次の世代のためというけれど。
私は、世代交代というものは自分の代の負債を残さず次の代に社会を渡してゆき、よりよい社会を作っていくことだと思っていた。
これはかなり苦しい考えで、好景気の頃は可能だが、今のようになると怒りしかわかない話である。
だから……私は悟った。
何も今の世代で全てを解決する必要はないのだと。
社会の問題というやつは一朝一夕には解決しない。
急いでやろうとすれば必ず失敗する。
だからゆっくり慎重に検討していかねばならない。
もちろん、前の代からの負債、自分たちが作ってしまった負債。それらは次の代に引き継がれるだろう。
だが、それでいいのだ。
それでも私たちは滅ばずに次の代まで社会を存続させることができた。
それだけでいいのだ。
どの世代だって、大かれ少なかれ致命的な失敗をしている。取り返しのつかないことをしている。
でも、次の代まで継がせる事ができた。世界は滅ばなかったし、絶滅もしなかった。それで満点じゃないか。
ならば、そうやって次の世代もまた次の世代に問題を先送りしていって……いつか技術的解決が可能になるまで、負債を踏み倒せる日まで続いていけばいい。
自分の代で負債を全部返して、その上でよりよい社会を作って次の代に渡す。
それができればよかっただろう。だが、そんなことができるのは好景気の時だけでいい。
不景気の時にまで望むことではない。そんなのは欲張りすぎというものだ。
それが私が到達した真実……それを備忘録としてここに書いておき、皆さんと知を共有したい。
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