AI×UX: 最適化提案は、「気が抜けた時」 に最も力を発揮する?
すげーーマニアックな記事なのですが、某R社でPdMをやっている後輩と話したときに「ためになった」と感謝してもらえたので、誰かしらの役に立てることを祈ってメモ残しておきます。
※ AI/最適化などを活用してサービス企画/UXデザインなどやっている人を対象に書いていますが、ただ対象の人たちに対しても本当に価値提供できているか謎です。
※ 取り扱いテーマは先日の「AIと信頼」の記事(下記)に近いのですが、改めてちょっとしたTips的に捉えてもらえると。
よくぶち当たる課題: 最適化を活用した提案は、大抵ユーザに受け入れてもらえない
AIを活用した最適化提案・レコメンド等は大抵受け入れてもらえない、という話はいろんな人がぶち当たる壁ですよね。
以前の記事も「haichi」の話をしました。最適な人事配置案を作成し提案できるもの。実際にAIで案を作成し人事に提案してみたところ、基本的に人事はそれらを受け入れないことがわかりました。
どれだけ彼らの頭をなぞっても、結局は「異動対象社員のキャリアと真摯に向き合い、納得のいく結果を導くこと」が大事なので、AIに一気に任せる、というわけには行きませんでした。
捉えるべきユーザ像: プロセスごとの意思決定の違いを考慮する
これまで全プロセスを自力で遂行していたことを踏まえると、いきなりそれらをAIに委ねろというのは流石に厳しいですよね。
ただ、ちょっとだけユーザの意思決定プロセスを分解してみると違う世界が見えてきます。例えば、飲食店におけるシフトの決定に、AIを活用するとしましょう。
まずはその際の意思決定の仕方を考えてみます。例えば、下記のような意思決定の違いがありそうです。
優先度の高い人: 「この日にこの人は絶対入っていなければ」
優先度の低い人: 「必要な人数に達すればよい」
AIの提案: 「張り詰めた後」を捉える
さて、上記のように意思決定のパターンを捉えたときに、AIはどのような役割であるべきでしょうか。
優先度高: 「この日にこの人は絶対入っていなければ」
→ 基本的には自分自身で決めたい。AIに委ねたくない。が、忘れてしまった際などには教えてほしい。
優先度低: 「必要な人数に達していればよい」
→ 誰を選んでも同じであるため、大量の選択肢の中から何かしら後押しとなる情報や選定軸が欲しい(例「全員がまんべんなく働けるように、など)
つまり優先度の高いものから徐々に終わらせていくという前提に立つと、AIの主戦場はユーザが「優先対応をし終えた」と思った後。抜け漏れがあったり、意思決定のサポートが欲しかったり。
何かを判断する多くの場合で、ユーザの中に「自分で決めたいゾーン(≒頭を使うモード)」と、「一定どうでもいいゾーン(≒やや気が抜けるモード)」があると思っており。AIが活躍するのは「一定どうでもいいゾーン」なのかなと思っています。
AIならではの体験設計
(ここからは更にマニアックな話)
例えばユーザが最優先事項に対応している際に「AIからの提案」をしまくることは、ユーザの「無視」を助長します。(仮にものすごく良いことを言っていても、です。適当な意見ばっかり言っている人の話は聞く気にならないですよね。)
本来は最優先事項への対応が終わったタイミングで「抜け漏れ」に気付ける/提案できるような設計が必要ですが、そのタイミングを図ることは難しい。
ではどうするか?
(またも出てきますが)「AIの信頼獲得」というテーマを、時間軸も含めて考えるとうまくいきます(行く気がしています)。
例えば、初期(優先度高への対応時)に「後押し」をしながら信頼を獲得していくなどが考えられます。
おまけ: 2008年くらいからそんな話はあった
ウェブユーザビリティ上の鉄則で、「訴求をする際、メインの導線にコミュニケーションを入れてもほぼ意味がない。最も効果があるのは、ユーザが目的を達成した後」という物があった。
今回の話はそれに似ていますね。「どう対応すべきか」まで見えている内容については、他の情報をシャットダウンしてでもそれらを真っ先に終わらせようとしてしまいます。それらが終わった後初めて提供者側からの「提案」が目につくようになる。
現状ではAIの提案も(良いものであろうとそうでなかろうと)ユーザにとっては、あくまで「提供者目線での提供物」の可能性がありそうだなと。気をつけます。
しょうもないことも含めこんなことよくつぶやいているので、もしよければフォローしてってください。
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