場面緘黙啓発月間、読めてよかった漫画
という漫画をご存知でしょうか。
一言で言えば少年漫画のハーレムものなんですが、まあだいぶ狂ってる漫画なので(※誉め言葉)好き嫌いは割れるんだろうと思ってはいます。
でもハーレムものってだけで敬遠するのはもったいないな~というくらいにひととひとの関係が優しくて(狂ってるけど)好きな漫画なんですよ。
主人公は神様のやらかしが原因で運命の人を100人設定されてしまった男の子。
高校入学までに100回フラれ続けたのもそれが原因。
さらに、その100人全員と愛し合って幸せにしないと「相手はなんやかんや不幸な目に遭った上に死ぬ」と言われて、いやおうなしに100人ハーレムルートを選ばざるを得なくなる、というメチャクチャな話です(誉めてます)
というわけで入学早々同時に二人の運命の相手に告白されて、同時に付き合いはじめるところから話はスタート。
ここまでなら「緘黙と関係ないやんけ」と思うかもしれませんが。
その次の3人目の彼女(3人目の彼女ってなんだよ!スルーしてください)がおそらく、吃音と緘黙を併発している女の子です。
好本静ちゃんと言いますが。
愛読書のページを繰って指さして会話の代わりにし、
母親からは「ちゃんと喋りなさい」と叩かれて暮らしていた子です。
主人公と付き合って以降、愛読書の読み上げはスマホの読み上げアプリに姿を変えて、順調な付き合いと増えていく彼女たち(スルーして…)との交流の中でどんどん自分らしいふるまいを表出できるようになっていった女の子です。
その母親が前回今回で再登場。
[第134話]君のことが大大大大大好きな100人の彼女 - 中村力斗/野澤ゆき子 | 少年ジャンプ+ (shonenjumpplus.com)
[第135話]君のことが大大大大大好きな100人の彼女 - 中村力斗/野澤ゆき子 | 少年ジャンプ+ (shonenjumpplus.com)
読めばわかるように、よくある「このまま育ったらこの子はどう生きていけばいいの?私が厳しくしないと」ってやつなんですけど。
緘黙児の親ワイからすると逆なんですよね。
家が安心できるとこじゃないとどうしようもないよと。一般的な育児書や啓発本読んでる場合じゃないよと。
というかまず吃音は気づいた時点で小児科にかかれよだし、それが緘黙に進んでしまってるのは二次障害で、おそらくお母さんのせいなので。
じゃあ何したらいいの?っていうと、まず自己表現を安心して出来ること、そのままでいられる環境づくり、それから本人主導で話す練習。
なんなら、静ちゃんの年齢的にも自分から話したくなるくらいが一番いい。
(電話でも持てば話す気になるかも…というお母さんの読みは、だから一応正解ではある)
135話全部読めとは言いづらい漫画なんですが(何度も言いますが狂ってる漫画ではあるので)、実はこれを主人公と彼女たちが自然にやっている。
静ちゃんが読み上げアプリで話すことをみんなが自然に受け入れている。
だから静ちゃんは主人公と彼女たちに(多分たくさんの人数に囲まれてたらまだ難しいかもしれないけど、何人かの親しい相手の前でなら)吃音があるままで話すことができる。
すごいよ。
緘黙(吃音もだけど)の子を「どうしたらいいのか」「どう扱ったらいいのか」をすごく自然に描いてくれている。
主人公が静ちゃんのお母さん相手に切った啖呵が以下なんですが。
こんなこと知識なしに言える子、めったいねえよ。すごい。
電車の中で泣いちゃったもんな。(旅行中でした)
これを画面緘黙啓発月間に読めて、ほんとうによかったな…の気持ちでいます。
(本連載では4月中に決着がついてるのも知ってますが、ジャンプラの読者のほうが多そうだから…)
ところで。
前述のとおり、主人公の運命の相手は「主人公と愛し合って幸せになれないとなんやかんや不幸な目に遭って死ぬ」んですが。
静ちゃんがたどるかもしれなかった死って、多分自●だよな…
と思うと、ほんとうに主人公が静ちゃんの運命の人でよかったなって。
現時点で彼女、24人いるけどな。
という、狂った漫画です(誉め言葉)。よかったら是非。
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