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BOOKCAFEそらふね『土と内臓』

気分は移動式図書館の館長さん。いや、そらふね船長です。

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変態植物オタク、大好きな姉姉に「これオモシロソウじゃない?」と勧めてもらった本『土と内臓』!読み終わったから、私的おもしろポイントを(最後に占星術ネタも絡めて)ご紹介します。

すぐそこにあるのにほとんど誰も気付かない世界

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原題は「自然の隠れている半分~いのちと健康のルーツ微生物~」

二人の著者は地質学者のデイビッドと、生物学者のアン、ご夫婦です。地質学と生物学、すぐそこに広がっているはずなのに、全く「見えて」いなかった微生物の世界。その驚くべき世界の発見と、自然へのまなざし、健康へのまなざしの変化をシェアしてくれるのがこの本。

私がピックアップしたいのは本書の中でこの部分★

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はじまりは夢のマイホームでアンの庭造り奮闘記。

憧れのガーデニングに胸ときめかせたのもつかの間、土のコンディションが「最悪」だってことに気付いてガックリ。それでもコーヒーかすを撒いてみたり、枯葉を集めたり、アンの努力が実を結んでカチンコチンの「死んだ土」が、5年かけて鳥や小動物も集まるステキなお庭に復活する。

その過程で気付いたのは、「土」の変化と植物…植物だけじゃなく目に見えている部分で展開する虫や動物たちも含む「自然」が、大きく結びついているってこと。

こりゃいったいどういうことだ?
目に見えない土の中で何が起こってるんだ?

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それで、微生物・・・ミクロの世界の住人達に目を向けたってワケ。

微生物とひとくちで言うけど、細菌、古細菌、ウイルス(生物かどうかはムズカシイ存在だけど)がその中に含まれる。その違いとか、分類して明らかになってきたこと(ヒトも下等生物から派生した種に過ぎないのだ!!)も含めて、本書では微生物史が詳細に語られております。

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よくよく考えてみれば彼らミクロな生命体は、分布範囲にしても生息年代にしても、他の追随を許さぬ「成功者」であることは間違いない!深海から火山まで、そんでもって動植物の内部にも、あらゆるところに彼らはいる。

おもしろいのは、微生物(細菌やウイルス)が「共生」して新しい生物として進化を遂げてきたってハナシ。ワレワレニンゲンだって、遺伝子の3分の1以上が他の生命体(細菌・古細菌・ウイルス)由来なんだってこと。

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私たちは理科で「光合成の仕組み」とか習うからなんとも疑問に思わないけど、よくよく考えたら植物って不思議。あんなちっちゃな種が、何にも「食べないで」どうやって育つのか?栄養はどうしてるの?

この本には光合成を発見した科学者をはじめた~くさんの「マニアックな変態たち」の「発見」が書かれている。一癖も二癖もあるマニアックな変態たちのおかげで、自然科学は新しい発見を繰り返してるんだなぁ、と感動する(笑)

植物は栄養を土から吸収しているわけだけど、水に溶かして吸い込んでるのかと思いきや、溶けない栄養素もあるんだよ。それをどうやって取り込んでいるのか??その鍵を握るのが、微生物!ってわけ。

根っこの周りには微生物の集まる場、マイクロバイオームっていう世界が出来てるの。マイクロバイオーム、これこの本の最重要キーワード。

植物は根っこからじゅわ~っとオイシイ汁を出して微生物を招集してるらしい。それで自分に必要な栄養素を取り込んだり、情報を仕入れたり、

情報、といえば・・・

木は仲間が害虫に襲われたり実をつけたりってことが分かっているようなんだよ。「目」も「耳」もないのに、やりとりをしているとしか思えないことが多々ある。

そういった他の植物との連携も彼ら地中のメッセンジャーたちを介して情報交換しているんだろうね!木同士のネットワークの複雑さ(親密さで助け合いの度合いが変わったりする・笑)については、この本がとっても面白いよ。

ほんで、じゅわ~っとだしたオイシイ汁で集まる微生物は、栄養や情報だけじゃなくてソルジャーとして雇われたりもする。衛兵ってやつですな。本書では「家畜」って表現されてたけど(笑)

微生物の分解する働きを利用して栄養補給する代表的な動物が、ウシ。くっちゃくっちゃ反芻して草食べてるでしょ。ウシの胃袋の中には微生物をたくさん飼育してて、微生物が食べれるくらいにモグモグしてあげてるの、あれは。

そんで微生物そのものも最後の胃袋で栄養の一部として余すことなくオイシクいただきます、って寸法(笑)

その微生物(古細菌)はメタンガスも一緒に出しちゃうから、ウシはゲップでそれを排出するの。そうじゃないとメタンでパンパンに膨らんでタイヘンよ。アメリカのメタン放出の三分の一がウシのゲップ、って凄まじいよね!!(笑)

微生物は健康の敵か?

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庭造りのほかにも、微生物の働きを強く意識したのがアンの「ガン発症」という経験、それから愛犬の闘病経験。ヒトの「免疫」に注目すると、微生物(細菌やウイルス)について避けては通れない。

顕微鏡の登場から、細菌と病気の関係の発見、抗生物質やワクチンの発明に至る「ミクロの世界史」がとってもオモシロイ。病気の原因は「瘴気」だ!(負のオーラ、みたいな)で始まった「衛生」の歴史。

ひとりひとりの科学者の軌跡と、社会常識の劇的な変化については、ぜひ本書を読んでなぞってほしいんだけど・・・ニンゲン、通説を覆す新しい知識ってのはなかなか受け入れられないもんなんだなぁ、と読んでて思った。

ワクチンや免疫システムの理解が進んできた過程もとっても勉強になる。最近はまた注目を浴びているテーマだけど、「ワクチンVS免疫力」っていう対立関係はちょっとシンプルにしすぎだと思う。

そもそも免疫システムの働きを応用したのがワクチンってやつだから。

細菌の存在に気付いて、病気の原因がミクロの世界にあることに気付いたニンゲンは、どうしても「バイキンやっつけろ!!!」と戦闘モードで見ちゃうクセがついたんだけど、ちょっと待って、全部が全部「敵」じゃないよ、ってのがこの本の主張。

ほら、植物の根っこやウシが微生物のおかげで栄養を取ることができているように、私たちの健康にも微生物はかなり重要な役割を果たしてるんだぜ、って!

おもしろかったのは、無菌状態のラットが病原菌に対する抵抗力がガクッと下がっちゃった実験かな。子どものうちに土や自然に触れられたかどうかがその後の免疫力を大きく左右する、ってのは最近じゃよく言われるようになってるかな?

病気の撃退、健康維持は、体内の微生物(細菌)に助けられているって衝撃の事実。風邪にせよケガにせよ、身体に不具合が起こっている反応が「炎症」なんだけど、これは防衛システムが働いてますよ、ってことなのね。

軽度の炎症がずーっと続いちゃったり、防衛が過激になって暴走すると、慢性疾患だとかアレルギーだとか、ちょっとヤヴァイことになっちゃう。その炎症の出力調整(つまり健康維持!)にも微生物が働いてくれている

微生物がたくさん集まっている場所、ヒトのマイクロバイオームがどこにあるかってと、それが大腸!大腸はう〇こ溜め置き場、ごみ処理場じゃないぞ!!ワレワレの根っこにあたる重要な内臓なのだ。

その微生物の多様性たるや、地球上の生物多様性に匹敵する複雑さ。免疫系の中心が、大腸にある。

腸内環境とか、腸内フローラってよく聞くよね。腸内細菌の集まるマイクロバイオームが豊かに機能しているか、ってのが健康に直結するの。腸内環境を整えることが肥満を改善するとか、健康な人のう〇こを移植(!!)したらものすごい治癒率を発揮するとか、大腸の健康ネタは尽きない(笑)

あと、膣の微生物群も。

婦人科系のトラブルも、腸内環境も、「土壌」の問題に似ている。無菌はリスキー。

アン自身の食生活の改善の経験から、食事療法というか「健康な食事の在り方」についても少し書いてある。腸内の微生物にとっちゃ穀物は高機能栄養食品なんだけど、どうして悪者にされてるのか?ってところも。

「精白」されてるかどうかってのが天下分け目のようですな。

ちなみにアンが提案しているのはマクロビ系、玄米菜食よりのメニューなんだけど、肉を一切食べないとかそういう極端なことは言ってない。大事なのはバランスですから。とはいえ、お肉は腸内細菌的にはやっかいな代物ではあるみたい。

この本は食の指南書ではないから、そこらへんはサラッと触れるだけでいいかな。そういえば私のすごく尊敬するマミ~が振る舞ってくれた料理に、ザワークラウトとキヌアがあった。精製されていない穀物と発酵食品!

共に生きている、という思想

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この本を通して著者が伝えたかったこと。

「私たちの見えない半分」を、見えなくても存在している、という意識で生きるってこと。それは自然との関係性を捉えなおすことでもある。

抗生物質で助かる命(実際に彼らの愛犬も救われた!)もあることを踏まえつつ、見境なく使用することの「リスク」を知るべし、と。微生物(菌)は撲滅すべし!!一辺倒だと自分の命を脅かす可能性もある。

微生物の世界は私たちの一部であるし、私たちもその中の一部なんだ、って視点を持とう。いのちは見えている部分が全てじゃないんだよ、ってこと。

おまけの占星術ネタ

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微生物が発見されて、病気の原因が「瘴気」とか「星」の影響だって考え方は「ばかばかしい迷信」として科学者に蔑まれるようになった。

自然科学の視点で言えば、それは正しい!(笑)

ただ、私は「医療占星術」の類は、別のカテゴリーで見た健康観だから別に忌避する必要もないと個人的には思ってる。おもしろいし(笑)処方するとか治療するとか言うといろいろ問題になるだろうけど・・・

そういうわけで、占星術で見た『土と内臓』おまけコーナー★

上の図は12サインに紐づけられた身体の各部位の図。小腸、大腸、自律神経に結び付けられるサインはというと、乙女座なのです。

自律神経ってのは、「不随意の制御」って書かれているけど、大腸のウネウネうごくのとか、内臓がモゾモゾ働くのって、「よしやろう」と意識してやってるわけじゃないよね。そういう意識していないけど機能している運動に働きかけるネットワークが、自律神経。

乙女座が土サインってのが私的にツボ(笑)

土(地)エレメントの柔軟宮。柔軟ってのは状況や環境に応じて動きを調整するってこと。この辺も変化する「土壌環境」をイメージできて楽しい。

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「免疫力」というくくりで他のサイン、天体をピックアップ。参考文献はバーグ文子さんの『アロマティック・アストロロジー』です☆

山羊座がなんで免疫力かっていうと、いちばん外側の「境目」を意識するサインだからかな、って思ったのよね。太陽系の区切り、「皮」とか「枠」とか、ここまでが最終ラインってところ。

細菌やウイルス、他の生物や異物との「関係性」の調整能力が免疫力だから、土星を支配星に持つ山羊座は線引き、範囲を規定する免疫力。

同時にバランス、天秤座。天秤座はやりとりありきのバランス。完全に境目をキッチリして何も動かなかったら、それは「生きてる」とは言えない。何も動かないのは、死んだ状態だから。

折り合いを上手いことつけようと動くのが天秤座の免疫力。

天体を挙げると結構あって、太陽、月、火星、木星、海王星。

太陽は主体性、生命力の本体ですな。主導権を握る存在が無ければ、防衛システムであるはずの免疫力が我が身を滅ぼすことになる。それに対して月は細胞ひとつひとつを結び付ける身体全体。全体としての生命機能。

火星は「炎症」に結び付けられていたけど、これこそ免疫力の働き、防衛機能。この出力コントロール如何が病気だったり問題になるわけだけど。

木星はそのあたり、上手いこといってる方向での免疫力かな。

海王星は「自己免疫疾患」に結び付けられる。これは何が対処すべき異物で何が守るべき自分自身なのか、その区別がつかんくなってる状態。自他の境界線が曖昧になる、ってこと。

占星術というカテゴリーで「免疫力」について見てみると、こんなふうに分類されるのね~。

乙女座は「ケ」を描く

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じゃあ、「大腸」に結び付けられる乙女座に注目してみよう!

大腸はう〇こ溜め置き場ではなく、心身の健康に直結するワレワレの土壌です!!それが「日常」を見つめる乙女座サインってのが、意味深いなぁと。

Parts of Lifeというか、ひとりひとりの人間が
「全体」の中でそれぞれの役割(パーツ)を果たす

割り振られた役割、仕事に応じるサイン。実務能力、奉仕(ボランティア)、健康管理に結び付けられるのは、乙女座のそういう、目の前の状況を把握・分析して、それに応じて調整、管理された振る舞いで適切に選択しようとするから。

そんでもって乙女座は、天秤座から始まる地表の世界のひとつ前…地下の総仕上げポジションにあたるわけです。

大腸で言えば、外から取り込んだものを自分のモノにする最後の仕上げ。これを靴下をうらっかえすみたいに表に出したのが植物の根っこ。

日常ってのは、「ハレ」(ハレの日、ハレ舞台)に対して「ケ」の世界なんですな。日々繰り返し作業するルーチンワーク。

ルーチンをまわす生命力が「ケ」にはあるんだけど、それが少なくなると「ケ枯れ」になる。穢れ。だから時々ハレの日、祭り(祀り)で生命力を復活させるんですな。

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「ケ」は食物って意味もある。食べ物がルーチンを回す生命力。

乙女座のハウス、6ハウスは「健康」「日常」場面として読むんだけど、それって「ケ=食」が担ってるんだな、と思うと「う~む、確かに」とうなっちゃうよね。

ちなみに乙女座(6ハウス)と180度先、向かい側にあるのが魚座(12ハウス)。魚座(12ハウス)は日常生活に対して、「あの世」ですな。

ちょうどこないだ「あの世」についてnoteでせっせとまとめてたんだけど。目の前で繰り広げられるリアルワールドに対して、見えないし捉えられないファンタジックワールドのことね。

乙女座と魚座は表裏一体、そういう意味では魚座の世界ってまさに「The Hidden Half(自然の隠れている半分)」だと思うのよ。『土と内臓』の原題ね。

見えない世界に支えられて、というか裏表の関係で、現実世界がある。

<見えない世界>はミクロだけじゃなくてマクロも。小さな極小の世界と、大きな宇宙という世界、見えている部分を拡大させて、「今の常識」がある。

その過程はこの本がチョーーおもしろい。

乙女座に向かうタイミングで

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今度の満月のトキ読みはnoteで書いたんだけど。

あぁちょうど獅子座を抜けて乙女座に向かうタイミング、そして満月だった。それに気付いて、一生懸命アウトプットしたの。動画まではできんやったけど。。。今このタイミングでこんだけ集まってきたネタがあんねん、これは放出せねば、と。

もうこの満月図を改めて見るとマイクロバイオームに見えてくるもんね(笑)

偶然なんだけど、満月図トキ読みの最後に引用した台詞が細菌学者パスツール。『土と内臓』でも主役級で出てくる微生物の発見者。ほんっと、うまくできてるよねぇ。

「あの世」のはなしはお盆間に合わんかったぁ、って思ってたけど、実はちょうどよかったし。旧盆の前に送り出せてた。

お盆になると思い出す映画・・・予告編はビミョーだけど(笑)この映画は・・・泣くぜ(´;ω;`)ウッ…

ふと出てきた過去記事から、『土と内臓』と乙女座のリンクをばっちり言い表した引用メモを発見☆彡

Many leaves, one tree.
何枚もの葉、いっぽんの木

We're indivisual, but still connected.
私たちは別々に生きてるけど、繋がってる

You're here for a reason.
Maybe you don't see the connections yet.
But just because you don't see, it doesn't mean that they're not there.
ここにいるのはなにか「意味(理由)」があってのこと。
あなたにその繋がりはまだ見えていないかもしれない。
でも見えないからと言って、それが「ない」ことにはならないの。

日々の暮らしと、見えない世界のつながりに、思いを馳せて。

「心の繊維」になる一冊を勧めてくれた姉姉に感謝♡


もりもり書くエネルギー(''◇'')ゞ燃料投入ありがとうございます!!