加みたいなところがありつつ、働いていただける方が減ってくるという世界観の中では、どれだけ健康に皆さんが痛みなく長く現役で働いていただけるかは非常に重要なところだと思うのですよね。この辺りについてもしっかり価値が提供できるところだなと、我々としては確信をしていますね。
そういったその社会的インパクトを与えるというそういうコンテキストで投資をしていただけるようなパートナーの方というのも非常に我々としては求めているという状況です。

スポーツチームのような組織カルチャー


ー中山
ありがとうございます。ユーフォリアさんの素敵な面を聞けたところで、採用のところも教えていただければなと思っています。
まず、ユーフォリアという会社ってどんなカルチャーなのかなというところと、今どういう人を求めているのかなというところもありましたら教えてください。

ー橋口
はい。ユーフォリアの会社のカルチャーは、一言で言うのがなかなか難しいのですが、スポーツを背景としているので、スポーツが好きな人が多くて、オフィスに来ていただくと分かるのですが、ちょっとスポーツバーみたいなオフィスになっていて、バーカウンターがあって、アメリカのMLBのメジャーリーグのスタジアムみたいな壁があって、そこにユニフォーム、お客さんのユニフォームがずらっと並んでいて、たくさん来ていただいたスタッフとか選手の方々のサインが書かれてるみたいな、そんな感じのオフィスです。
全日本選手の社員ももちろんいるのですが、みんながトップレベルでプレーしていたわけでは必ずしもないですが、スポーツが好きで、スポーツの力というものを信じているという人たちが集まっている会社だと思います。なので、非常にその価値観、バリューの中で、1つのスポーツチームのように働くということをすごく大事にしています。多様性を生かしながらスポーツチームのように働く、そういうチームだと思います。一方で、どのスポーツもそうなのですが、チームワークと言っても、局面で1対1の時に抜かれるという選手ばっかりだと絶対勝てないですよね。なんとかしてくれみたいな。そういう選手ばっかりだと勝てないので、1対1でもやっぱりプロフェッショナルとしてエキスパートが立っているってのはすごく重要だと思うので、ここも非常に大事にしています。
我々としてこう実現したい、この未来に基づいて、こういう価値観でプレーしているこの会社に対して、共感していただけるような方、価値観が合うなと思っていただけるような方を、我々としては仲間として常に探しています。ポジションはかなり多いのですが、今本当に探しているところで言うと、ソフトウェアエンジニアのところはかなり幅広く探しています。それから、データサイエンティスト、ビズデブ、コーポレートの方でも、人事とかHRの方、経営企画部門などなど、幅広く、全方位的に仲間を探しているという状況です。ぜひ興味を持っていただいたら、ぜひググっていただければと思います。

「スポーツ無しでは考えられない人生」目指すスポーツの未来


ー稲荷田
最後に、今話されなかった部分もあるかなと思いますので、ポッドキャストのリスナーさん向けのメッセージをお願いしたく、個人的には特に橋口さんにとってスポーツは何なのかとか、何がそれなこころを動かしているのかみたいなメッセージもいただきたいなと思っております。

ー橋口
まず、スポーツってなんか一言で言えないなということを改めてそのご質問聞いて思ったのですが、多面体だと思うのですよね。私にとってはやっぱりスポーツがない人生というのは、もう想像ができないぐらいの大きな存在だったのですが、子供の時から、物心ついた頃からずっと野球をやっていて、野球を見て、スポーツ全般を見て、スポーツのアスリートの活躍から力をもらいましたし、野球やってる中で失敗をたくさんするとか、自分で何か逃げ隠れできない状況を経験するとか、自分で自分の人生を引き受けるみたいな経験をするとか、あるいは自分ではない他者の痛みを自分のことのように感じるとか、他者と力を合わせて1つのことにチャレンジする中での成功と失敗を経験するとか、こういったことを早い段階から経験できるというのは、スポーツの持ってる力の1つかなと思います。
あとは、見てる中でもですね、オリンピックがあったりすると、皆さんもものすごく感動するということがあったりとか、ワールドカップもしかりですけれども、あるいは大谷翔平選手の活躍に力をもらうみたいなことがたくさんあると思うのですよね。一方で、スポーツってちょっとアビュースされてるなという感覚もあって、スポーツを擬人化すると、なんかいい時だけよしよしつって、大好き。あなた大好きって言いながら、大会が終わったらもうすっかり忘れてしまって、その例えば4年に1回の大会の間は選手たちがものすごい苦労してるみたいなことをいっぱい見ます。
なので、本当はやっぱりスポーツっていう素晴らしい価値があるのだから、その価値をしっかりいろんな人に見える形で顕在化もしたいし、ハイプ状態がドーンって上がって、そのあとドンと落ちるみたいな、そういう乱高下を繰り返すのではなくて、しっかりとエコシステムとしてスポーツにお金が回るとか、スポーツ発のソリューションがこんなにいろんな人のためになるのだということを皆さんが体験することによって、スポーツを本来の在り方でリスペクトしていただくみたいな、そういう未来を作りたいなという思いはすごくあります。なので、一言ではなかなか言えないのですが、そういう多面体で素晴らしい存在だなという風に、僕はスポーツを擬人化してしまうのですが、非常にリスペクトしています。
そういった感覚を少しでも共有していただける方がいらっしゃったらお話してみたいなと思います。

ー稲荷田
スポーツのまだ見ぬ価値、本来ある価値というのをもっともっと顕在化していって、より多くの方にリスペクトされる状態を作っていきたいということですね。メッセージが自分自身もすごく響いてきましたし、そんな方も多いのではないかなと思いますので、そんな方はぜひユーフォリアさんにも採用という面でもぜひお声がけいただくのもいいかなと思っております。

ー橋口
ありがとうございます。はい。本当にカジュアルにご連絡いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

ー稲荷田
ありがとうございます。以下に公式のホームページと採用情報のページ、橋口さんのSNSのリンクも記載しますので、ご確認いただいて、ぜひご連絡などもいただければなと思っております。


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